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ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が124光年先の惑星で生命の痕跡を検出!地球外生命の最有力証拠か

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が124光年先の惑星で生命の痕跡を検出!地球外生命の最有力証拠か - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-04-18 11:07 by admin

ケンブリッジ大学のニック・マドゥスダン教授らの研究チームは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を使用して、地球から124光年離れたレオ座の系外惑星K2-18bの大気中に、地球上では主に生物によって生成されるジメチルスルフィド(DMS)とジメチルジスルフィド(DMDS)を検出したと2025年4月に発表した。この研究結果は『The Astrophysical Journal Letters』に掲載された。

検出されたDMSとDMDSは地球上では主に海洋性植物プランクトンなどの微生物によって生成されるガスで、K2-18b上での濃度は地球の数千倍にあたる1000万分の10以上と推定されている。この発見は統計的有意性「シグマ3」(誤差確率0.3%)のレベルに達しており、研究チームは追加で16〜24時間の観測を行えば、科学的発見の基準となる「シグマ5」(誤差確率0.00006%)に到達できると見込んでいる。

K2-18bは2015年にケプラー宇宙望遠鏡によって発見された惑星で、地球の約8.6倍の質量と2.6倍の直径を持ち、「ハイシアン世界」と呼ばれる惑星タイプに分類される。水素が豊富な大気と液体の海洋を持つ可能性があり、赤色矮星K2-18の居住可能領域に位置している。

研究チームは、観測されたガスの組み合わせと惑星の状態から、生命で溢れる海洋を持つシナリオがデータに最も適合すると考えているが、未知の化学プロセスによる非生物学的な生成の可能性も排除していない。この発見は、2023年に同じ惑星でJWSTが検出したメタンと二酸化炭素に続くものである。

from:Webb Telescope May Have Just Found the Strongest Evidence of Alien Life Yet

【編集部解説】

宇宙における生命の探索は、人類の最も根源的な問いの一つです。「我々は宇宙で孤独なのか?」という問いに対する答えが、ついに科学的な手法で解明されようとしています。

今回のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による発見は、天文学の歴史において画期的な一歩と言えるでしょう。ケンブリッジ大学のニック・マドゥスダン教授率いる研究チームは、124光年という途方もない距離にある系外惑星K2-18bで、地球上では生命活動と密接に関連するガスを検出しました。

特に注目すべきは、検出されたジメチルスルフィド(DMS)とジメチルジスルフィド(DMDS)というガスです。地球上では、これらのガスは非生物学的なプロセスでは通常生成されず、主に海洋の植物プランクトンなどの微生物によって作られます。つまり、これらのガスの存在は生命の存在を強く示唆するバイオシグネチャー(生命の痕跡)なのです。

しかし、科学的な発見としては慎重さも必要です。現在の発見は「シグマ3」レベル(誤差確率0.3%)の信頼性であり、科学的発見として確立されるには「シグマ5」(誤差確率0.00006%)が必要とされています。マドゥスダン教授は追加観測によって1〜2年以内に確定的な証拠を得られる可能性を示唆していますが、他の科学者たちからは懐疑的な見方も示されています。

NASAは「単一のバイオシグネチャーの検出だけでは生命の発見とはならない」と声明を出しており、ジョンズ・ホプキンス大学の惑星科学者サラ・ホルスト氏は実験室でDMSが生命なしでも生成できることを指摘しています。このように、科学コミュニティ内でも議論が続いています。

K2-18bは「ハイシアン世界」と呼ばれる惑星タイプに分類され、地球とネプチューンの中間サイズで、水素が豊富な大気と液体の海洋を持つ可能性があります。このような環境が、地球とは全く異なる形態の生命を育んでいる可能性があるのです。

興味深いのは、K2-18b上で検出されたDMSの濃度が地球の数千倍に達しているという点です。これは、もし生物起源であれば、この惑星に豊富な生命が存在する可能性を示唆しています。マドゥスダン教授は「K2-18bに生命が確認されれば、銀河系に生命が広く存在することがほぼ確実になる」と述べています。

この発見が確認されれば、それは科学史上最も重要な発見の一つとなるでしょう。人類の宇宙観を根本から変える転換点となり、私たちは宇宙で唯一の知的生命体ではないかもしれないという可能性が、科学的に裏付けられる第一歩となります。

しかし、遠距離にある惑星の大気組成を分析することの技術的難しさも忘れてはなりません。JWSTは現在、人類が持つ最も強力な宇宙望遠鏡ですが、それでも124光年という距離は途方もなく、得られるデータには限界があります。

