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Rokid AI Glasses Style、CES 2026で発表へ──日常着用に特化した新ライン登場

[更新]2025年12月31日

Rokid AI Glasses Style、CES 2026で発表へ──日常着用に特化した新ライン登場 - innovaTopia - (イノベトピア)

Rokidは2025年12月29日、スマートグラス「Rokid AI Glasses Style」を発表した。同社は2026年1月6日午後1時から2時まで、CES 2026のRokidブース#17214(LVCC – Central Hall)でローンチイベントを開催し、主要機能、公式価格、処方レンズオプション、市場展開の詳細を発表する。

Rokidは2025年10月にRokid Glassesで記録的なグローバルクラウドファンディングを達成し、12月には商業用量産ユニットのバッカーへの出荷を開始した。同社は内蔵ディスプレイを搭載したAIグラスの量産に世界で初めて成功した企業の一つである。

Rokid Glassesは現在、ヨーロッパ、アジア太平洋、東南アジアの10以上の地域でオフライン小売販売を展開している。Rokidは中国最大のXR開発者コミュニティを擁し、10年以上にわたりヒューマンコンピュータインタラクションに焦点を当てた製品志向のプラットフォーム企業である。

From: 文献リンクRokid Previews Ai Glasses Style Ahead of CES 2026

 - innovaTopia - (イノベトピア)
Rokid PRNeeswireより引用

【編集部解説】

Rokidが発表した「AI Glasses Style」は、同社にとって重要な戦略転換を示しています。既存の「Rokid Glasses」が内蔵ディスプレイ搭載のARグラスとして展開されてきたのに対し、今回の「Style」ラインは「日常的な着用性」と「ファッション性」に重点を置いた製品として位置づけられています。

数字で見ると、この展開の背景が明確になります。2025年10月のKickstarterキャンペーンでRokid Glassesは約361万ドルを調達し、5,000人以上のバッカーから支援を受けました。これはXR(複合現実)デバイスとしてKickstarter史上最高額を記録し、開始4日間で100万ドルを突破する勢いでした。この成功が「Style」という新ラインの投入を後押ししたと考えられます。

市場環境も追い風となっています。Counterpoint Researchの調査によれば、グローバルなスマートグラス市場は2024年に前年比210%の成長を遂げ、2025年は60%以上の成長率が予測されています。この急成長を牽引しているのがMeta Ray-Ban スマートグラスで、2024年には市場シェア60%以上を獲得しました。

興味深いのは、Metaのアプローチとの違いです。Ray-Ban Metaグラスはディスプレイを搭載せず、カメラとAI機能に特化した「見えないテクノロジー」を実現しています。一方、Rokidの既存製品は各眼480×398解像度のマイクロLEDディスプレイを搭載しており、視覚情報の表示が可能です。「Style」がどちらの方向性を採用するかは1月6日の発表を待つ必要がありますが、製品名から判断すると、よりファッション寄りの設計が予想されます。

技術的な観点では、Rokidは量産体制の構築に成功している点が強みです。同社は「内蔵ディスプレイを搭載したAIグラスの量産に世界で初めて成功した企業の一つ」と位置づけられており、12月には実際にバッカーへの出荷を開始しています。多くのスタートアップが試作段階で苦戦する中、量産・出荷まで到達したことは市場での信頼性を高める要因となるでしょう。

地域展開も注目点です。既にヨーロッパ、アジア太平洋、東南アジアの10以上の地域でオフライン小売を開始しており、決済統合やナビゲーションサービスとの連携も進めています。これは単なるガジェットではなく、日常生活に組み込まれるエコシステムを目指していることを示唆しています。

ただし、課題も存在します。Counterpoint Researchは「Ray-Ban Metaの北米市場での成功は、特にアジア市場において他社が直接再現できるものではない」と指摘しています。標準化されたサプライチェーン部品に依存する中で、どう差別化を図るかが成功の鍵となります。Rokidが中国最大のXR開発者コミュニティを擁している点は、エコシステム構築において優位性となる可能性があります。

2026年は「数百のスマートグラスの戦い」の年になると予測されており、Xiaomi、Samsung、ByteDanceといった大手も参入を準備しています。この競争環境の中で、Rokidの「Style」ラインがどのような独自性を打ち出すのか、価格戦略も含めてCES 2026での発表が注目されます。

【用語解説】

CES(Consumer Electronics Show)
毎年1月にラスベガスで開催される世界最大級の家電・テクノロジー見本市。最新のコンシューマー向けテクノロジー製品が発表される場として、業界関係者やメディアが注目するイベントである。

XR(クロスリアリティ)
Extended Realityの略で、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)など、現実と仮想を融合させる技術全般を指す包括的な用語である。

マイクロLEDディスプレイ
極小サイズのLED素子を用いた次世代ディスプレイ技術。高輝度、高コントラスト、低消費電力が特徴で、スマートグラスのような小型デバイスに適している。

【参考リンク】

Rokid公式サイト(外部)
中国発のARグラスメーカーRokidのグローバルサイト。製品ラインナップや技術情報、開発者向けリソースを掲載している。

Rokid AI Glasses Style製品ページ(外部)
今回発表されたRokid AI Glasses Styleの公式製品ページ。38.5gの超軽量設計を謳う新型AIスマートグラス。

Meta Ray-Ban Smart Glasses(外部)
MetaとRay-Banが共同開発したスマートグラス。2024年に市場シェア60%以上を獲得し、市場を牽引。

CES公式サイト(外部)
世界最大級のテクノロジー見本市CESの公式サイト。毎年1月にラスベガスで開催され、最新技術が発表される。

【参考記事】

Rokid Glasses Concludes Record-Breaking Kickstarter Campaign with $3.6 Million Raised(外部)
Rokid GlassesがKickstarterで約361万ドルを調達し、XRデバイスとして史上最高額を記録したことを報じる記事。

Rokid Surpasses $2.5 Million on Kickstarter(外部)
Rokidのクラウドファンディングが$2.5M突破し、開始3日間で$1M達成した成功事例を報じる記事。

Meta leads booming AI smart glasses market in first half of 2025(外部)
2025年上半期におけるAIスマートグラス市場の動向を分析。Xiaomi、Samsung、ByteDanceなど大手企業の参入準備を報じる。

【編集部後記】

スマートグラスが「未来のガジェット」から「日常の選択肢」へと変わりつつある今、私たちはどんな体験を求めているのでしょうか。ディスプレイ機能を重視するのか、それとも普段使いできるデザイン性を優先するのか。

Rokidの「Style」という名称には、技術だけでなくファッションとしての価値を問う意図が感じられます。あなたがスマートグラスに期待するのは、情報表示の便利さでしょうか、それとも違和感のない着け心地でしょうか。CES 2026での発表を前に、一緒に考えてみませんか。

投稿者アバター
乗杉 海
SF小説やゲームカルチャーをきっかけに、エンターテインメントとテクノロジーが交わる領域を探究しているライターです。 SF作品が描く未来社会や、ビデオゲームが生み出すメタフィクション的な世界観に刺激を受けてきました。現在は、AI生成コンテンツやVR/AR、インタラクティブメディアの進化といったテーマを幅広く取り上げています。 デジタルエンターテインメントの未来が、人の認知や感情にどのように働きかけるのかを分析しながら、テクノロジーが切り開く新しい可能性を追いかけています。

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