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サムスン、世界初の6K裸眼3Dと1,040Hz対応のOdyssey 2026ゲーミングモニター5モデルを発表

[更新]2025年12月25日

 - innovaTopia - (イノベトピア)

サムスン電子は2025年12月24日、2026年モデルのOdysseyゲーミングモニターラインナップを発表した。ラインナップは5つのモデルで構成され、世界初のメガネ不要6K 3Dディスプレイを搭載した32インチOdyssey 3D(G90XH)、世界最速1,040Hzリフレッシュレートを実現した27インチOdyssey G6(G60H)、そして解像度の異なる3種類のOdyssey G8モデルを含む。

Odyssey 3Dはリアルタイムアイトラッキング技術により視聴者の位置に応じて奥行きを調整し、ヘッドセット不要で立体視を実現する。Odyssey G6はDual Mode使用時に1,040Hz、ネイティブでは600HzのQHD表示が可能で、eスポーツレベルのモーションクラリティを提供する。IDCによれば、サムスンは144Hz以上のゲーミングモニター市場で18.8%の収益シェアを持ち、7年連続で世界首位を維持する見込みである。

From: 文献リンクSamsung Unveils New Odyssey Gaming Monitor Lineup, Featuring World-First 6K 3D and Ultra-High-Resolution Displays

【編集部解説】

今回のサムスン発表で特に注目すべきは、メガネ不要の3D技術がゲーミングモニターの主流製品として展開される点です。従来の3Dディスプレイは専用メガネやVRヘッドセットが必要でしたが、Odyssey 3Dはlenticular layer(レンチキュラー層)と呼ばれる微細なレンズ層とリアルタイムアイトラッキングカメラにより、裸眼での立体視を実現しています。この技術は視聴者の位置に応じて各ピクセルから異なる光を両目に届けることで、自然な奥行き感を生み出す仕組みです。

1,040Hzという極端なリフレッシュレートの実現も技術的に興味深い展開といえます。ただし、このスペックはHD解像度(1280×720)でのDual Mode使用時に限られ、ネイティブのQHD(2560×1440)では600Hzとなります。一般的に競技ゲーミングでは240Hzから360Hzが主流であり、240Hz以上のリフレッシュレートは人間の知覚限界に近づいているとされています。プロeスポーツ選手にとってミリ秒単位の優位性が重要な一方、これほどの高速表示を活用できるのは極めて限定的なユーザー層でしょう。

市場への影響という観点では、Samsungが144Hz以上のゲーミングモニター市場で18.8%のシェアを持ち、7年連続で首位を維持している事実が重要です。2026年モデルのOdyssey 3Dは、前年の27インチ4K 3Dモデルから32インチ6Kへとスペックを大幅に向上させており、現行の4K 3Dモデルが2,000ドルであることを考えると、新モデルはさらに高価格帯になる可能性があります。

潜在的な課題としては、3D対応ゲームタイトルの限定性が挙げられます。現時点でThe First Berserker: Khazan、Lies of P: Overture、Stellar Bladeなど一部のタイトルが最適化されているものの、ゲームスタジオとの継続的な協力体制がなければ、この技術の普及は限定的となるでしょう。また、アイトラッキング技術は基本的に一人の視聴者のみを追跡するため、複数人での同時視聴には向いていません。

長期的には、この種の高解像度・高リフレッシュレート技術はゲーミングだけでなく、クリエイティブワークや医療画像診断、3D設計など専門分野への応用が期待されます。特に6K解像度は8K普及前の過渡的な選択肢として、コンテンツ制作の現場で需要が高まる可能性があります。

【用語解説】

メガネ不要3D(Glasses-Free 3D)
特殊なメガネやヘッドセットを装着せずに立体視を実現する技術。レンチキュラーレンズとアイトラッキングを組み合わせ、視聴者の位置に応じて各目に異なる映像を届けることで奥行き感を生成する。

リフレッシュレート
ディスプレイが1秒間に画面を更新する回数をヘルツ(Hz)で表した値。数値が高いほど動きが滑らかになり、特に高速で動くゲームシーンでの視認性が向上する。

Dual Mode
1つのモニターで2つの異なる解像度とリフレッシュレートの組み合わせを切り替えられる機能。高解像度モードと高速リフレッシュレートモードを用途に応じて選択できる。

QD-OLED
Quantum Dot(量子ドット)技術とOLEDを組み合わせたディスプレイパネル。従来のOLEDより色域が広く、高いコントラスト比と深い黒を実現しながら明るさも向上させている。

【参考リンク】

Samsung Odyssey 公式製品ページ(外部)
Samsungのゲーミングモニター全ラインナップの公式サイト。Odysseyシリーズの各モデルの詳細スペック、機能説明、価格情報を掲載している。

Samsung Newsroom Global(外部)
Samsung Electronicsの公式プレスリリースサイト。今回のOdyssey 2026ラインナップ発表の原文や、製品画像、技術詳細などを掲載。

CES 2026 公式サイト(外部)
2026年1月6-9日にラスベガスで開催される世界最大級の家電見本市。Samsung Odyssey 2026ラインナップが実機展示される。

【参考動画】

Real Glasses-Free 3D Gaming (No VR Headset Needed) – Linus Tech Tips
Samsungの裸眼3Dゲーミングモニターの実機レビュー動画。アイトラッキング技術の仕組み、実際のゲームプレイでの立体視効果、視野角による見え方の変化などを詳しく解説している。

【参考記事】

Samsung’s 2026 gaming monitors promise 6K, 3D, and up to 1,040Hz refresh rates – The Verge(外部)
The Vergeによる2026年Odysseyラインナップの詳細分析。特に1,040Hzリフレッシュレートの技術的制約や、前世代モデルとの比較、価格予想について報じている。

Samsung G90XF 3D Gaming Monitor Review – Sound & Vision(外部)
2025年モデルのサムスン裸眼3Dモニター(G90XF)の詳細レビュー。レンチキュラー技術の仕組み、アイトラッキングの精度などを技術的に分析している。

Why High Refresh Rate Matters in Gaming – HP Tech Takes(外部)
高リフレッシュレートがゲーミング体験に与える影響を科学的に解説。人間の視覚システムが知覚できる限界や、240Hz以上の実用性について考察している。

【編集部後記】

1,040Hzという数値は確かにインパクトがありますが、HD解像度でしか実現できない点を考えると、実用性よりもマーケティング的な意味合いが強いのかもしれません。一方で、6K解像度のメガネ不要3Dディスプレイは、ゲーミングだけでなく3Dモデリングや医療画像の分野でも需要がありそうです。ただ、対応ゲームタイトルが限られている現状では、この技術がどこまで普及するのか疑問も残ります。プロゲーマーは本当に600Hz以上のリフレッシュレートを体感できるのでしょうか。CES 2026での実機体験レポートに注目したいところです。

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乗杉 海
SF小説やゲームカルチャーをきっかけに、エンターテインメントとテクノロジーが交わる領域を探究しているライターです。 SF作品が描く未来社会や、ビデオゲームが生み出すメタフィクション的な世界観に刺激を受けてきました。現在は、AI生成コンテンツやVR/AR、インタラクティブメディアの進化といったテーマを幅広く取り上げています。 デジタルエンターテインメントの未来が、人の認知や感情にどのように働きかけるのかを分析しながら、テクノロジーが切り開く新しい可能性を追いかけています。

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