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2月27日【今日は何の日?】「ポケモンデー」30年前の通信技術と”不完全さ”がもたらした人と人の繋がり

(アイキャッチ:ポケットモンスターオフィシャルサイトより引用)

150匹の思い出

1996年2月27日は、『ポケットモンスター』(以下:ポケモン)シリーズ初作品となる『赤・緑』が発売された日です。30年前に誕生したこの作品は、いま世界中で愛されるコンテンツへと育ちました。

モノクロ画面に映るポケモンたち。草むらから現れるポケモンたちを捕まえ、育て、戦わせ、図鑑の完成とチャンピオンを目指す、夢と冒険の世界。

小さな端末に詰め込まれたゲームが、30年後の今も人と人を繋げているのです。

この世界には、どれだけのポケモンがいるんだろうな。ずいぶん前にオーキド博士が「150種類いる!」って発表してたのを聞いたことがあるけど……ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバーより)


不完全さが生んだ物語

ポケモンの収集は、親切な設計ではありませんでした。むしろ、意図的に「不完全」であるように作られていました。

前提として、ポケモンは集めるゲームでもありながら、「どこに出現する」「どういう条件で進化する」といった情報をゲーム内で事前に与えられないことがほとんどです。プレイヤーたちは、みな手探りでポケモンを探さなければなりません。

そして、いちばん象徴的なのが、2バージョン展開です。『赤』と『緑』で出会えるポケモンが異なり、さらには、通信交換をすることでしか進化しないポケモンや、1データで1匹しか手に入らない存在もいます。最初に貰うポケモンの選択、化石の選択、「イーブイ」の進化先の選択など、「ひとりでは揃わない」要素が多く存在します。交換という行為そのものが、単なるおまけではなく、図鑑の完成という最初に示される冒険の目的に直結しているのです。

選んだ結果として、手に入らなかった選択肢があるということが「次はこうしたい」「あれも欲しい」という動機になり、同時に友人との会話を生みました。

ひとりで2台以上の本体とソフトを用意すれば解決できる問題でもありますが、それが簡単な事ではないのは言うまでもないでしょう。

さらに、同じポケモンでも、個体ごとの強さの違いがあることも、重要な要素でしょう。最強のステータスを目指すというより、「同じ名前の存在が同じではない」という感触が、ポケモンたちとの出会いを豊かにします。自分の手元の一匹が、自分だけの一匹になる。収集が単なるリスト消化ではなく、かけがえのない出会いとなり、図鑑を埋める以上の価値となっていったのです。

通信ケーブルに対応したソフトが以前から存在していたとしても、ポケモンがその通信を「遊びの必須要件」に近い位置まで押し上げました。交換はできたら楽しい機能ではなく、ゲームをクリアするための手段でした。結果として、通信ケーブルはただの周辺機器から、コミュニケーションの媒体へと意味を変えていき、遊びを社会的な体験へと変えたのです。


通信技術は世界中を繋いだ

交換や対戦に通信ケーブルが必須だった時代、交換は「同じ場所にいること」と結びついていました。放課後、休日、友達の家、近くの公園。ゲームの外側に、交換のための場が生まれる。通信は技術であると同時に、行動の設計でもありました。

時代が進むにつれ、通信の技術は大きく進歩していきました。ゲームボーイアドバンスの時代では、「ワイヤレスアダプタ」同梱の『ファイアレッド・リーフグリーン』『エメラルド』が発売されました。ケーブルを個別に買うのではなく、ソフトを買えば通信機がもれなくついてくるため、通信相手のハードルが下がりました。

ニンテンドーDSではローカルワイヤレス通信機能が本体に内蔵され、周辺機器の有無という制約から完全に解放され、交換はより日常的になりました。

さらにWi-Fi通信によって、距離の制約からも解放されていきました。目の前に相手がいなくても、交換や対戦が成立するようになります。

(ゲームボーイカラー専用として発売された『クリスタル』の時代に、携帯電話とゲームボーイを接続し、電波を利用する「モバイルアダプタGB」というものも発売されましたが、当時『クリスタル』が3800円だったのに対し、モバイルアダプタは5800円と高価なうえに、サービス利用料は別途かかり、『クリスタル』以外の対応ソフトも少なく、さらには一部の携帯電話専門店ぐらいでしか扱っておらず、自分の携帯電話を持っていない子供では買ってもらうことも、使うことも難しかったため、全くと言っていいほど浸透しませんでした)

ここで起きた変化は、単に便利になったという話ではありません。交換が「会うための理由」から、「繋がり続けるための手段」へと重心を移していきました。場の意味は変わっても、人との接点が薄れるわけではない。むしろ、接点の形が増えていきました。出会いは掲示板やSNSなどを介して広がっていきました。通信手段やゲーム機の進化を取り込みながら、「交換しないとすべては集められない」という核を残し続けました。

この核は、ゲーム本編の外側でも別の形に姿を変えています。ポケモンカードは、トレーディングカードという要素と見事にマッチしています。

今でこそ、トレーディングカード販売店は数を増やし、欲しいカードを通販で買うことも容易になりましたが、プレイヤーやコレクターたちはパックからの偶然の出会いをし、好きなポケモンたちを集め、売買という形で交換し続けているのです。

Pokémon GOは、収集の舞台を現実の世界へと移しました。地域や国による差も存在し、歩くこと、移動すること、特定の場所を訪れることが、集める体験に組み込まれています。

交換相手も原則として、フレンド登録をした上で100m以内にいる必要があるため、単なるデータのやりとりではなく、「会う」「同じ場所を共有する」といった行動と結びつきやすく、通信ケーブルの時代に生まれた「交換の場」という発想が、形を変えて回帰したとも言えます。

