世界最大のテクノロジーイベントCES 2026が、あと2日後の1月6日に開幕する。今年は量子技術が初めて専門拠点「CES Foundry」を獲得し、IKEAやMarriottといった従来型企業も初参戦する――テクノロジー産業の境界線が、いま書き換えられようとしている。
全米民生技術協会(CTA)は2026年1月2日、CES 2026が1月6日から9日までラスベガスで開催されると発表した。13会場、260万平方フィート(純面積)で展開され、イノベーションアワードには記録的な3600件以上の応募があった。
主要トレンドはAI、デジタルヘルス、エネルギー、エンタープライズ、モビリティ、ロボティクスの6分野である。新たにフォンテーヌブローに「CES Foundry」が設置され、AIと量子技術に特化した拠点となる。基調講演には、AMD CEOのリサ・スー(1月5日)、Siemens CEOのローランド・ブッシュ、Lenovo CEOのヤンチン・ヤン(スフィアで開催)、Caterpillar CEOのジョー・クリード(1月7日)らが登壇する。
400以上のカンファレンスセッションに1300人以上のスピーカーが参加し、IKEA、Marriott Internationalなどが初出展する。
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WHAT NOT TO MISS AT CES 2026

【編集部解説】
CES 2026は、単なる展示会ではなく、テクノロジー産業の今後1年間の方向性を決定づける重要な「意思決定の場」となっています。特に注目すべきは、イノベーションアワードへの応募が3600件を超え、過去最高を記録した点です。この数字は、世界中の企業がCESを製品発表の最適なタイミングと認識していることを示しています。
新設される「CES Foundry」は、AIと量子技術に特化した初の専門拠点として、1月7-8日にフォンテーヌブローで展開されます。IBM、D-Wave、量子コンピューティング各社によるライブデモが予定されており、量子技術が実験室から商用化へと移行する転換点を象徴する場となるでしょう。
AMD CEOのリサ・スー博士による基調講演は、半導体業界の今後を占う上で極めて重要です。彼女はTIME誌の「2024 CEO of the Year」に選ばれた人物であり、データセンターからエッジデバイスまでのAI展開戦略を明らかにすると予想されています。
今回のCESでは、製造、ウェアラブル、女性の健康という3つの新しいカンファレンストラックが設けられました。特に女性の健康分野は1000億ドル市場として注目されており、「デフォルトの男性AI」を終わらせるというセッションタイトルが示すように、これまで見過ごされてきた医療技術の偏りを是正する動きが加速しています。
IKEAやMarriott Internationalといった従来のテクノロジー企業ではない大手ブランドが初出展する点も見逃せません。これは「すべての企業がテクノロジー企業になる」というデジタルトランスフォーメーションの本格化を物語っています。
エネルギー分野では、AIやクラウドの高電力需要に対応するため、原子力発電を含む多様なエネルギー源が議論されます。特に韓国電力公社(KEPCO)や韓国水力原子力発電(KHNP)の出展は、データセンター向けの安定電力供給が世界的な課題となっていることを反映しています。
【用語解説】
CES(Consumer Electronics Show)
全米民生技術協会(CTA)が主催する世界最大級のテクノロジー見本市。毎年1月にラスベガスで開催され、家電からAI、モビリティまで幅広い技術分野の製品発表や基調講演が行われる。業界の方向性を決定づけるイベントとして位置づけられている。
CES Foundry
CES 2026で新設されるAIと量子技術専門の展示・カンファレンス拠点。フォンテーヌブロー・ラスベガスを会場とし、これまで分散していた先端技術関連の展示やセッションを集約する。イノベーター、投資家、政府関係者を結びつける役割を担う。
量子技術(Quantum Technology)
量子力学の原理を応用した技術の総称。量子コンピューティング、量子通信、量子センシングなどが含まれる。従来のコンピュータでは解決困難な複雑な計算を高速処理できる可能性があり、創薬、金融、暗号解読などへの応用が期待される。
イノベーションアワード
CESが毎年開催する製品・技術コンペティション。デザイン、エンジニアリング、機能性などの観点から評価され、受賞製品はCES会場内の専用ショーケースに展示される。応募数の推移は業界の活況度を示す指標となる。
スフィア(Sphere)
ラスベガスにある球体型エンターテインメント施設。2023年開業。高さ約112メートル、幅約157メートルの巨大LED球体で、内部には約18,000席の劇場空間がある。CES 2026ではLenovoの基調講演会場として使用される。
データセンター
大量のサーバーやネットワーク機器を集約し、データの保存・処理・配信を行う施設。AI学習やクラウドサービスの需要増加により電力消費が急増しており、安定的なエネルギー供給が世界的な課題となっている。
【CES 2026 主要トレンド・企業・セッション一覧】
| 分野 テーマ | 企業/団体名 | 担当者/ 登壇者名 | 主な展示内容 発表トピック | セッション イベント名 | 開催日 時間 | 会場・場所 | 出展区分 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| AI | AMD | Dr. Lisa Su (Chair and CEO) | AIが世界をどのように変えているか、データセンターからエッジデバイスまでの戦略 | Keynote | 2026年1月5日 午後6:30 | The Venetian | 基調講演 |
| AI / 基盤技術 | CTA (Consumer Technology Association) | Gary Shapiro (Executive Chair and CEO), Kinsey Fabrizio (President) | CES 2026の開幕とステート・オブ・ザ・インダストリー | Keynote | 2026年1月6日 午前8:30 | The Venetian | 基調講演 |
| エンタープライズ / 産業 | Siemens | Dr. Roland Busch (President and CEO) | 産業オートメーションとデジタルツインの活用 | Keynote | 2026年1月6日 午前8:30 | The Venetian | 基調講演 |
| コンピューティング / AI | Lenovo | Yuanqing Yang (Chairman and CEO) | AIコンピューティングの未来(ゲスト:NVIDIA Jensen Huang, Intel Lip-Bu Tan等) | Keynote | 2026年1月6日 午後5:00 | Sphere (スフィア) | 基調講演 |
