Last Updated on 2024-11-13 15:26 by admin
ByteDance社が開発するVRヘッドセット「PICO」の最新OS「PICO OS 5.12」がリリースされた。このアップデートは、2024年9月に発売されたPico 4 Ultraの発売から約6週間後の提供となる。
主な更新内容
1. スマートフォンミラーリング機能
- iOSとAndroid両対応
- ワイヤレスで2Dパネルとして表示可能
2. パススルー機能の改善
- 近距離での歪み軽減
- 屋外での映像安定性向上
3. ハンドトラッキングの性能向上
- 応答速度の改善
- 指の動きの認識精度向上
4. マルチウィンドウ機能の強化
- テキスト表示の2倍の高精細化
- 複数ウィンドウの同時表示に対応
5. 周辺機器対応の拡充
- Bluetoothキーボード・マウス対応
- モーショントラッカー(英国£80、欧州€90)の性能改善
6. 開発者向け機能の拡張
- 新しいシミュレータベータの提供
- Unity Editor用ツールの更新
このアップデートは、Pico 4 Ultra、Pico 4、Pico Neo 3シリーズに適用される。
from Pico 4 Ultra Hands-On Impressions: Is It Really Better Than Quest 3?
編集部解説
PICOの最新OSアップデート5.12は、VR/MRヘッドセット市場における重要な進展を示しています。特に注目すべきは、スマートフォンとの連携強化です。
Meta Quest 3では有線接続が必要だったスマートフォンミラーリングが、PICOではワイヤレスで実現されました。これにより、VR空間内でもスマートフォンの操作が可能となり、現実とバーチャルの境界がさらに曖昧になっています。
特筆すべき技術的進展として、32MPカラーカメラの採用により、パススルー時の画質が大幅に向上しています。実効解像度8MPでの表示により、テキストの視認性が向上し、長時間の作業でも目の疲れを軽減できます。
開発者向けの強化も注目です。新たに提供されるPICOシミュレータベータにより、実機がなくても開発が可能になりました。これにより、個人開発者やスタートアップのMR開発参入障壁が低くなることが期待されます。
将来的な展望として、このようなVR/MR技術の進化は、テレワークやソーシャルコミュニケーションの形を大きく変える可能性があります。特に、マルチデバイス連携の強化は、仮想空間での生産性向上に貢献するでしょう。
参考情報
【用語解説】
実効解像度
カメラが撮影した画像をVRディスプレイに表示する際の実際の表示解像度。理論値より低くなることが一般的です。
PICO Connect
PICOのVR空間内での作業環境プラットフォーム。複数のアプリケーションを同時に使用可能です。
PICO(パイコ)
2015年3月に設立された中国のVRヘッドセットメーカー。2021年にByteDance(TikTokの親会社)に買収され、現在は世界第3位のXRデバイスメーカーとして知られる。VRオールインワンヘッドセットに特化した研究開発を行い、Meta Quest、Sonyに次ぐシェアを持つ。
パススルー
VRヘッドセットのセンサーを使って、ヘッドセットの向こう側や周囲の実際の環境をリアルタイムに見ることができる機能