今では、ポケモンのステータスの計算方法や、出現場所、進化方法、技の効果や仕様、ジムリーダーの攻略方法、効率の良い育て方、オンライン対戦で勝率を上げる秘訣に至るまで、情報はすべて有志達によってまとめ上げられて、ネットで検索すれば簡単に知ることができるようになりました。

「どうやったらそんなことに気付けるのか」といった要素も今のポケモンには多くあります。攻略本は当時から多く発売されていたものの、こういった情報が流れるまでのスピード感や、アクセスの手軽さは30年前には存在しないものでした。

しかし、これもまた、通信技術の発展によって、「人と人の繋がり」の形が変わったにすぎません。誰でも大多数に向けて気軽に発信できるようになり、それを手元の端末で、いつでもどこでも見ることができるようになり、同じゲームを遊んでいる人たちを感じられるのです。

かがくの ちからって すげー!(ポケットモンスターシリーズより)


1025匹の思い出

初代『赤・緑』にはとんでもないバグや、いまでは考えられないような仕様も少なくありません。

(タマムシデパートのミュウ釣りを始めとしたセレクトバグ、はかいこうせんで相手を倒すと反動がなくなる、凍ると自然には回復しないのにふぶきは命中90%凍り確率30%、「とくこう」と「とくぼう」が「とくしゅ」という1つのステータスにまとめられている、現在のボックスがいっぱいだと自動で切りかわらずポケモンを捕まえられない、すでに捕まえたかどうかが戦闘画面で区別できない、などなど…)

ですが、「ポケモンを捕まえ、交換し、育て、戦わせ、最強のトレーナーと図鑑完成を目指す」という、シリーズの根幹となる要素はすでに揃っていました。

不完全さという余白は「ひとりで埋める」よりも「誰かと埋める」ほうが早い。交換進化やバージョン差分のように、プレイヤーが自然と集まり、情報と体験を交換する。その循環が、コンテンツを支え続けてきました。

だから今日も、通信の形が変わっても、トレーナーたちはポケモンを集め、交換し、対戦している。30年前に始まったのは、150匹と数多くのトレーナーたちの冒険であり、「繋がること」が遊びそのものになるという発想でもあったのだと思います。

ちなみに、現在では初代ポケモンは151匹と当たり前のように認識されていますが、実は初代のポケモンは150匹でした。

発売直前に、開発をしていたゲームフリークの森本氏の遊び心によって、任天堂にも秘密にプログラムに仕込まれた幻のポケモン、それこそが151匹目の「ミュウ」です。

バグによって存在が明らかになり、噂はあっという広がりました。その後は正式に存在が認められ、コロコロコミックなどでプレゼント企画が始まると、応募が殺到しました。ミュウだけでなく、「けつばん」や「アネ゙デパミ」といったバグ周りの都市伝説的な存在も、図らずユーザーたちのコミュニケーションを加速させていく要因となりました。

ポケモンは「2024年12月31日時点で最も売れているRPGゲームシリーズ」としてギネス記録に認定されており、その数は4億8531万本とされています。そのほかにも、様々な記録を樹立しています。

ポケモンの総数は1000匹を超え、『赤・緑』の7倍近い数になりました。それぞれのポケモンに誰かの思い出が宿っているはずです。

みなさんの好きなポケモンは何でしょうか?私の相棒は「ヘルガー」と「レアコイル」です。


Information

2026年2月27日23時からはYouTubeにて「Pokémon Presents」の放送が予定されており、放送終了後には初代『赤・緑』のリメイク版である『ファイアレッド・リーフグリーン』がNintendo Switch向けにニンテンドーeショップで発売される予定です。

また、ポケモンセンターオンラインでは、当時のデザインを再現したパッケージと、最初の3匹が描かれたモンスターボール型ガラス製オブジェがセットになった特別版も販売されます。

「Pokémon Day」を記念して、「Pokémon Presents」が放送決定!|ポケットモンスターオフィシャルサイト
ポケモン公式サイトによる「Pokémon Presents」の告知ページ

ポケモン公式YouTubeチャンネル|YouTube
「Pokémon Presents」が放送される公式YouTubeチャンネル

Nintendo Switchソフト『ポケットモンスター ファイアレッド』特別版|ポケモンセンターオンライン
Nintendo Switchソフト『ポケットモンスター リーフグリーン』特別版|ポケモンセンターオンライン

Nintendo Switch向けダウンロードソフト『ファイアレッド・リーフグリーン』特別版の販売ページ

今年は『Pokémon GO』10周年、ポケモン30周年!この節目に合わせて「What’s Your Favorite?」が登場します|Pokémon GO公式サイト
Pokémon GO10周年、ポケモンシリーズ30周年を記念した新機能の紹介ページ。お気に入りのポケモンと一緒に映った写真が撮れる

『ポケモンGo』認定された5つのギネス世界記録と『ポケモン』の記録|GUINNESS WORLD RECORDS
ポケモンシリーズが樹立した様々なギネス記録を紹介しているギネス公式ページ

30周年記念商品特集|タカラトミー公式サイト
ポケモン30周年記念グッズの紹介ページ。初代のピカチュウのグラフィックをモデルにしたぬいぐるみや、歴代の最初の3匹のグッズが販売される

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りょうとく
趣味でデジタルイラスト、Live2Dモデル、3Dモデル、動画編集などの経験があります。最近は文章生成AIからインスピレーションを得るために毎日のようにネタを投げかけたり、画像生成AIをお絵描きに都合よく利用できないかを模索中。AIがどれだけ人の生活を豊かにするかに期待しながら、その未来のために人が守らなけらばならない法律や倫理、AI時代の創作の在り方に注目しています。

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