ASUSとXREALがCES 2026で共同開発したゲーミングAR「ROG Xreal R1」を発表した。世界初となる240Hz駆動のMicro-OLED(マイクロ有機EL)を搭載し、解像度は1920 x 1080、視野角57度で171インチ相当の仮想ディスプレイを提供する。X1 spatial coprocessor(X1空間コプロセッサ)により3Dof(3自由度トラッキング)と低レイテンシを実現し、重量はわずか91グラムである。
USB-C接続でPC、スマートフォン、ROG Allyに対応し、別売りのROG Control DockではPlayStation 5やXbox Series Xなど多様なデバイスと接続可能だ。Boseチューニングのスピーカーと、周囲光に応じて自動調整するエレクトロクロミックレンズを搭載する。2026年上半期出荷予定で、価格は未発表だが前モデルのAirVision M1は699ドルだった。
【編集部解説】
今回の発表で最も注目すべきは、ARグラスにおける「240Hz」というリフレッシュレートの実現です。これまで一般的なARグラスは60Hzや120Hzでの駆動が主流でしたが、240Hzへの倍増によって、競技性の高いFPSゲームやレーシングゲームにおける映像の滑らかさが劇的に向上します。特にハイフレームレートでゲームをプレイするユーザーにとって、グラス側のリフレッシュレートがボトルネックになることを避けられる点は重要でしょう。
技術的な観点から見ると、X1空間コプロセッサの採用が重要な役割を果たしています。XREALが独自開発したこのチップは、motion-to-photon(M2P)レイテンシを3msまで低減しており、業界標準の約20msと比較して大幅な改善を実現しました。これにより、頭部の動きに対する画面の追従性が向上し、3DoF機能使用時の違和感や酔いを軽減できます。
加えて、ARグラス業界をリードするXREALが自社製品「XREAL One」にも採用している同チップを、ASUSがゲーミング特化モデルとして最適化した点は注目に値します。両社の強みが融合したことで、これまでにない応答速度と映像安定性を実現し、「ゲームプレイに最適化されたARグラス」という新たな方向性を提示しています。
価格面では前モデルのAirVision M1が699ドルだった点が参考になりますが、今回は240Hz Micro-OLEDパネルやBoseスピーカー、ROG Control Dockの存在を考慮すると、より高価格帯になる可能性があります。特にマイクロ有機ELの高リフレッシュレート化には製造コストが伴うため、価格設定が普及の鍵を握ることになるでしょう。
世界的なゲーミングブランドであるASUSが、ROGブランドとしてARグラス市場に本格展開したことで、モバイルゲーミングの体験そのものが大きく変わる可能性が見えてきました。ROG Allyのような携帯ゲーミングPCは小型ディスプレイが制約となっていましたが、91グラムの装着デバイスで171インチ相当の視野を確保できることで、外出先でも大画面ゲーミング体験が実現します。さらに、PlayStation 5やXbox Series Xとも接続可能なため、据え置きゲーム機のセカンドディスプレイとしても機能し、家庭内でのプライベート視聴ニーズにも応えられるでしょう。
【用語解説】
Micro-OLED(マイクロ有機EL)
単結晶シリコンウェハーを基板として使用するOLEDディスプレイ技術。従来のガラス基板と比較して高いピクセル密度と低消費電力を実現し、AR/VRデバイスに最適化されている。
X1 spatial coprocessor(X1空間コプロセッサ)
XREALが独自開発した空間演算専用チップで、3DoFトラッキングや画像安定化処理を担当。Motion-to-Photonレイテンシを3msまで短縮する。
3DoF(3自由度)
頭部の回転動作(上下、左右、傾き)のみを検知するトラッキング方式。6DoFと異なり空間内での位置移動は検知しないが、軽量化と省電力化に貢献する。
Electrochromic lenses(エレクトロクロミックレンズ)
電圧印加により透過率を動的に変化させられる調光レンズ技術。周囲の明るさに応じて自動調整し、ARグラスの視認性を最適化する。
Motion-to-Photon(M2P)レイテンシ
頭部の動きから画面表示までの遅延時間を示す指標。VR/AR体験において酔いや違和感を軽減するため、20ms以下が推奨される。
リフレッシュレート(Hz)
ディスプレイが1秒間に画面を更新する回数。240Hzは1秒間に240回更新することを意味し、高速な動きの滑らかさが向上する。
【参考リンク】
XREAL公式サイト(外部)
XREALのARグラス製品ラインアップ、技術仕様、購入情報を提供。One、Air 2 Pro、Air 2 Ultraなどの製品情報と、Spatial Display技術の詳細が掲載されている。
ASUS ROG公式サイト(外部)
Republic of Gamersブランドのゲーミング製品全般を紹介。ノートPC、デスクトップ、周辺機器、最新技術情報、eスポーツ関連コンテンツを提供している。
【参考記事】
The ROG XREAL R1 gaming glasses let you game anywhere on a virtual 171-inch screen(外部)
ASUS ROG公式による製品発表記事。240Hz Micro-OLEDパネルの採用理由、X1空間コプロセッサによるレイテンシ削減、ROG AllyやPlayStation 5との互換性について詳述している。
【編集部後記】
240Hzという数字は、競技性の高いFPSやレーシングゲームをプレイするeスポーツプレイヤーにとって理想的なスペックです。ARグラスでこのリフレッシュレートを体感できるシーンがどこまで広がるかは今後の検証次第ですが、携帯ゲーミングデバイスの表現力を大きく引き上げる第一歩として期待が高まります。91グラムという軽量設計は長時間プレイにおける快適性を高める一方、視力や疲労への影響については実際の使用環境でのフィードバックが待たれるところです。ROG Allyとの組み合わせで外出先でも大画面ゲーミング体験が実現する点は画期的であり、日本国内でARグラスを装着してプレイする文化がどう形成されていくかは興味深い観察ポイントとなるでしょう。価格は699ドル以上になると予想されますが、モニターでは得られない「どこでも大画面」という体験価値が、ゲーマーの選択肢をどう広げるのか、市場の反応に注目が集まります。
































