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Carbon Robotics「Large Plant Model」発表|リアルタイム雑草識別

[更新]2026年2月3日

Carbon Roboticsが世界初のLarge Plant Model(LPM)を発表。1億5000万の植物データで訓練されたこのAIモデルは、未知の雑草も即座に識別可能に。新機能Plant Profilesにより、従来数週間かかったモデル適応が数分で完了。農業AIの新時代が到来した。

Carbon Roboticsは2026年2月2日、世界初のLarge Plant Model(LPM)を発表した。LPMは1億5000万個のラベル付き植物で訓練された植物検出・識別用のAIモデルである。

LPMは同社のCarbon AIの基盤として機能し、LaserWeederとCarbon ATK(既存トラクター用自律トラクターキット)を動作させる。新機能のPlant Profilesでは、オペレーターがiPad Operator Appで2〜3枚の画像を選択するだけでモデルを数分で適応させることができる。

創業者兼CEOのポール・ミケセルは、リアルタイムでの動作適応により農家が最大の価値を得られると述べた。Bland Farmsのファームマネージャーであるデビッド・フェアクロスは、Vidalia Onionの栽培でplant profilesを使用していると述べた。

同社は2月上旬にドイツのベルリンで開催されるFruit Logisticaとカリフォルニア州テュレアで開催されるWorld Ag Expoで技術をデモンストレーションする。

From: 文献リンクCarbon Robotics Launches the World’s First-Ever Large Plant Model

【編集部解説】

農業AIの世界に、ひとつの転換点が訪れました。Carbon RoboticsのLarge Plant Modelは、単なる技術改良ではなく、農業における機械学習の在り方そのものを問い直す試みです。

従来のAIベースの除草システムでは、新しい雑草が出現するたびに約24時間かけてモデルを再訓練する必要がありました。カリフォルニアの粘土質とアイオワのローム土壌では同じ雑草でも見た目が異なるため、それぞれを別問題として扱わざるを得なかったのです。LPMはこの制約を打ち破り、ゼロショット認識——つまり、一度も見たことのない植物でも即座に識別できる能力を獲得しています。

この変化がもたらす実務的な影響は計り知れません。農家は圃場でiPadから2〜3枚の画像を選ぶだけで、数週間から数ヶ月かかっていたカスタマイズを数分で完了できます。これは、AIが農家の思考速度に追いついた瞬間と言えるでしょう。

興味深いのは、このモデルが「データフライホイール効果」で継続的に進化している点です。15カ国、100以上の農場で稼働する LaserWeeder が毎日収集する実世界のデータが、全世界の機器の性能向上に直結する仕組みが構築されています。フランスのタマネギ畑で発見された新種の雑草情報が、アメリカのニンジン畑でも即座に活用できるわけです。

一方で、農業ロボット全般に共通する課題も存在します。初期投資コストの問題、小規模農家へのアクセシビリティ、そして何より、AIが判断を誤った場合の作物への影響です。極めて高速に雑草処理を行うシステムであるからこそ、誤認識は大規模な損失につながる可能性があります。

長期的な視点では、このモデルが除草以外の農業タスクにも展開される可能性に注目すべきでしょう。初期スタンドカウント、間引き、病害スカウティングなど、「植物を理解する」という基盤技術は、農業の多様な局面に応用できます。実際、同社は既に第3の製品ラインを開発中であると報じられています。

2018年の創業から総額1億8500万ドル以上を調達し、従業員約260人を擁するCarbon Roboticsは、NVIDIAやBondといった大手投資家からの支援を受けています。創業者のポール・ミケセルがUberやMetaのOculusで大規模知覚システムを開発した経験を持つことも、技術的な信頼性を裏付けています。

農業という、人類最古の産業の一つに、最先端のAI技術が融合する——この事例は、テクノロジーが単なる効率化ツールを超えて、産業の根幹を再定義し始めていることを示唆しているのではないでしょうか。

【用語解説】

Large Plant Model(LPM)
Carbon Roboticsが開発した植物認識用の大規模AIモデル。1億5000万個のラベル付き植物データで訓練され、作物と雑草を即座に識別する。従来のシステムでは新しい雑草が出現するたびに再訓練が必要だったが、LPMではリアルタイムで対応可能になった。

LaserWeeder
Carbon Roboticsが製造するレーザー除草ロボット。AIで雑草を識別し、高出力レーザーで雑草の成長点(メリステム)を破壊する。トラクターに牽引される形式で、化学除草剤や手作業による除草の代替手段となる。

Carbon ATK(Autonomous Tractor Kit)
既存のトラクターに後付けして自律走行を可能にするキット。Carbon AIを搭載し、遠隔監視下で自律的に農作業を行う。

Plant Profiles
農家が2〜3枚の画像を選択するだけでLPMを特定の圃場や作物に最適化できる機能。従来は数週間から数ヶ月かかっていたモデルのカスタマイズを数分で完了できる。

【参考リンク】

Carbon Robotics公式サイト(外部)
AI駆動型農業ロボットのリーディングカンパニー。LaserWeederやCarbon ATKの製品情報を掲載。

Bland Farms公式サイト(外部)
ビダリアオニオン大手生産者。LaserWeederとPlant Profilesの初期導入農家。

【参考記事】

Carbon Robotics built an AI model that detects and identifies plants(外部)
TechCrunchによる詳細な技術解説。1億5000万枚の訓練データと1億8500万ドルの資金調達実績を報道。

How Carbon Robotics built the large plant model for its laser weeding robot(外部)
The Robot Reportによる開発経緯の詳細記事。データフライホイール効果による継続的な性能向上を解説。

Carbon Robotics Unveils AI Plant Identification Model(外部)
技術的側面からLPMを分析。ゼロショット認識の実現とJohn Deere等の競合技術との比較を記載。

Carbon Robotics raises $20M as LaserWeeder maker plans secretive new ‘AI robot’ for farms(外部)
GeekWireによる資金調達報道。2025年10月に2000万ドルを調達し総額1億7700万ドルに到達と報道。

【編集部後記】

AIモデルが「見たことのない雑草」を即座に識別できる——これは単なる技術進化を超えた、農業の在り方そのものへの問いかけではないでしょうか。かつて数週間かかっていた作業が数分で完了する世界で、私たちが手にするのは効率だけなのか、それとももっと根源的な何かなのか。

1億5000万という膨大なデータから生まれた「植物を理解する知性」が、人間の農業観をどう変えていくのか。みなさんはこの技術に、どんな可能性を見出しますか?

投稿者アバター
omote
デザイン、ライティング、Web制作を行っています。AI分野と、ワクワクするような進化を遂げるロボティクス分野について関心を持っています。AIについては私自身子を持つ親として、技術や芸術、または精神面におけるAIと人との共存について、読者の皆さんと共に学び、考えていけたらと思っています。

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