| モビリティ / 重機 | Caterpillar | Joe Creed (CEO) | 自動化技術やAI活用による建設業の変革 | Keynote | 2026年1月7日 午前9:00 | The Venetian | 基調講演 |
| AI / 量子技術 | IBM, D-Wave, Quantum Computing Inc., 他 | Michael Kratsios (Science and Technology Advisor) 等 | AIと量子技術の融合、商用化の転換点、ライブデモ | CES Foundry (New Stage) | 2026年1月7日-8日 | Fontainebleau Las Vegas (フォンテーヌブロー) | 新設展示エリア・カンファレンス |
| アクセシビリティ | Verizon Accessibility | Not in source | スマートグラス、ロボティクス、音声アシスタントなどのアクセシブル技術 | CES Accessibility Stage | 2026年1月6日-8日 (3日間) | The Venetian | 新設ステージ |
| デジタルヘルス / ウェアラブル | Abbott, Withings, Garmin, 3M 他 | Not in source | AI主導の精密医療、ウェアラブルデバイス、遠隔医療の進展 | Digital Health Exhibit | 2026年1月6日-9日 | The Venetian / LVCC North Hall | 主要展示 |
| エネルギー | KEPCO (韓国電力公社), KHNP (韓国水力原子力発電), Panasonic 他 | Not in source | データセンター向け高出力需要への対応(太陽光、風力、原子力発電) | Energy Transition Programming | 2026年1月6日-9日 | The Venetian / LVCC North Hall | 主要展示 |
| スマートホーム / ライフスタイル | IKEA | Not in source | 家具・ホームファニッシングにおけるデジタル変革 | Show Floor Exhibit | 2026年1月6日-9日 | LVCC Central Hall | 初出展 |
| ホスピタリティ / 旅行 | Marriott International | Not in source | 宿泊体験におけるテクノロジー活用 | Show Floor Exhibit | 2026年1月6日-9日 | LVCC Central Hall | 初出展 |
| モビリティ | Sony Honda Mobility, BMW, Hyundai, Waymo, Zoox 他 | Not in source | 自動運転、コネクティビティ、電動化(陸・海・空) | Mobility Ecosystem | 2026年1月6日-9日 | LVCC West Hall | 主要展示 |
| 女性の健康 (Women’s Health) | BCG, K’ept Health, PwC 他 | Not in source | デフォルト男性AIの是正、1000億ドル規模の市場開拓 | Women’s Health Track | 2026年1月6日 午前9:00〜 | The Venetian, Marcello 4404 | 新設トラック |
| クリエイターエコノミー | Consumer Technology Association | Not in source | クリエイターの手法、ブランド提携、成功指標の分析 | CES Creator Space / Stage | 2026年1月6日-8日 | LVCC Central Hall | 専門エリア |
【参考リンク】
CES公式サイト(外部)
CES 2026の公式情報サイト。基調講演スケジュール、出展者リスト、イノベーションアワード受賞製品などを掲載している
AMD(Advanced Micro Devices)(外部)
米国の半導体メーカー。CEOのリサ・スー博士がCES 2026で基調講演を行う予定である
Siemens(外部)
ドイツの総合電機メーカー。産業オートメーション、デジタルインダストリー、スマートインフラなどを提供している
Lenovo(外部)
中国の多国籍テクノロジー企業。CEOのヤンチン・ヤンがスフィアで基調講演を実施予定である
Caterpillar(外部)
米国の建設機械・重機メーカー。自動化技術やAI活用による建設業の変革を推進している企業である
CES Foundry(外部)
AIと量子技術に特化したCES 2026の新拠点に関する公式ページ。プログラムスケジュールなどを提供している
韓国電力公社(KEPCO)(外部)
韓国最大の電力会社。データセンター向けエネルギーソリューションの開発にも注力している組織である
【参考記事】
CES Innovation Awards 2026: A Record-Breaking Year of Innovation(外部)
CES 2026のイノベーションアワードが過去最高の応募数を記録したことを報じる記事である
Dr. Lisa Su, Chair and CEO of AMD, to Keynote CES 2026 on how AI is Changing the World(外部)
AMD CEOリサ・スー博士のCES 2026基調講演に関する公式プレスリリースである
AMD Chair Dr. Lisa Su to deliver CES 2026 keynote, spotlighting AI’s expanding role(外部)
リサ・スー博士がTIME誌の「2024 CEO of the Year」に選出されたことを伝える記事
CES Foundry – Where AI and Quantum Take Center Stage at CES 2026(外部)
新設されるCES FoundryがAIと量子技術の専門拠点として機能することを紹介している
【編集部後記】
CES 2026の開催までもう少しとなりました。今年のCESでは、AIと量子技術が初めて専用の拠点「CES Foundry」を持つことになります。これは単なる展示の変化ではなく、これらの技術が実験段階から実用段階へと移行しつつある証なのかもしれません。
みなさんは、どの分野の発表に最も注目されていますか?個人的には、IKEAやMarriottといった従来型企業がテクノロジーイベントに初参加する動きが気になっています。これは私たちの日常生活に、どのような変化をもたらすのでしょうか。CESの発表を一緒に追いかけながら、未来の輪郭を探っていきたいと思います。
































