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Musk、Xのレコメンドアルゴリズム全公開を宣言―4週間ごとの定期更新で透明性向上

Musk、Xのレコメンドアルゴリズム全公開を宣言――4週間ごとの定期更新で透明性向上 - innovaTopia - (イノベトピア)

イーロン・マスクは2026年1月10日、X(旧Twitter)の新しいアルゴリズムを7日以内にオープンソース化すると発表した。公開されるのは、ユーザーにオーガニック投稿と広告投稿をレコメンドする際に使用されるすべてのコードである。

このオープンソース化は4週間ごとに繰り返され、包括的な開発者向けノートとともに提供される。これにより、開発者やユーザーはアルゴリズムの変更内容を理解できるようになる。

From: 文献リンクElon Musk on X: “We will make the new 𝕏 algorithm, including all code used to determine what organic and advertising posts are recommended to users, open source in 7 days. This will be repeated every 4 weeks, with comprehensive developer notes, to help you understand what changed.”

【編集部解説】

今回のMuskの発表は、実はXにとって「2度目」のアルゴリズム公開への挑戦です。

Xは2023年3月に初めてレコメンドアルゴリズムをGitHub上で公開し、当時も大きな話題となりました。その後2025年9月には更新版を公開し、2週間ごとの定期更新を約束していました。しかし専門家からは「コードの構造は見えても、モデルの重みやトレーニングデータ、実際の設定値が公開されていないため、真の透明性とは言えない」という批判が続いていました。

今回の発表で注目すべきは「新しいアルゴリズム」という表現と、広告投稿のレコメンドコードも含まれる点です。従来、多くのプラットフォームは広告配信ロジックを企業秘密として厳重に保護してきました。この領域まで公開するという宣言は、SNS業界において前例のない透明性への一歩と言えるでしょう。

4週間ごとの定期公開と包括的な開発者ノートの提供により、研究者やエンジニアはアルゴリズムの変化を追跡できるようになります。これは、プラットフォームがどのような意図で情報の流れを形作っているのかを、外部から検証可能にする試みです。

ただし、過去の経験から慎重に見守る必要もあります。コードが公開されても、実際にそれが本番環境で動作しているコードと同一かどうか、またモデルの学習に使われたデータや重みパラメータまで公開されるかどうかは不明です。真の意味でアルゴリズムを再現し検証するには、これらの要素がすべて必要になります。

欧州のデジタルサービス法(DSA)をはじめ、世界各国でSNSプラットフォームへの透明性要求が高まっています。Xの取り組みは、規制に先んじた自主的な透明化の試みとして評価できる一方、法的要求を満たす水準に達しているかは今後の公開内容次第です。

アルゴリズムの透明化は、ユーザーが自分のフィードがどう形成されるかを理解し、プラットフォーム側の恣意的な操作を抑制する効果が期待されます。一方で、悪意ある者がシステムの脆弱性を突いてスパムや誤情報を拡散させるリスクも伴います。7日後の公開内容が、この両面のバランスをどう取るのか注目されます。

【用語解説】

オープンソース
ソフトウェアのソースコードを無償で公開し、誰でも閲覧・改変・再配布できるようにする開発モデル。透明性が高く、第三者による検証や改善が可能になる。

レコメンドアルゴリズム
ユーザーの過去の行動や興味関心に基づいて、表示するコンテンツを選別・順位付けする仕組み。SNSのタイムラインやECサイトの商品提案などで広く使われている。

オーガニック投稿
広告ではない、ユーザーや企業が通常の投稿として発信するコンテンツ。有料プロモーションを伴わない自然な投稿を指す。

モデルの重み(ウェイト)
機械学習モデルにおいて、各入力データがどの程度重要かを示すパラメータ。学習過程で最適化され、モデルの判断基準を決定する。コードだけでなくこの数値も公開されないと、アルゴリズムの完全な再現は困難である。

トレーニングデータ
機械学習モデルを学習させるために使用される元データ。SNSの場合、過去のユーザー行動やエンゲージメントデータなどが該当する。このデータの質と量がモデルの性能を左右する。

デジタルサービス法(DSA)
2022年に発効した欧州連合の規制で、SNSを含むデジタルサービス事業者に対し、コンテンツモデレーションやアルゴリズムの透明性などを義務付けるもの。月間アクティブユーザー4500万人以上の大規模プラットフォームには特に厳格な要件が適用される。

【参考リンク】

X(旧Twitter)公式サイト(外部)
Elon Muskが所有するSNSプラットフォーム。2023年7月にTwitterからXへとブランド変更された。

GitHub – twitter/the-algorithm(外部)
Xのレコメンドアルゴリズムのソースコードが公開されているリポジトリ。2023年3月に初公開。

欧州委員会 – デジタルサービス法(DSA)(外部)
DSAの公式情報ページ。規制の詳細や適用範囲などが掲載されている。

【参考記事】

Musk’s X to Open Source New Algorithm in Seven Days(外部)
Elon Muskが新アルゴリズムを7日以内にオープンソース化すると発表したことを報じる記事。

Elon Musk announced the open-sourcing of the X algorithm within a week(外部)
プラットフォームの透明性向上への取り組みであることを強調した報道記事。

Source code for the X Recommendation Algorithm(外部)
2023年3月に公開されたXのレコメンドアルゴリズムの公式GitHubリポジトリ。

The Transparency Theater of X(外部)
Xのアルゴリズム公開が真の透明性には至っていないと批判する2025年9月の記事。

X’s Open Source Algorithm – Unveiling the code, but not the secrets(外部)
コードだけでは完全な理解や再現は不可能であると技術的観点から解説する記事。

Elon Musk Says In One Week He Will Fully Reveal Why Your X Timeline Is Like That(外部)
Gizmodoによる報道。タイムライン構成が明らかになることへの期待を報じる。

【編集部後記】

普段何気なく眺めているXのタイムライン。そこに並ぶ投稿の順番は、誰がどのように決めているのでしょうか。今回のアルゴリズム公開は、その「見えない仕組み」を可視化する試みです。

7日後に公開されるコードを実際に見てみるのも面白いかもしれません。技術的な理解が難しくても、どんな要素がレコメンドに影響しているのか、開発者ノートから読み取れることがあるはずです。あるいは、このような透明化の動きが他のプラットフォームにも広がるのか、今後の展開を一緒に見守っていきませんか。

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TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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