今後は、追加観測によってより確実な証拠を得ることが期待されています。また、2040年代に打ち上げ予定のハビタブル・ワールド望遠鏡や2028年完成予定のヨーロッパ超大型望遠鏡といった次世代の観測設備が、より詳細なデータを提供することでしょう。

私たちinnovaTopiaの編集部は、この発見の進展を注意深く追い続けます。宇宙における生命の探索は、テクノロジーの進化とともに加速しており、今後も驚くべき発見が続くことでしょう。読者の皆さんも、人類の知の地平線が拡大する瞬間に立ち会っていることを実感してください。

【用語解説】

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)
2021年12月に打ち上げられたNASA、ESA、CSAの共同プロジェクトによる最新鋭宇宙望遠鏡。直径6.5mの主鏡を持ち、主に赤外線観測に特化している。地球から約150万kmの位置(L2ポイント)に配置され、ハッブル望遠鏡の後継機として、より遠方の宇宙や系外惑星の観測を行っている。

バイオシグネチャー
生命の存在を示す証拠となる物質や現象。地球外生命探査において、惑星の大気中に存在する特定のガスや化学物質が生命活動によって生成されたものかを判断する指標となる。酸素、メタン、DMSなどが代表的なバイオシグネチャーである。

ジメチルスルフィド(DMS)
化学式(CH₃)₂Sで表される硫黄を含む有機化合物。地球上では主に海洋の植物プランクトンによって生成され、非生物学的プロセスでは通常生成されないことが知られている。海の匂いの原因物質の一つでもある。

ジメチルジスルフィド(DMDS)
化学式(CH₃)₂S₂で表される硫黄を含む有機化合物。DMSと同様に地球上では主に生物によって生成される。

ハイシアン世界(Hycean world)
「水素(Hydrogen)」と「海洋(Ocean)」を組み合わせた造語で、水素に富んだ大気と広大な液体の海を持つとされる理論上の惑星タイプ。地球型惑星とガス惑星の中間的な特徴を持ち、地球とは異なる形態の生命が存在する可能性がある。

トランジット分光法
惑星が恒星の前を通過する際に、恒星の光が惑星の大気を通過することで生じるスペクトルの変化を分析する方法。この方法により、惑星の大気組成を調べることができる。

シグマレベル
統計学的な信頼性を示す指標。シグマ3(3σ)は99.7%の信頼性(誤差確率0.3%)、シグマ5(5σ)は99.99994%の信頼性(誤差確率0.00006%)を意味する。科学的発見として確立されるには通常シグマ5が必要とされる。

赤色矮星
恒星の一種で、太陽よりも小さく、低温で赤みを帯びている。銀河系で最も数が多い恒星タイプであり、寿命が非常に長い(数千億年)特徴がある。K2-18はこのタイプの恒星である。

中赤外線観測装置(MIRI)
JWSTに搭載された観測装置の一つで、5〜28マイクロメートルの中赤外線波長域を観測する。系外惑星の大気や塵に隠された天体の観測に適している。

【参考リンク】

NASA(アメリカ航空宇宙局)(外部)
アメリカの宇宙開発機関。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の開発・運用を主導している。

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 公式サイト(外部)
JWSTの最新の観測結果や科学的成果を公開している公式サイト。

ESA(欧州宇宙機関)(外部)
欧州の宇宙開発機関。NASAと共同でJWSTの開発・運用に参加している。

ケンブリッジ大学 天文学研究所(外部)
ニック・マドゥスダン教授が所属する研究機関。系外惑星の大気研究で世界をリードしている。

The Astrophysical Journal Letters(外部)
今回の研究が掲載された天文学の学術ジャーナル。最新の天文学的発見を迅速に発表している。

【参考動画】

【編集部後記】

宇宙に私たち以外の生命は存在するのでしょうか?この根源的な問いに科学が一歩近づいた今、皆さんはどう感じますか?124光年という気の遠くなる距離にある惑星で、生命の痕跡が見つかるかもしれない——そんな時代に私たちは生きています。もし地球外生命が確認されたら、人類の宇宙観はどう変わるでしょう?夜空を見上げるとき、そこに広がる無数の星々に、私たちと同じように「生きている」存在がいると想像すると、宇宙の見え方が変わるかもしれませんね。皆さんの宇宙観や、この発見についての感想を、ぜひSNSでシェアしてください。

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TaTsu
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