innovaTopia

ーTech for Human Evolutionー

LastOS:Linux Mintにネオンカラーを纏わせ、PhotoshopでもLinuxで実行する心のディストロ

LastOS:Linux Mintにネオンカラーを纏わせ、PhotoshopでもLinuxで実行する心のディストロ - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-20 10:40 by admin

The Registerが2025年5月19日に報じたところによると、LastOSというLinux Mintをベースにした新しいディストリビューションが登場した。このディストリビューションは、Windows 10のサポート終了(2025年10月14日)を前に、Windows 11にアップグレードできないマシンを使用しているユーザー向けの代替OSとして開発されたものである。

LastOSの最新バージョンは2025.03で、Linux Mint 22.1「Xia」(Ubuntu 24.04.1 LTSベース)をカスタマイズし、Cinnamonデスクトップバージョン6.4.8を採用している。特徴的な点として、ネオン調のGUI、青みがかった陰陽シンボルのスタートメニュー、Conkyシステムモニターなど、視覚的に派手なカスタムテーマを採用している。

このディストリビューションの作者はGlenn Chugg(LiveFreeDead)で、Penguins’ Eggsというリマスタリングツールを使用して開発した。LastOSには独自のアプリストア「LL Store」が搭載されており、Linux用アプリだけでなくWindowsアプリケーションも提供している。

プリインストールされているソフトウェアには、WINE 9、Google Chrome、TransmissionのBitTorrentクライアント、ダウンロードマネージャー、画像ビューアーなどがある。The Registerの検証では、LL Storeを通じてAdobe Photoshop CC 19(2018年版)のインストールと実行に成功している。

サイズ面では、LastOSのISOイメージは4.6GBで、Linux Mint自体の2.8GBと比較して大きい。インストール後は約13GBのディスク容量を使用する。

The Registerのレビューによれば、LastOSは個人的で特異なプロジェクトの印象があり、アプリケーションの選択やウェブサイト・READMEファイルのスペルに一貫性がない部分があるものの、必要なツールがLL Storeにあれば魅力的な選択肢になり得るとしている。

なお、Linux Mint 22.1「Xia」は2025年1月16日にリリースされ、Ubuntu 24.04.1 LTSをベースにLinuxカーネル6.8を搭載している。2029年4月までサポートされる長期サポート版(LTS)である。システム要件は64ビットPC、2GB RAM(4GB推奨)、20GB以上のディスク容量(100GB推奨)、1024×768解像度のスクリーンとなっている。

References:
文献リンク LastOS slaps neon paint on Linux Mint and dares you to run Photoshop

【編集部解説】

Windows 10のサポート終了(2025年10月14日)が迫る中、Windows 11へのアップグレードが困難なPCを持つユーザーにとって、Linuxディストリビューションは魅力的な選択肢となりつつあります。今回ご紹介する「LastOS」は、そうした状況を背景に登場した、Linux Mintをベースとする個性的なディストリビューションです。海外メディアThe Registerの記事などを元に、その特徴と可能性、そして注意点を掘り下げます。

鮮烈なビジュアルとWindowsユーザーへの配慮

LastOSの最新版は、安定性に定評のあるLinux Mint 22.1「Xia」(Ubuntu 24.04 LTSベース、Cinnamon 6.4デスクトップ環境採用)を基盤としています。しかし、その見た目は標準のLinux Mintとは一線を画し、ネオン調のGUI、青みがかった陰陽シンボルのスタートメニューアイコン、Conkyシステムモニターなど、視覚的に際立つカスタムテーマが特徴です。これは、長年Windowsに親しんだユーザーが新しい環境へ移行する際の心理的なハードルを下げる意図があるのかもしれません。

このディストリビューションは、Glenn Chugg氏(ハンドルネーム: LiveFreeDead)が「Penguins’ Eggs」というリマスタリングツールを用いて開発したとされています。特筆すべきは、LastOS独自のアプリケーションストア「LL Store」の存在です。開発者によると、このストアからはLinuxネイティブアプリに加え、Windowsアプリケーションも提供されるとのことです。

プリインストールされるソフトウェアには、Windowsアプリケーション実行のための互換レイヤーであるWINE(バージョン9が搭載されているとの情報あり)、Google Chromeブラウザ、BitTorrentクライアントのTransmission、ダウンロードマネージャー、画像ビューアーなどが含まれている模様です。

The Registerによる評価とPhotoshop動作の可能性

The RegisterはLastOSについて報じており、それによると、Adobe Photoshop CC 19(2018年版)がLL Storeを通じてインストール・実行できたとされています。これが事実であれば、WINEの進化とLastOSのカスタマイズによって、専門的なWindowsソフトウェアの利用というLinux移行の大きな障壁が、特定の条件下では乗り越えられる可能性を示唆しています。

LastOSのISOイメージサイズは約4.6GBと、ベースのLinux Mint(約2.8~3GB)と比較して大きく、インストール後は約13GBのディスク容量を使用するとされています。これも追加されたテーマやソフトウェアによるものでしょう。

