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SpaDeX:インドが開発した自律ドッキング衛星、秒速10mmの超精密接近に挑む

SpaDeX:インドが開発した自律ドッキング衛星、秒速10mmの超精密接近に挑む - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-01-06 14:06 by admin

インド宇宙研究機関(ISRO)は2024年12月30日午後10時(日本時間12月31日午前1時30分)、アーンドラ・プラデーシュ州シュリーハリコータのサティシュ・ダワン宇宙センターから宇宙ドッキング実験衛星「SpaDeX」を打ち上げた。

ミッション詳細

チェイサー(SDX01)とターゲット(SDX02)の2機の衛星(各220kg)は、高度470km、傾斜角55度の軌道に投入された。両機は最大20kmの距離から段階的に接近を開始し、2025年1月7日に最終ドッキングを実施する予定。

実験内容と期間

独自開発の低衝撃ドッキングシステム「Bharatiya Docking System」を使用し、秒速約10mmでの精密な接近を行う。ドッキング成功後は衛星間での電力転送実験を実施し、最大2年間の運用を予定している。

from:India launches 2 SpaDeX satellites on ambitious space docking test for future moon mission, space station

【編集部解説】

インドの宇宙ドッキング実験(SpaDeX)は、2025年1月7日午前9時から10時(インド時間)に実施される予定です。この実験は、単なるドッキング技術のデモンストレーション以上の意味を持っています。

まず注目すべきは、このミッションで採用される高度な制御システムです。2機の衛星は、最初20kmの距離から段階的に接近を開始します。衛星間の通信は5km以内になってから確立され、その後1.5kmの距離からドッキングシーケンスが開始されます。

特筆すべきは、インド独自開発の「Bharatiya Docking System」と呼ばれる技術です。秒速10mmという極めて慎重な速度での接近は、安全性を最重視した設計となっています。

将来への影響と応用

このミッションの成功は、インドの宇宙開発において複数の重要な意味を持ちます。2035年までに建設予定の独自の宇宙ステーション「Bharatiya Antariksh Station」の実現に向けた重要なステップとなります。

さらに、この技術は2027年から2028年に予定されているChandrayaan-4月面サンプルリターンミッションにも不可欠です。月の南極でのサンプル採取後、これを地球に持ち帰るために軌道上でのドッキングが必要となるためです。

イノベーションと実用性

このミッションには24個の実験モジュールが搭載されており、そのうち14個がISRO開発、10個が民間企業や学術機関からの実験機器です。注目すべき実験には、国際宇宙ステーションのCanadArm2に似たインチワームのように移動できる「walking robotic arm」が含まれています。

歴史的な文脈と意義

このプロジェクトは1989年に構想が始まり、2016年に正式承認されるまで長い道のりを歩んできました。この技術の獲得により、インドはロシア、アメリカ、中国に次ぐ4番目の宇宙ドッキング技術保有国となる可能性があります。

今後の展望

このミッションの成功は、インドの宇宙開発能力を大きく前進させるだけでなく、アジアの宇宙開発における新たな時代の幕開けとなる可能性があります。特に、衛星間での電力転送実験の成功は、将来の宇宙インフラストラクチャーの発展に重要な意味を持つでしょう。

【用語解説】

  • ISRO (Indian Space Research Organisation)
    インドの宇宙開発機関。日本のJAXAに相当する政府機関です。
  • PSLV (Polar Satellite Launch Vehicle)
    インドの主力ロケット。日本のH-IIAロケットに相当する中型ロケットで、高い信頼性を誇ります。
  • SpaDeX (Space Docking eXperiment)
    宇宙空間での2機の衛星のドッキング実験。車の自動駐車のように、2つの衛星が自動で接近して結合する技術を実証します。
  • Bharatiya Antariksh Station (BAS)
    インドが2035年までに建設を目指す独自の宇宙ステーション計画。

【参考リンク】

  1. ISRO公式サイト(外部)
    インド宇宙研究機関の公式ウェブサイト。ミッションの詳細情報や最新ニュースを掲載

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TaTsu
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