TSMC アリゾナ工場、Appleチップ製造へ準備万端 ~月産2万枚の4nmプロセス生産へ

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台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSMC)は、アリゾナ州フェニックス北部に建設中の最先端半導体製造工場について、以下の進捗を発表しました

  • 第1工場:
    • 投資額:当初120億ドルから200億ドルに増加
    • 生産開始:2025年
    • 製造プロセス:4ナノメートル
    • 生産能力:月産2万枚のウェハー
  • 総投資額:3工場合計で650億ドル
  • 雇用創出:現在約2,000人、将来6,000人以上の直接雇用を予定
  • 主要顧客:Appleが最大の顧客となることを表明
  • 米国商務省からの支援:CHIPSアクト下で66億ドルの直接資金提供を決定
  • 人事:
    • Rose Castanaresが新社長に就任(26年のTSMC勤務経験)
    • Rick Cassidyが会長に就任

TSMCのRick Cassidy会長は、2024年11月のCNBCの取材で「プロジェクトはほぼ当初の予定通りに戻っている」と述べました。

from:TSMC says first advanced U.S. chip fab ‘dang near back’ on schedule. Here’s an inside look.

【編集部解説】

TSMCのアリゾナ工場プロジェクトは、半導体産業における重要な転換点を示しています。この施設は単なる製造拠点以上の意味を持っており、以下の観点から解説させていただきます。

グローバルサプライチェーンの変革

これまで台湾に集中していた最先端半導体の製造拠点が、初めて本格的に米国に展開されることになります。これは地政学的リスクの分散という観点から極めて重要な意味を持っています。

技術移転と人材育成の課題

TSMCは約600人のエンジニアを台湾で研修させるなど、積極的な技術移転を進めています。しかし、米国では過去10年以上にわたって先端半導体製造施設が建設されていなかったため、熟練工の確保が大きな課題となっています。

環境負荷と持続可能性

水資源の確保は重要な課題です。1日470万ガロンの水使用量を65%のリサイクルによって100万ガロンまで削減する計画ですが、アリゾナの砂漠地帯での持続可能な運営には様々な工夫が必要となります。

経済的インパクト

総投資額650億ドルは、米国史上最大の外国直接投資となります。直接雇用6,000人に加え、関連産業での雇用創出も期待されます。

今後の展望

第1工場での4nmプロセス、そして将来的には2nmプロセス以降の技術導入と、段階的に最先端技術を導入していく計画は、米国の半導体製造能力を着実に高めていくものと評価できます。

リスクと課題

電力供給の問題は深刻です。第1工場だけで1日2.85ギガワット時(約10万世帯分)の電力を消費します。AIブームによるデータセンターの急増と相まって、2030年までに送電容量が限界に達する可能性が指摘されています。

【参考リンク】

  1. TSMC公式サイト(外部)
    世界最大の半導体製造企業の公式サイト。技術情報や投資家向け情報を提供。

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