オープンソースCMSの雄、Drupalが25年の歴史で最大の転換を迎えた。「強力だが難しい」という評価を覆すべく、マーケターでも3分でサイト構築できるビジュアルビルダーとAI機能を搭載したDrupal CMS 2.0が登場。BBC、UNICEF、Teslaなど50万サイトを支えるプラットフォームは、開発者とマーケターの境界を再定義しようとしている。
Drupal Associationは2026年1月28日、Drupal CMS 2.0のリリースを発表した。これは同プラットフォームの25年の歴史における最大の進化とされる。新バージョンでは、ビジュアルページ構築インターフェースであるDrupal Canvasを導入し、非開発者でも事前構築されたテンプレートとオプションのAIを使用して、3分未満で完全なサイトインストールが可能になった。
主な機能として、ドラッグアンドドロップによるビジュアルファースト構築、SaaSベース製品のマーケティングサイトであるByteを含むサイトテンプレート、テキストプロンプトからページを生成するAI搭載ツール、Mailchimp、Google Analytics、Google Tag Manager、AIとのワンクリック統合を備える。Drupal Core 11.3上に構築され、10年で最大のパフォーマンス向上を実現している。
現在、BBC、UNICEF、Teslaなどを含む50万以上のWebサイトがDrupal上で稼働し、年間35億ドルの経済効果を生み出している。
From:
DRUPAL REINVENTS OPEN SOURCE CONTENT MANAGEMENT WITH LAUNCH OF DRUPAL CMS 2.0
【編集部解説】
今回のDrupal CMS 2.0リリースは、オープンソースCMS市場における重要な転換点です。注目すべきは、Drupalが25年の歴史で初めて「強力だが難しい」という評価を本格的に覆そうとしている点にあります。
従来のDrupalは開発者向けのプラットフォームとして高い評価を得てきましたが、非技術者にとっては敷居が高いという課題がありました。今回導入されたDrupal Canvasは、WordPressやWebflowのような直感的な視覚編集体験をDrupalにもたらします。これにより、マーケティングチームが開発者に依存せず、自律的にサイト構築できる環境が整いました。
技術的な側面では、Drupal Core 11.3による約33%のパフォーマンス向上が特筆されます。データベースとキャッシュ操作が大幅に削減され、同じインフラで26〜33%多くのリクエストを処理できるようになりました。これは10年で最大のパフォーマンス改善とされています。
AI機能の統合も見逃せません。テキストプロンプトからページを生成する機能は、オーケストレーションエージェントが作業を計画し、Canvas Template AgentがコンポーネントやコンテンツをPDFなどのドキュメントも含めて検証しながら生成します。重要なのは「人間をループに保つ」設計思想で、AIが生成した結果を人間が最終的にレビュー・編集できる点です。
エンタープライズ市場への影響も大きいでしょう。BBC、UNICEF、Teslaといった組織がすでにDrupalを採用しており、年間35億ドルの経済規模を持つエコシステムが形成されています。今回の進化により、技術リソースが限られた中規模組織でもエンタープライズグレードのサイト構築が現実的になります。
一方で、オープンソースの本質を維持しながら使いやすさを追求するバランスは今後も課題となるでしょう。Drupal CMSとDrupal Coreの分離戦略は、初心者向けの簡易版と開発者向けの強力な基盤を両立させる試みですが、この二層構造が新規ユーザーにどう受け入れられるかが注目されます。
【用語解説】
CMS(Content Management System)
Webサイトのコンテンツを管理するためのシステム。技術的な知識がなくてもWebサイトの構築や更新が可能になる。
オープンソース
ソフトウェアのソースコードが公開され、誰でも自由に使用、修正、再配布できる開発モデル。コミュニティ主導で改善が進められる。
ビジュアルページビルダー
プログラミング知識なしにドラッグ&ドロップ操作でWebページを構築できるツール。視覚的な編集体験を提供する。
エンタープライズグレード
大規模組織の要求に応えられる水準のセキュリティ、パフォーマンス、拡張性、サポート体制を備えていることを示す。
デジタル公共財(Digital Public Good)
国連が定める基準を満たし、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献するオープンソースソフトウェアやデータ、コンテンツ。
【参考リンク】
Drupal CMS 公式サイト(外部)
Drupal CMS 2.0の詳細情報、ダウンロード、ドキュメント、コミュニティリソースを提供する公式ページ
Drupal Association(外部)
Drupalプロジェクトを支援する非営利組織の公式サイト。コミュニティ活動やイベント情報を提供
Dries Buytaert 公式ブログ(外部)
Drupal創設者ドリース・ブイタートによる公式ブログ。Drupalの開発方針やビジョンに関する第一次情報
WordPress 公式サイト(外部)
世界で最も広く使用されているオープンソースCMS。Drupalと比較されることが多い競合プラットフォーム
【参考動画】
Getting Started with Drupal CMS V2
WebWash(2026年1月28日公開)Drupal CMS 2.0のリリース日に公開された入門動画。インストール方法と新機能の概要を解説している。
Drupal CMS 2.0 here – Is Drupal finally easier than WordPress?
(2026年1月29日公開)Drupal CMS 2.0の新機能であるDrupal Canvas、AI搭載サイト生成、Recipeシステムを実際のデモを通じて詳しく解説。WordPressとの比較も行っている。
【参考記事】
Drupal CMS 2.0 released(外部)
Drupal創設者本人によるリリース発表。AI機能の「人間をループに保つ」設計思想を解説
Drupal CMS 2.0 is here: Visual building, AI, and site templates transform Drupal(外部)
Drupal公式ブログによる詳細な発表記事。ビジュアルビルダー、AI、テンプレートの技術的詳細を説明
Drupal CMS 2.0 Is Here – Power Without Complexity(外部)
The DropTimesによる包括的レビュー。主要機能、コミュニティへの影響、市場での位置付けを分析
Drupal 11.3 Boosts Performance by 33% with Optimized Database and Cache Operations(外部)
Tag1による技術解説。データベース最適化により26〜33%多くのリクエストを処理可能になった具体的数値を提示
【編集部後記】
オープンソースの世界では「強力だが難しい」というジレンマが常につきまといます。Drupalが25年かけて到達したこの答えは、皆さんが普段使っているツール選びにも通じるものがあるのではないでしょうか。技術的な自由度と使いやすさ、この二つを本当に両立できるのか。
あるいは、開発者とマーケターが同じプラットフォーム上で協働する未来は実現可能なのか。今回のDrupalの挑戦は、そんな問いへの一つの回答かもしれません。皆さんはどう感じられますか?






がもたらす「アンテザード・ソサエティ」の衝撃-300x200.png)





























