Last Updated on 2024-12-04 12:34 by admin
Ubisoftは2024年12月3日、フリー・トゥ・プレイFPSゲーム「XDefiant」の開発中止を発表した。エグゼクティブプロデューサーのMark Rubinは、目標とした品質基準を達成できなかったことを理由に挙げてる。
XDefiantは2021年に「Tom Clancy’s XDefiant」として発表され、様々なUbisoftフランチャイズの要素を取り入れたマルチプレイヤーシューターとして開発が進められてきた。2023年10月まで複数回のプレイテストを実施したが、技術的な課題を解決できず、開発中止という結論に至った。
from Ubisoft discontinues development on free-to-play shooter XDefiant
【編集部解説】
市場環境の変化
フリー・トゥー・プレイFPSゲーム市場は、近年非常に競争が激化しています。「Call of Duty: Warzone」や「Apex Legends」などの強力なタイトルが市場を席巻する中、新規参入の「XDefiant」は独自性を打ち出すことができませんでした。
特筆すべきは、XDefiantがスキルベースマッチメイキング(SBMM)を採用しなかったことです。これは「より古き良きアーケードシューターの体験を取り戻す」という意図でしたが、結果として新規プレイヤーの定着率低下を招いた可能性があります。
開発・運営の課題
Ubisoftは当初、XDefiantを「クォータリーロードマップに基づいたコンテンツ提供で長期的に確立していく」と説明していました。しかし、リリース後わずか7ヶ月での開発中止は、フリートゥープレイモデルの難しさを浮き彫りにしています。
初期の1,500万プレイヤー獲得は印象的でしたが、プレイヤーの維持に失敗したことは、ゲームの本質的な魅力や運営戦略に課題があったことを示唆しています。
ゲーム業界への影響
この事例は、大手ゲーム会社であっても、フリートゥープレイ市場での成功が容易ではないことを示しています。2024年はゲーム業界全体で10,000人以上の雇用が失われており、XDefiantの失敗はこの傾向に拍車をかけることになりそうです。
今後の展望
Ubisoftは「Rainbow Six」「The Crew」「For Honor」などで成功を収めており、今後もGames as a Service(GaaS)戦略を継続する方針です。しかし、今回の失敗を受けて、より慎重な市場参入戦略が求められることになりそうです。
特に日本のゲーム開発にとって、大阪スタジオの閉鎖は大きな損失となります。フリートゥープレイモデルの採用については、より綿密な市場分析と、地域特性を考慮した戦略が必要となるでしょう。
【用語解説】
フリートゥープレイ(F2P)
基本プレイが無料で、収益は課金アイテムから得るビジネスモデルです。日本でいえば「パズドラ」や「モンスト」と同じ仕組みです。
スキルベースマッチメイキング(SBMM)
プレイヤーの実力に応じて対戦相手を振り分けるシステムです。例えるなら、将棋の段位制度のようなものです。
ファーストパーソンシューティング(FPS)
一人称視点のシューティングゲームの総称。現実の人間の視点と同じ視点でゲーム内空間を歩き回る事ができる。
Games as a Service(GaaS)
ゲームを売り切り型の商品としてではなく、継続的にアップデートを行うサービスとして提供するビジネスモデルです。基本プレイ無料で、ゲーム内課金やDLCで収益を得る形式が一般的です。