GoogleとXREALは2026年1月6日、戦略的パートナーシップを複数年にわたり延長し、XREALがAndroid XRエコシステムのリードハードウェアパートナーとなることを発表した。この協業は2026年に登場予定のProject Auraを基盤とし、XREALの長期ハードウェアロードマップをAndroid XRプラットフォームと整合させる。
両社は有線XRグラスのような光学シースルー型デバイス向けにAndroid XRを提供し、開発サポートの拡充に取り組む。Project Auraのコンシューマー向けローンチに関する詳細は2026年内に順次発表される予定である。XREALはコンシューマー向けARグラスの設計・製造における世界的リーダーで、既存のコンピューティングデバイスとARグラスを接続するコンセプトを初めて普及させた企業として知られている。
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Google and XREAL Extend Strategic Partnership
【編集部解説】
今回の発表で注目すべきは、XREALが「リードハードウェアパートナー」という明確な位置づけを獲得した点です。SamsungがGalaxy XRというAndroid XR対応ヘッドセットを開発している一方で、XREALは軽量な光学シースルー型のARグラスに特化しています。 これにより、同じAndroid XRプラットフォーム上で、用途やユーザー体験の異なる複数のデバイスカテゴリーが展開される構図が見えてきました。
光学シースルー技術は、ユーザーが現実世界を直接視認しながらデジタル情報をオーバーレイできる点で、完全没入型のVRとは異なるアプローチを取ります。 Project Auraは70度の視野角を持ち、ユーザーの視界にアプリケーションを直接投影し、ハンドジェスチャーで操作できる設計となっています。 また、デバイスは二つのチップ構成を採用しており、XREALのX1Sチップをグラス内に、QualcommのSnapdragonチップとバッテリーを別体のポケットサイズのパックに搭載することで、装着時の軽量化を実現しています。
この動きの背景には、AppleのVision ProとvisionOSエコシステムへの対抗という側面があると考えられます。 スマートフォン市場でAndroidとiOSが展開してきた競争構図が、XR領域でも再現されつつあるようです。 Appleが垂直統合された閉じたエコシステムを構築する一方、Android XRは複数のハードウェアメーカーが参入できるオープンプラットフォームとして設計されています。 XREALの位置づけは、この多様なハードウェア展開を実現するための一手と見ることができるかもしれません。
Android XRはGoogle PlayアプリへのアクセスやGemini AIの統合を提供し、開発者にとってはスマートフォン向けAndroidとコードベースやSDKを共有できる環境を整えています。 これにより、既存のAndroidアプリ資産を活用しながら、XR体験を展開できる基盤が構築される可能性があります。
一方で、ウェアラブルAIデバイスには常にプライバシーとセキュリティの懸念が伴います。常時装着型のカメラやセンサーを搭載したデバイスが普及すれば、公共空間での撮影や個人情報の収集に関する新たな規制論議が生じる可能性は否定できません。また、Android XRという統一プラットフォームへの依存度が高まることで、エコシステムの方向性がGoogleの戦略に左右されるリスクも考慮すべき点です。
長期的な視点では、XREALのような専業メーカーがプラットフォーム企業と密接に連携することで、ハードウェアの小型化・軽量化技術が進展する可能性があります。 現在のProject Auraはまだ「普通の眼鏡」とは言えない外観ですが、光学技術の進化により、将来的には日常的に装着可能なフォームファクターへと近づいていくかもしれません。そうなれば、スマートフォンに次ぐコンピューティングパラダイムの転換点となる可能性を秘めていると言えるでしょう。
【用語解説】
Project Aura
XREALとGoogleが共同開発する光学シースルー型ARグラスのプロジェクト名。70度の視野角とX1S・Snapdragonのデュアルチップ構成を持ち、2026年に消費者向けローンチ予定。
光学シースルー
ユーザーが現実世界を光学的に直接視認しながら、デジタル情報を透過型ディスプレイでオーバーレイ表示する技術。カメラで撮影した映像を表示するビデオシースルーとは異なるアプローチである。
リードハードウェアパートナー
プラットフォーム事業者が特定のデバイスカテゴリーにおいて主導的役割を担うメーカーとして指名する戦略的位置づけ。開発ロードマップの整合やプラットフォーム最適化で優先的に協業する。
X1Sチップ
XREALが独自開発したARグラス用プロセッサー。Project Auraではグラス本体に搭載され、光学処理やセンサー制御を担当する。Snapdragonチップと分散処理することで軽量化を実現している。
視野角(FOV)
ユーザーが一度に視認できる表示範囲を角度で示す指標。Project Auraの70度は従来のARグラスと比較して大幅に広く、より没入感のある体験を提供できる。
【参考リンク】
XREAL公式サイト(日本語)(外部)
XREALの製品ラインナップと技術情報を掲載。XREAL OneやAir 2シリーズなど既存製品の詳細と、Project Auraの最新情報を提供している。
Project Aura公式ページ(外部)
2026年登場予定のProject Auraの技術仕様と機能を紹介。X1S・Snapdragonデュアルチップ構成、70度超の視野角、ハンズフリー操作など主要スペックを確認できる。
Google Android XR公式ブログ(外部)
GoogleによるAndroid XRプラットフォームの最新情報。Galaxy XRヘッドセットやProject Auraなどパートナーデバイスのアップデートを発信している。
【参考記事】
XREAL goes all-in on Android XR in Google partnership – 9to5Google(外部)
XREALがAndroid XRに全面的に注力する方針を報道。リードハードウェアパートナーとしての位置づけと、Samsungとの役割分担について詳述している。
Google and Xreal extend hardware partnership for Android XR – The Verge(外部)
GoogleとXREALのパートナーシップ延長を報道。Project Auraの技術的詳細と、Android XRエコシステムにおける戦略的意義を解説している。
China’s Xreal to power Google’s Android AI glasses as smart eyewear demand grows – South China Morning Post(外部)
中国発のXREALがGoogleのAIグラスを支える技術的背景を分析。デュアルチップ構成による軽量化設計とGemini AI統合について詳細に報じている。
XREAL Aura AR Glasses with Android XR and a 70-degree Field-of-View – Road to VR(外部)
Project Auraのハンズオンレビュー。70度の視野角がもたらす視覚体験と、光学シースルー技術の実装について実機を基に評価している。
Xreal’s Project Aura is the second official Android XR headset – Engadget(外部)
Project AuraがAndroid XR対応の第二のデバイスとして発表された経緯を報道。開発者向けの展開戦略と、既存アプリの移植容易性について言及している。
【編集部後記】
Project Auraが2026年内にローンチされれば、ARグラスが日常的に使われる時代への第一歩となるかもしれません。70度という広い視野角は従来製品を大きく上回る一方、Android XRというオープンプラットフォームの登場で開発者の参入障壁は下がります。ただし公共空間でのプライバシー保護や長時間装着時の健康への影響など、課題も山積しています。スマートフォンが普及する過程で起きた社会変化を振り返ると、ARグラスは私たちの働き方をどう変えていくのでしょうか。Project Auraを起点に、ARグラスとAndroid XRエコシステムがどのように進化していくのか、2026年もXRの動きに引き続き注目していきます。
