The Registerのレビューでは、LastOSを「個人的で特異なプロジェクト」と評し、アプリケーションの選択やウェブサイト・READMEファイルの記述に一貫性が見られない部分も指摘されているようです。しかし、もし「LL Store」に必要なツールが揃っており、そのユニークな機能がユーザーのニーズに合致するならば、魅力的な選択肢になり得るとも結論付けています。

Linux Mint 22.1「Xia」の安定した基盤

LastOSの土台となっているLinux Mint 22.1「Xia」は、2025年1月16日にリリースされた長期サポート(LTS)版で、Ubuntu 24.04 LTSをベースにLinuxカーネル6.8を搭載しています。2029年4月までの長期サポートが提供されるため、安定した動作が期待できます。システム要件は、64ビット対応PC、2GBのRAM(4GB推奨)、20GB以上のディスク空き容量(100GB推奨)、1024×768以上の画面解像度と、比較的古いPCでも動作する可能性があります。

innovaTopiaとしての考察

LastOSの試みは、Linuxの多様性とカスタマイズの自由度を象徴する事例と言えるでしょう。Windowsからの移行を促すための視覚的な工夫や、Windowsアプリの利用を容易にしようとする「LL Store」の構想は興味深いものです。

しかし、The Registerが示唆するように、多くのユーザーにとってはUbuntuやLinux Mintといった主要なディストリビューションを選ぶ方が、サポートや情報の入手のしやすさから見て堅実な選択となるでしょう。LastOSのような個人プロジェクトに近い性格を持つディストリビューションは、そのユニークな特徴が自身の特定の要求に合致するかどうかを慎重に見極める必要があります。また、アプリストアにおけるソフトウェアライセンスの明示性や、UIのアクセシビリティといった点は、今後の改善が期待される部分かもしれません。

Windows 10サポート終了という節目は、多くのユーザーにとってOSの選択肢を再考する機会となります。LastOSのような挑戦的なディストリビューションの登場は、技術の進化がLinuxへの移行ハードルを徐々に下げていることを示す好例です。こうした多様な選択肢の中から、自身のスキルや目的に合ったものを見つけ出すことが、これからのPC利用において重要になるでしょう。

【用語解説】

Linux Mint:
Ubuntuをベースにした人気の高いLinuxディストリビューション。特にWindowsユーザーが移行しやすいよう設計されている。DistroWatchで最も人気のあるディストリビューションの一つである。

Cinnamon:
Linux Mintの主要デスクトップ環境。GNOMEからフォークされたもので、伝統的なデスクトップレイアウトとモダンなグラフィック効果を備えている。Windowsに似た操作感が特徴。

WINE:
Windows Is Not Emulatorの略。LinuxなどのUNIX系OS上でWindowsアプリケーションを動作させるためのオープンソースソフトウェア。WindowsのAPIをLinux上に実装することでアプリケーションを動作させる。

Penguins’ Eggs:
稼働中のLinuxシステムから起動可能なISOイメージを作成するためのツール。LastOSの作者Glenn Chuggはこのツールを使用してLinux Mintをカスタマイズし、LastOSを作成した。

LL Store:
LastOSに搭載されている独自のアプリストア。LinuxアプリとWindowsアプリの両方を提供している。

LTS (Long Term Support):
長期サポート版。Linux Mint 22.1「Xia」は2029年4月までサポートされる。

【参考リンク】

LastOS公式フォーラム(外部)
LastOSの公式コミュニティフォーラム。最新情報や質問、サポート情報が得られる。

Linux Mint公式サイト(外部)
LastOSのベースとなっているLinux Mintの公式サイト。ダウンロードやドキュメントが提供されている。

Penguins’ Eggs GitHub(外部)
LastOSの作成に使用されたリマスタリングツールのリポジトリ。

WINE公式サイト(外部)
WindowsアプリケーションをLinux上で動作させるためのツールの公式サイト。

LastOS SourceForge(外部)
LastOSのダウンロードページ。「Windows長期ユーザーを念頭に置いたLinux Mint v22 LTS」と紹介されている。

【参考動画】

【編集部後記】

皆さんは、Windows 10のサポート終了後のPCの行き先について考えたことはありますか? LastOSのようなカスタマイズされたLinuxディストリビューションは、古いPCに新しい命を吹き込む選択肢の一つです。普段使っているWindowsアプリが、実はLinux上でも動作するかもしれません。もし興味があれば、仮想マシンで試してみるのはいかがでしょうか。皆さんがLinuxを試したことはありますか?また、どのようなアプリケーションがLinuxに移行する際の障壁になっているでしょうか?SNSでぜひ教えてください。

【関連記事】

テクノロジーと経済ニュースをinnovaTopiaでもっと読む


投稿者アバター
TaTsu
デジタルの窓口 代表 デジタルなことをまるっとワンストップで解決 #ウェブ解析士 Web制作から運用など何でも来い https://digital-madoguchi.com
ホーム » テクノロジーと経済 » テクノロジーと経済ニュース » LastOS:Linux Mintにネオンカラーを纏わせ、PhotoshopでもLinuxで実行する心のディストロ