Last Updated on 2024-11-18 15:10 by admin
Appleは2024年11月13日、Final Cut Pro 11をリリースした。13年ぶりとなる大型アップデートでは、Vision ProやiPhone 15 Pro以降で撮影した空間映像の編集に対応。主な新機能は以下の通り:
新機能と動作要件
• Vision ProやiPhone 15 Pro、Canon R7(RF-S7.8mm F4 STM DUAL lens装着時)で撮影した空間映像の編集
• AIを活用した新機能「Magnetic Mask」による被写体の自動分離
• Apple独自の大規模言語モデルを使用した自動字幕生成機能
• Mac Virtual Displayのベータ版による32:9ウルトラワイド表示
システム要件
• macOS 14.6以降
• RAM 8GB(推奨16GB)
• ストレージ空き容量5.9GB以上
• 一部機能はAppleシリコン搭載Macが必要
• 新規購入価格:299.99ドル(約45,000円)
from Final Cut Pro 11 Finally Unlocks Spatial Video Editing, But Lacks Vision Pro Preview
編集部解説
Final Cut Pro 11の発表は、Appleの映像編集ソフトウェアにおける13年ぶりのメジャーアップデートとなります。このアップデートの本質は、AIと空間映像編集の統合にあります。
特筆すべきは、Apple独自の大規模言語モデルを活用した新機能の実装です。これまでAdobe PremiereなどがCloudベースのAIを使用していたのに対し、AppleはオンデバイスAIを採用しています。これにより、インターネット接続なしでの作業が可能となります。
Magnetic Mask機能は、従来のロトスコープ作業を革新的に変えると考えられます。これまで数時間かかっていた被写体の切り抜き作業が数分で完了できるようになります。ただし、完全な自動化ではなく、細かい調整は依然として必要になるでしょう。
編集中のリアルタイムプレビュー機能が欠如している点は、プロフェッショナルユーザーにとって大きな課題となる可能性があります。
32:9のウルトラワイドディスプレイ対応は、複雑な編集作業の効率を大幅に向上させる可能性があります。ただし、この機能はベータ版での提供となっており、安定性については今後の検証が必要です。
価格設定(新規購入299.99ドル)は、Adobe Premiereの月額制と比較すると、長期的な使用を前提とするユーザーにとって魅力的な選択肢となります。
今回のアップデートは、プロフェッショナルからプロシューマーまで幅広いユーザー層をカバーする機能を提供していますが、特にVision Proを見据えたクリエイターにとって重要な意味を持つでしょう。
将来的には、空間映像のリアルタイムプレビューや、より高度なAI機能の追加が期待されます。また、Vision Proの普及に伴い、空間映像編集の需要は確実に増加すると予測されます。
【用語解説】
空間映像(Spatial Video)
従来の2D映像とは異なり、奥行きのある3D映像として再生可能な新しい映像形式です。テレビの3D映像より自然な立体視を実現します。
Magnetic Mask
AIによる背景除去ツールです。グリーンバックなしでも被写体を正確に切り抜くことができます。
Mac Virtual Display
Vision Pro上でMacの画面を仮想的に表示する機能で、最大32:9の超ワイド表示が可能です。