元NSA従業員、機密情報ロシアへの売却未遂で22年刑に

[更新]2024年5月1日17:19

元アメリカ国家安全保障局(NSA)の従業員が、アメリカの機密情報をロシアに売ろうとした罪で22年(262ヶ月)の刑に処された。FBIのクリストファー・レイ局長は、この判決が国防情報を守る責任を負う全ての人々に対する厳しい警告であると述べた。コロラドスプリングス出身のジャレッド・セバスチャン・ダルケ(32歳)は、2022年6月6日から7月1日まで情報システムセキュリティデザイナーとしてNSAに勤務し、その間に機密情報にアクセスしていた。ダルケは、その年の8月から9月にかけて、ロシアのエージェントだと思われる人物と接触し、暗号化されたメールアカウントを使用して、職務中に入手した3つの極秘国防情報(NDI)文書の断片をメールで送信した。彼は、自分が持っている全てのファイルを共有する代わりに85,000ドルを要求し、情報がロシアにとって価値があると主張し、ワシントンD.C.に戻った際に更に多くの文書を共有すると伝えた。ダルケは、2022年9月28日にデンバーのユニオンステーションでラップトップコンピュータを介して仮想のロシアスパイに5つのファイルを転送した直後に逮捕された。彼は2023年10月に罪を認め、アメリカ合衆国を傷つけ、ロシアに利益をもたらす目的と信念を持ってFBIのオンライン秘密工作員にファイルを意図的に送信したことを認めた。

【ニュース解説】

元アメリカ国家安全保障局(NSA)の従業員が、アメリカの機密情報をロシアに売却しようとした罪で、22年の刑に処されました。この事件は、国家の安全を守る重要な情報を扱う立場にある人物が、その信頼を裏切り、外国に情報を渡そうとしたことが明らかになった例です。

この事件の背景には、国際間の情報戦が激化している現状があります。国家安全保障に関わる情報は、国の安全や戦略に直結するため、このような情報が敵対国に渡ることは、国家の安全を大きく脅かすことになります。この事件では、元NSA従業員がロシアのスパイと信じ込んで接触した相手が、実はFBIの秘密工作員であったため、計画は未遂に終わりましたが、もし情報が実際にロシアに渡っていた場合、その影響は計り知れません。

このような内部犯による情報漏洩は、組織のセキュリティ対策にとって大きな課題です。内部からの脅威は、外部からの攻撃よりも防ぎにくいとされており、従業員の背景調査や監視、アクセス権限の管理など、様々な対策が必要とされます。また、この事件は、情報を守るためには技術的な対策だけでなく、従業員の倫理観や忠誠心を高めることも重要であることを示しています。

この事件の判決は、国防情報を扱う者に対する警告としての意味も持ちます。FBIのクリストファー・レイ局長が述べたように、国家の安全を守る責任を負う者がその信頼を裏切った場合、厳しい結果が待っていることを示しています。これは、国家安全保障に関わる職に就く者の責任の重さと、その職務を遂行する際の倫理的な基準を再認識させるものです。

長期的な視点で見ると、この事件は国家安全保障に関わる情報の取り扱いに関する議論を促すことになるかもしれません。情報の安全を確保するための法律や規制、対策の強化が求められることになり、また、情報漏洩を防ぐための国際的な協力の重要性も改めて認識されることでしょう。この事件は、情報セキュリティの分野における新たな課題と対策の必要性を示唆しています。

from Ex-NSA Employee Sentenced to 22 Years for Trying to Sell U.S. Secrets to Russia.


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