2025年3月4日、Mozillaは最新版のウェブブラウザ「Firefox 136」をリリースした。主要な新機能は以下の通り
垂直タブの内蔵サポート
- タブのファビコンのみ表示まで縮小可能
- Firefoxの統合サイドバーに加えて表示
- 同期タブ、履歴、ブックマークなどの機能にアクセス可能
- LinuxとWindows向けのネイティブArm64ビルド
- AMD GPUを搭載したLinuxユーザー向けのハードウェア支援による動画デコード
- MacユーザーへのHEVC(H.265)動画ファイルのハードウェア支援再生
- Apple Silicon搭載Macでの省電力化
- HTTPS-Firstポリシーの導入
- Androidユーザー向けのサイト読み込み問題の報告機能
Firefox 136は、Mozilla FTPサーバーですでに公開されており、メインウェブサーバーにも順次配信される。この更新は、前バージョンで「Do Not Track」機能が削除された後のユーザーへの対応として位置付けられている。
なお、Google Chromeの最新版ではuBlock Origin拡張機能が無効化されたが、Firefoxとその派生ブラウザ(LibreWolf等)ではこの拡張機能が引き続き利用可能である。Waterfoxは現在Firefox 128 ESRをベースにしている。
from:Firefox 136 finally brings the features that fans wanted
【編集部解説】
垂直タブ機能は、長年ユーザーから要望の高かった機能です。ワイドスクリーンディスプレイの普及に伴い、画面の横幅を効率的に使用できるこの機能は、多くのタブを開いて作業する方々にとって朗報となるでしょう。従来のTree Style Tabs(TST)拡張機能とは異なり、内蔵機能としての安定性と統合性が期待できます。
ハードウェア支援による動画デコード機能の拡充も注目です。AMD GPUを搭載したLinuxユーザーやMacユーザーにとっては、動画視聴時のCPU負荷軽減やバッテリー消費の抑制につながります。
HTTPS-Firstポリシーの導入は、ユーザーのプライバシーとセキュリティを強化する重要な一歩です。これにより、暗号化されていない通信が減少し、インターネット全体のセキュリティ向上に貢献することが期待されます。
Android版の新機能として、サイト読み込み問題の報告機能が追加されました。これにより、モバイルユーザーのブラウジング体験向上に向けたフィードバックがより容易になります。
しかし、これらの新機能には潜在的な課題もあります。例えば、垂直タブ機能は従来のブラウジング習慣に慣れたユーザーにとっては違和感を覚える可能性があります。また、ハードウェア支援による動画デコード機能は、対応するハードウェアを持つユーザーに限定されるため、恩恵を受けられないユーザーも多いでしょう。
長期的な視点で見ると、Firefoxの今回のアップデートは、ブラウザ市場における競争を活性化させる可能性があります。特に、プライバシーとセキュリティに重点を置いた機能強化は、他のブラウザベンダーにも影響を与え、インターネット全体のセキュリティ向上につながるかもしれません。
Firefox 136の登場は、オープンソースブラウザの進化を示す重要なマイルストーンと言えるでしょう。ユーザーのニーズに応えつつ、新しい技術を積極的に取り入れる姿勢は、今後のウェブブラウジングの方向性を示唆しています。