Last Updated on 2025-04-17 14:33 by admin
Xは現在のダイレクトメッセージ(DM)機能を刷新し、新たなメッセージングプラットフォーム「XChat」に置き換える計画を進めている。この情報は2025年4月16日、XのソフトウェアエンジニアであるZack Warunekが同プラットフォーム上で明らかにした。
Warunekはユーザーからの質問に対し「DMページはまもなく削除される」と回答し、「DMそのものがまもなく完全になくなる」と述べた。ただし、X社の別の従業員によれば、これはDM機能の完全な廃止ではなく、機能を拡張した新しいメッセージングプラットフォームへの移行を意味するという。
XChatは現在のDM機能を拡張したメッセージングプラットフォームで、以下の機能を備える予定である
- エンドツーエンドの暗号化
- PDFなどのファイル送信機能
- 消えるメッセージ機能(Vanishing mode)
- メッセージの既読ステータスを取り消す機能
- 自分だけでなくチャット内の全員のメッセージを削除する機能
- 4桁のPINコードによるセキュリティ強化
独立系ウェブ開発者のNima Owjiは2025年4月9日、XChatのプレビュースクリーンショットをXで共有した。このスクリーンショットでは、メッセージの削除オプションやPINコード入力機能が確認できる。
イーロン・マスクCEOは2024年12月、電話番号の使用を停止し、Xのみを通信手段として使用する意向を示していた。この動きは、XをWhatsAppなどの競合メッセージングサービスと競争させる戦略の一環とみられている。
XChatの正式リリース日は未定だが、複数のX従業員が公に機能について議論していることから、近日中の展開が予想される。この変更は、マスクがXを「すべてを一つにまとめたアプリ」に変革する構想の一部と考えられている。
from:X will purge DMs to give birth to its own messaging platform
【編集部解説】
最新の情報によると、Xが現在のDM(ダイレクトメッセージ)機能を「XChat」という新しいメッセージングプラットフォームに置き換えるという噂が広がっていますが、実際の状況はやや複雑なようです。
まず、この噂の発端となったのは、X社のソフトウェアエンジニアを名乗るZack Warunek氏の発言です。彼は2025年4月16日、あるユーザーからのDM機能に関する質問に対して「DMページはまもなく削除される」「DMそのものがまもなく完全になくなる」と回答しました。この発言が多くのメディアで取り上げられ、Xが完全にDM機能を廃止するという解釈が広まりました。
しかし、複数の情報源を確認すると、実際にはDM機能そのものが完全に廃止されるわけではなく、現在のDM機能が「XChat」という新しい名称とインターフェースに刷新される予定であることがわかります。つまり、プライベートメッセージング機能自体は残りますが、その形態と機能が大幅に拡張されるというのが正確な理解のようです。
X社の別の従業員も、XChatは基本的にプラットフォームのDMセクションの「書き直し」であり、DMを完全に廃止するわけではないと説明しています。これは単なる名称変更ではなく、機能の大幅な拡張を伴うアップグレードと考えるべきでしょう。
XChatが目指す新たなメッセージング体験
XChatの開発は、イーロン・マスクCEOが掲げる「すべてを一つにまとめたアプリ」というX(旧Twitter)の変革ビジョンの一環と位置付けられています。
マスクは2024年12月に「電話番号を削除し、Xのみを通信手段として使用する」と発言しており、これはXをWhatsAppやWeChatのような総合メッセージングプラットフォームに発展させる意図を示唆しています。
XChatで予定されている主な機能強化には、エンドツーエンドの暗号化、PDFなどのファイル送信機能、消えるメッセージ機能(Vanishing mode)、メッセージの既読ステータスを取り消す機能、チャット内の全員のメッセージを削除する機能、PINコードによるセキュリティ強化などが含まれています。これらの機能は、現在のDMよりもはるかに高度なプライバシー保護とユーザー体験を提供することを目指しています。
特に注目すべきは、エンドツーエンドの暗号化機能です。これにより、メッセージの内容はX社のサーバーでも読み取れなくなり、送信者と受信者のみがメッセージを閲覧できるようになります。現代のメッセージングアプリでは標準的な機能となっていますが、Xにとっては大きな前進と言えるでしょう。
XChatの市場における位置づけと戦略的意義
XChatの開発は、単なる機能強化以上の戦略的意義を持っています。現在のメッセージング市場は、WhatsApp、Telegram、Signal、LINE、iMessageなど多くのプレイヤーが存在する激戦区です。
