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Firefox 139リリース:Mozillaが7月にPocket・Fakespot終了、Arc開発停止でブラウザ市場に激震

Firefox 139リリース:Mozillaが7月にPocket・Fakespot終了、Arc開発停止でブラウザ市場に激震 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-29 08:38 by admin

MozillaがFirefox 139を2025年5月27日にリリースした。

新機能として、プライバシー重視のローカル翻訳機能が拡張機能ページ(moz-extension://)にも対応し、新しいタブページのカスタム壁紙設定機能、リンクプレビュー表示機能、PNG画像の透明度保持機能、HTTP/3でのQUIC 0-RTT再開時の大容量ファイル高速アップロード機能が追加された。

開発者向けにはTemporal API、WebAuthn largeBlob拡張、Service Workersのプライベートブラウジング対応が実装された。一方でMozillaは6月10日にReview Checker機能を終了すると発表した。

ブラウザ業界では実験的UIで注目されたArcブラウザがThe Browser Companyにより開発終了となり、同社は新たにAI搭載ブラウザDiaの開発に注力すると5月28日に発表した。Firefox 140は6月24日リリース予定で次期ESRベースとなる。

From: 文献リンクFirefox 139 arrives for non-Chromium browser fans

【編集部解説】

今回のFirefox 139リリースは、表面的には小さなアップデートに見えますが、実はブラウザ業界の大きな構造変化を象徴する出来事として捉える必要があります。

技術的進歩の実態

Firefox 139で最も注目すべきは、ローカル翻訳機能の拡張機能ページ対応です。この機能は完全にオフラインで動作するため、翻訳内容がGoogleやMicrosoftのサーバーに送信されることがありません。プライバシー保護の観点から、これは極めて重要な進歩といえるでしょう。

特に拡張機能ページ(moz-extension://)の翻訳対応は、開発者コミュニティにとって大きな意味を持ちます。海外製の拡張機能を日本語で理解できるようになることで、技術的な障壁が大幅に下がります。

開発者エコシステムの強化

Temporal APIの正式サポートは特筆すべき変化です。JavaScriptの従来のDateオブジェクトの問題を解決する新しい日時処理APIとして、Firefox が主要ブラウザで初めて正式サポートを開始しました。これにより、ウェブアプリケーションでの日時処理がより直感的で安全になります。

Service Workersのプライベートブラウジング対応も重要な進歩です。これまでプライバシーモードでは制限されていたPWA(Progressive Web App)の機能が、暗号化ストレージを通じて利用可能になりました。

ユーザビリティの向上

新タブページのカスタム壁紙機能やリンクプレビュー機能は、ユーザーエクスペリエンスの大幅な改善を示しています。特にリンクプレビューは、機械学習とAIを活用してローカルで要点を生成する機能を含んでおり、プライバシーを保護しながら利便性を向上させる好例です。

Review Checker終了の意味

6月10日のReview Checker機能終了は、Mozillaの戦略的転換を示しています。この機能は2023年にFakespot買収により統合されたものでしたが、わずか2年での終了は、Mozillaが限られたリソースをFirefox本体の開発に集中させる意図を明確に示しています。

ブラウザ市場の再編

Arcブラウザの開発終了は業界全体の方向性を示唆しています。革新的なUIで注目を集めたArcでしたが、複雑性と保守性の問題で持続可能性を失いました。The Browser CompanyのAI特化ブラウザ「Dia」への転換は、「AI pivot」という業界トレンドの典型例です。

この流れは、ブラウザが単なるウェブ閲覧ツールから、AI搭載の統合プラットフォームへと進化していることを示しています。しかし、AIへの過度な依存は新たなプライバシーリスクや計算資源の浪費を生む可能性もあります。

長期的な影響と展望

Firefox 140が次期ESRベースとなることは、企業ユーザーにとって重要な節目です。ESRは通常1年間のサポート期間を持つため、Firefox 140の機能と安定性が長期間にわたって企業環境で利用されることになります。

これらの変化は、ブラウザ市場におけるChromiumの支配的地位をさらに強化する可能性があります。Firefoxが独自性を保ちながら競争力を維持できるかは、今後のMozillaの戦略次第でしょう。

【用語解説】

Temporal API
JavaScriptの新しい日時処理API。従来のDateオブジェクトの問題を解決し、タイムゾーンや暦の扱いを大幅に改善する。Firefox 139で主要ブラウザ初の正式サポートを開始した。

QUIC 0-RTT
QUICプロトコルの機能の一つで、以前に接続したサーバーに対して暗号化されたデータを即座に送信できる技術。接続の再開時間を大幅に短縮し、HTTP/3での高速化を実現する。

Service Workers
ウェブページとは独立してバックグラウンドで動作するスクリプト。PWAの核となる技術で、オフライン機能やプッシュ通知を可能にする。

WebAuthn largeBlob拡張
Web Authentication APIの拡張機能。認証情報に加えて暗号化されたメタデータや鍵を保存できる機能。セキュリティを向上させながら利便性も提供する。

ESR(Extended Support Release)
Mozillaが企業向けに提供する長期サポート版Firefox。通常1年間のサポート期間を持ち、セキュリティ修正のみが適用される。

【参考リンク】

Mozilla Firefox公式サイト(外部)
Mozillaが開発するオープンソースウェブブラウザの公式サイト。最新版のダウンロードや機能紹介、サポート情報を提供している。

Firefox 139リリースノート(外部)
Firefox 139の公式リリースノート。新機能の詳細説明やセキュリティ修正内容を確認できる。

Mozilla Developer Network – Firefox 139(外部)
開発者向けのFirefox 139変更点詳細。新しいAPI、廃止予定機能、実験的機能について技術的な説明を提供している。

The Browser Company公式サイト(外部)
ArcブラウザとDiaブラウザを開発するスタートアップ企業の公式サイト。革新的なブラウザUIと機能について詳細な情報を提供している。

【編集部後記】

ブラウザ選択は、私たちのデジタルライフの根幹を決める重要な判断です。Firefox 139の新機能やArcの終了を見ると、ブラウザの進化方向が大きく変わりつつあることがわかります。プライバシー重視のローカル処理か、AI統合による利便性か。皆さんはどのような未来のブラウザ体験を求めていますか?ぜひご意見をお聞かせください。

【参考記事】

Winaero – Firefox 139詳細レビュー

The Verge – Mozilla Pocket終了報道

Security Online – Arc開発終了とDia発表

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TaTsu
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