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Trinity Desktop Environment R14.1.4がリリース――Ubuntu 25.04・Fedora 43対応と最新機能でKDE 3系の伝統を継承

Trinity Desktop Environment R14.1.4がリリース――Ubuntu 25.04・Fedora 43対応と最新機能でKDE 3系の伝統を継承 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-02 15:12 by admin

デスクトップ環境「Trinity Desktop Environment(TDE)」の最新バージョンR14.1.4が、2025年5月1日にリリースされた。TDEは、KDE 3.5からフォークされたオープンソースのデスクトップ環境であり、今回のアップデートでは、Ubuntu 25.04および今後リリース予定のFedora 43への対応が追加された。

主な新機能として、絵文字を含むUnicodeサロゲート文字やゼロより上のプレーンのサポート、KPDFドキュメントビューアのタブ対応、カレンダーイベント内のクリック可能なリンク対応、RPM系・DEB/APT系ディストリビューション両対応のプログラム・ライブラリバージョン切り替えアプレットの追加がある。

また、22種類の新しいベクター壁紙、15種類のカラースキーム、Dekoratorテーマエンジンによるウィンドウ装飾や透明度の調整、tderandrtrayアプレットのコンテキストメニューやガンマコントロールの改善など、外観や操作性も強化された。

TDEは、公式ウェブサイト(trinitydesktop.org)から入手可能であり、KDE 4.0が2008年1月にリリースされてから15年以上経った今も、独自の進化を続けている数少ないデスクトップ環境のひとつである。

from:KDE 3 lives to fight another day as Trinity Desktop 14.1.4 hits the shelves

【編集部解説】

Trinity Desktop Environment(TDE)R14.1.4のリリースは、Linuxデスクトップ環境の多様性と持続性を象徴する出来事です。TDEはKDE 3.5からフォークされ、2008年以降も独自に進化を続けてきました。今回のアップデートでは、Ubuntu 25.04や今後リリース予定のFedora 43への対応が正式に追加され、現行の主要ディストリビューションでも利用しやすくなっています。

今回のリリースの特徴は、単なるバグ修正や保守にとどまらず、現代的なニーズへの対応が着実に進められている点です。たとえば、Unicodeサロゲート文字や絵文字のサポート強化は、グローバルなコミュニケーションや現代的なユーザー体験に不可欠です。また、KPDFのタブ対応やカレンダーイベント内リンクのクリック対応など、日常的な使い勝手を向上させる細かな改善も目立ちます。

外観面でも、22種類の新しいベクター壁紙や15のカラースキーム、Dekoratorテーマエンジンによるウィンドウ装飾・透明度の調整など、モダンなデザイン要素が積極的に取り入れられています。tderandrtrayアプレットの改善やガンマコントロールの強化も、デスクトップ環境の柔軟性を高めるものです。

TDEは、ノスタルジー層やレガシー環境の利用者だけでなく、軽量・高速なデスクトップを求めるユーザーにも根強い支持を受けています。特に、最新のKDE PlasmaやGNOMEが高機能化・重量化する中で、TDEのシンプルさや安定性は一定の価値を持ち続けています。他方で、MATEデスクトップ(GNOME 2系のフォーク)と同様、旧来の技術基盤を独自に保守し続ける負担や、将来的なセキュリティ・互換性リスクも無視できません。

技術的には、TDEはQt 3を独自にフォークした「TQt3」を用いており、Gtk 3ベースのMATEやXfceと同様、主要ツールキットの開発終了後も自力で保守を続けています。今後、Linuxデスクトップの多様性を維持する上で、こうしたプロジェクトが果たす役割は決して小さくありません。

まとめると、TDE R14.1.4のリリースは、過去の資産を活かしつつ現代的なユーザー体験を提供し続ける、オープンソースコミュニティの粘り強さと創造性を体現しています。今後も、こうした少数派デスクトップ環境が新たな価値を生み出し続けることに期待したいです。

【用語解説】

Trinity Desktop Environment(TDE)
KDE 3.5をベースにしたデスクトップ環境のフォーク。KDE 4以降の大きな変化に馴染めないユーザーや、軽量でクラシックな操作感を求めるユーザー向け。Debian、Fedora、Ubuntuなど多くのLinuxディストリビューションで利用できる。

KDE
Linux向けの有名なデスクトップ環境。KDE 3.5まではクラシックなUIで人気だったが、KDE 4以降は大幅な刷新が行われた。現在はKDE Plasmaとして開発が続いている。

フォーク(Fork)
既存のソフトウェアのソースコードを元に、別の開発プロジェクトとして独立して進化させること。TDEはKDE 3.5.10のフォーク。

ディストリビューション(ディストロ)
LinuxのOSパッケージ。Ubuntu、Fedora、Debianなど、多数の種類がある。

Qt/TQt
QtはクロスプラットフォームのGUIツールキット。TQtはTDEが独自にフォークしたQt 3ベースのライブラリ。

ベクター壁紙
拡大・縮小しても画質が劣化しない画像形式の壁紙。

アプレット
デスクトップ環境のパネルなどに追加できる小さなユーティリティ。

Amarok
KDE系で人気の高かった音楽プレイヤー。

【参考リンク】

Trinity Desktop Environment公式サイト(外部)
KDE 3.5ベースの軽量デスクトップ環境。Linuxディストリ向けパッケージを提供。

【参考動画】

【編集部後記】

みなさんは、普段どんなデスクトップ環境を使っていますか? Windows、macOS、あるいはLinuxの様々な選択肢の中で、TDEのような「伝統と革新」のバランスをどう感じますか? 使い慣れたインターフェースの価値と、最新機能の魅力、あなたならどちらを重視しますか? 古いソフトウェアに新しい命を吹き込む「フォーク」文化について、ぜひSNSでご意見をシェアしてください。

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TaTsu
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