特にWhatsAppは世界で20億人以上のユーザーを抱え、Meta(旧Facebook)の重要な資産となっています。Xが約3億人の月間アクティブユーザーを持つプラットフォームとして、この市場に本格参入することは大きな挑戦です。
しかし、Xには独自の強みがあります。すでに確立されたソーシャルメディアプラットフォームとしての基盤があり、ニュース、エンターテイメント、ビジネスコミュニケーションなど多様な用途で利用されています。XChatがこれらの既存機能と緊密に統合されれば、ユーザーにとって魅力的な選択肢となる可能性があります。
また、マスクはX Money(決済サービス)やX Mail(メールサービス)などの開発も検討していると報じられており、中国のWeChatのような「スーパーアプリ」を目指す戦略の一部と見ることができます。ただし、これらのサービスの具体的な開発状況や実現時期については、現時点で確定的な情報はありません。
プライバシーとセキュリティの課題
XChatの導入は、プライバシーとセキュリティの観点からも重要な意味を持ちます。エンドツーエンドの暗号化やPINコードによる保護など、高度なセキュリティ機能の実装は、ユーザーのプライバシー保護に対するX社の姿勢を示すものです。
一方で、こうした機能強化は新たな課題も生み出します。暗号化されたメッセージングプラットフォームは、違法活動やハラスメントの温床になる可能性も指摘されています。X社がこれらの問題にどう対処するかは、XChatの成功に大きく影響するでしょう。
また、ユーザーデータの取り扱いや各国の規制への対応も重要な課題です。特に欧州のGDPRや各国のデジタル規制法との整合性を確保することが必要になります。
今後の展望と業界への影響
XChatの正式リリース日は未定ですが、複数の情報源によれば「近日中」の公開が予想されています。この機能がどの程度受け入れられるかは、実装の完成度やユーザー体験の質に大きく依存するでしょう。
成功すれば、XChatはメッセージングアプリ市場に新たな競争をもたらし、WhatsAppやTelegramなどの既存プレイヤーに革新を促す可能性があります。特に、ソーシャルメディアとメッセージングの融合という点で、新たな標準を作り出すかもしれません。
また、X社の「すべてを一つにまとめたアプリ」戦略の成否は、デジタルプラットフォームの未来にも影響を与えるでしょう。現在のインターネット環境は多くの専門アプリに分断されていますが、Xのようなプラットフォームがこれらを統合する流れを作れば、ユーザー体験や市場構造に大きな変化をもたらす可能性があります。
テクノロジー業界を注視する私たちinnovaTopiaとしては、XChatの展開を引き続き追跡し、この新たなメッセージングプラットフォームがデジタルコミュニケーションの未来にどのような影響を与えるか、詳細に分析していきたいと思います。
【用語解説】
DM(ダイレクトメッセージ):
ソーシャルメディア上で特定のユーザーに直接送信できるプライベートメッセージ機能。Xでは現在この機能が「XChat」に置き換えられる予定である。
エンドツーエンド暗号化:
メッセージが送信者から受信者まで途中で誰にも(運営企業を含む)閲覧できないよう暗号化する技術。
イーロン・マスク:
X(旧Twitter)、Tesla、SpaceXなどの企業のCEOを務める実業家。テクノロジー分野で革新的な取り組みを行っていることで知られている。
WhatsApp:
Meta(旧Facebook)が所有する世界最大級のメッセージングアプリ。20億人以上のユーザーを持ち、エンドツーエンド暗号化を標準で採用している。
WeChat:
中国のテンセントが運営する「スーパーアプリ」。メッセージング、SNS、決済、配車など多機能を一つのアプリに統合している。マスクはXをこのようなスーパーアプリに発展させようとしている。
【参考リンク】
X(旧Twitter)(外部)
短文投稿を中心としたソーシャルメディアプラットフォーム。現在はXChatなどの新機能開発を進めている。
WhatsApp(外部)
Metaが所有する世界最大級のメッセージングアプリ。XChatの競合となるサービス。
【編集部後記】
みなさんは普段どのメッセージングアプリを使っていますか?LINEやWhatsApp、iMessageなど選択肢は多様ですが、Xの新機能「XChat」の登場で選択肢がさらに広がりそうです。ソーシャルメディアとメッセージングが融合する流れは今後も加速するのでしょうか。「すべてが一つになったアプリ」は便利さをもたらす一方で、プライバシーやセキュリティの課題も生じます。みなさんはこの変化をどう感じますか?ぜひSUNSでご意見をお聞かせください。