Mojang Studios(Microsoft傘下)は、人気ゲーム「Minecraft」のVR/MR対応を2025年3月に終了すると発表しました。この決定は、VRゲーム市場全体の現状を象徴する出来事といえます。
終了対象のプラットフォーム
今回のVR/MR対応終了の対象となるのは、以下のプラットフォームです:
- Minecraft: Bedrock Edition(PC VR版)
- PlayStation VR版
VRゲーム市場は着実に成長を続けているものの、依然としてゲーム市場全体からみれば1%程度にとどまっています。Minecraftのような世界的人気ゲームでさえ、VR対応の維持コストと利用者数のバランスが取れなくなってきているのが現状です。
影響を受けないVRモッド
以下の非公式VRモッドは今回の終了決定の影響を受けません:
- Vivecraft(Java Edition向けモッド)
- QuestCraft(Meta Quest向けモッド)
これらのコミュニティ主導のモッドが高い評価を得ていることは、VRゲームの未来に希望を与える要素といえるでしょう。
市場データ
VRヘッドセット市場は2024年から2034年にかけて年平均30.8%で成長すると予測されています。一方で、2024年第1四半期のVRヘッドセット販売台数は前年同期比67.4%減少しており、市場は転換期を迎えているといえます。
Minecraftに関する重要なデータ:
- 全世界月間アクティブユーザー数:1億4000万人(2023年時点)
- 累計販売本数:3億本以上(2024年時点)
- VR版の正式リリース:2016年8月(Oculus Rift版)
この決定は、Microsoftが2023年6月に発表したWindows Mixed Realityプラットフォームの終了決定に続くものとなり、大手テック企業のVR/MR戦略が「選択と集中」の段階に入ったことを示唆しています。
from Minecraft is losing VR support next year
編集部解説
MinecraftのVR対応終了は、VRゲーム市場全体の現状を反映する重要な出来事といえます。VRゲーム市場は2024年に196億ドル規模となり、2028年までに552億ドルまで成長すると予測されていますが、ゲーム市場全体からみればまだ1%程度の規模にとどまっています。
この決定の背景には、VRプラットフォームの分断化という課題があります。Windows Mixed Reality、PlayStation VR、PC VRと、それぞれのプラットフォームごとに最適化が必要で、維持コストが増大していることが要因です。
興味深いのは、コミュニティ開発による非公式VRモッドの存在です。VivecraftやQuestCraftといった非公式モッドは今回の終了決定の影響を受けません。これらのモッドは、時として公式VR対応よりも優れた機能を提供しており、ユーザー主導のイノベーションの重要性が示されています。
VRゲームの将来に関して、5G技術の普及が新たな可能性を開くと期待されています。5Gの低遅延・高帯域の特性を活かしたクラウドVRゲームやVRストリーミングライブが、新たな展開をもたらすでしょう。
しかし、VR技術の普及には依然として課題が残されています。ハードウェアのコスト、快適な使用時間の制限、コンテンツの不足など、解決すべき問題は少なくありません。
MinecraftのVR対応終了は、VR市場が「実験期」から「選択と集中の時期」へと移行していることを示唆しています。
参考情報
【用語解説】
Minecraft: Bedrock Edition
Windows、モバイル、コンソール向けの統合版。Java Editionと異なり、クロスプラットフォームプレイに対応しています。スマートフォンのLINEのように、異なる機器間でも一緒にプレイできます。
モッド(Mod)
「Modification(改造)」の略で、ゲームの基本プログラムを改変して機能を追加・変更するユーザー作成のプログラムです。Minecraftの場合、新しいアイテムの追加や、グラフィックスの変更、そしてVR対応など、様々な拡張機能をプレイヤーが自由に導入できます。ただし、非公式のプログラムであるため、導入時には動作の安定性やセキュリティに注意が必要です。信頼できるコミュニティから提供されているモッドを選択することが推奨されます。
関連動画
マインクラフトを実際にVRでプレイしている動画