Last Updated on 2024-07-06 04:55 by 門倉 朋宏
物理学者たちは、宇宙の膨張を加速させる「ダークエネルギー」が時間とともにわずかに弱まっている可能性があることを示唆する証拠を発見した。この発見は、物理学の基本原理に影響を及ぼす可能性があり、「ダークエネルギー」の性質に関する重要な手がかりとなるかもしれない。
DESIチームによって公開された宇宙のマップは、未知の範囲をカバーしており、そのデータからはダークエネルギーの影響が時間とともに弱まっている可能性が示されている。研究者たちは、ダークエネルギーが一定ではなく時間とともに変化する可能性があることに興奮しており、これが宇宙の理解に大きな変革をもたらす可能性がある。
ダークエネルギーが弱まっているとすれば、これは宇宙定数ではなく、宇宙の誕生時に指数関数的な膨張を引き起こした「スカラー場」というフィールドである可能性がある。これは、私たちが真空ではなく、真空に向かってゆっくりと滑り落ちているエネルギー状態に存在していることを意味する。
DESI研究者は、今後も観測データの収集を続け、ダークエネルギーの変化に関する研究を進める予定である。また、Vera Rubin Observatory、Nancy Grace Roman Space Telescope、Euclid missionなどの新たな観測装置の稼働により、宇宙の理解がさらに進むことが期待されている。
【ニュース解説】
物理学者たちが、宇宙の膨張を加速させる謎の力、「ダークエネルギー」が時間と共に弱まっている可能性があるという証拠を発見しました。この発見は、ダークエネルギーの性質についての我々の理解を根本から変える可能性があります。
ダークエネルギーは、宇宙の膨張を加速させる力として知られていますが、その正体は未だに謎に包まれています。アインシュタインはかつて、この力を「宇宙定数」と呼び、空間自体が持つ固定されたエネルギー量と考えました。しかし、DESI(Dark Energy Spectroscopic Instrument)チームによる最新の観測結果は、ダークエネルギーが一定ではなく、時間と共に変化している可能性を示唆しています。
この発見が正しいとすれば、ダークエネルギーは宇宙定数ではなく、宇宙の誕生時に指数関数的な膨張を引き起こしたとされる「スカラー場」という形態のエネルギーである可能性があります。これは、私たちが住む宇宙が真空の最低エネルギー状態ではなく、より低いエネルギー状態へとゆっくりと移行していることを意味します。
この研究は、宇宙の膨張を理解する上での新たな視点を提供します。ダークエネルギーが時間と共に変化するという事実が確認されれば、宇宙の最終的な運命についての理論も変わる可能性があります。例えば、ダークエネルギーがゼロに近づくと、宇宙の膨張は止まり、さらにマイナスになれば、宇宙は収縮を始めるかもしれません。
しかし、この発見はまだ初期段階であり、より多くの観測データが必要です。DESIチームは今後も観測を続け、さらに多くの銀河をマッピングする予定です。また、Vera Rubin Observatory、Nancy Grace Roman Space Telescope、Euclid missionなどの新しい観測装置が稼働を開始することで、ダークエネルギーに関する理解がさらに深まることが期待されています。
この研究は、宇宙の膨張を加速させる謎の力についての理解を深めるだけでなく、物理学の基本原理にも影響を及ぼす可能性があります。今後の研究結果が待たれます。
from The Mysterious ‘Dark’ Energy That Permeates the Universe Is Slowly Eroding.