Last Updated on 2025-07-25 18:07 by 乗杉 海
AppleのiOS 26とLiquid Glassインターフェースの発表が開発者会議で最も議論された部分であったが、真の注目点はiPadの改良であった。2025年6月9日から13日に開催されたApple Worldwide Developers Conference 2025では、新デザイン言語「Liquid Glass」を中心とした統一デザインがiOS 26、iPadOS 26、macOS 26 Tahoe、watchOS 26、tvOS 26、visionOS 26で発表された(従来の個別番号表記から年次ベースの命名に変更)。最も大きな会場での反応はiPadOS 26の発表で、新しいウィンドウシステムとMac風のメニューバーが導入される。Apple Intelligenceの拡張、Live Translation機能、Call Screening機能も発表されたが、新しいSiri機能は「来年」、つまり2026年まで遅延することが分かった。WWDC 2025のユーザーの反応は「より控えめ」と評価され、一連の失敗の最新例と厳しく批判する声もある一方、重要なリセットであり変化は良い方向と評価する意見も存在する。
【編集部解説】
デザイン刷新が最大の話題も評価は二分
WWDC 2025の最大の注目点は、間違いなく「Liquid Glass」と呼ばれる新しいデザイン言語でした。これは2013年のiOS 7以来となる大規模なビジュアル変更で、透明感のあるガラス素材を模した要素が全プラットフォームに統一的に導入されます。
しかし、この大胆なデザイン変更に対する反応は明確に二分されています。支持する声では、10年以上ぶりの大幅な刷新として評価する一方、批判的な意見では「Windows Vistaのような見た目」と酷評されるなど、過去の失敗例と比較される場面も見られました。
ユーザの反応が一番大きかったiPadOS 26
興味深いのは、会場で最も大きな反応を得たのがiPadOS 26だったという点です。新しいウィンドウシステム、メニューバー、Mac風のマルチタスク機能など、iPadがついに「真のコンピューター」に近づいた瞬間として受け止められています。
特に注目すべきは新しいウィンドウシステムの導入です。iPadOS 26では、従来のiPadOSとは根本的に異なるマルチタスク体験が提供されます。ウィンドウの境界線が明確に定義され、リサイズや移動が直感的に行えるようになったことで、複数のアプリを同時に効率的に操作することが可能になりました。
また、画面上部に常設されるメニューバーの追加は、macOSユーザーには馴染み深いインターフェースとして歓迎されています。このメニューバーからは、システム設定へのアクセス、通知の確認、コントロールセンターの呼び出しなどが瞬時に行え、従来のタッチベースの操作とマウス・キーボードベースの操作が自然に融合しています。
これは長年iPadユーザーが求めていた機能であり、ハードウェアの進化に対してソフトウェアが追いついていないという批判に応える重要なアップデートとなりました。M4チップを搭載したiPad Proの処理能力は、多くのノートパソコンを上回る性能を持ちながら、ソフトウェアの制約により「大きなiPhone」として扱われることが多く、プロユーザーからは不満の声が上がっていました。
実際に、iPadOS 26では外部ディスプレイとの接続時により高い解像度での出力が可能となり、真のマルチディスプレイ環境での作業が現実的になります。さらに、ファイル管理機能も大幅に強化され、従来のiOSアプリでは制限されていたファイルの直接編集や、より複雑なフォルダ構造の管理が可能になったことで、プロフェッショナルなワークフローに対応できるようになりました。
ただし、AppleはiPadがmacOSそのものを動作させることは明確に否定しており、「iPadはiPadとしての独自性を保つ」という方針を維持しています。Craig Federighi氏も今回のインタビューで、「iPadの直感的なタッチ操作の良さを保ちながら、必要な時にはより高度な作業も可能にする」というバランスの取れたアプローチを強調しました。
AI戦略で明暗:実用性重視も期待値は低下
Apple Intelligenceの新機能として、Live Translation、Call Screening、Hold Assistなど実用的な機能が追加されました。しかし、これらは「日常の小さな問題を解決する」程度の進歩に留まり、革新的なブレークスルーという印象は薄いものでした。
最も大きな失望要因は、昨年大々的に発表されたSiriの大幅なAI強化が再び遅延したことです。パーソナルコンテキストの理解、画面認識、アプリ間連携といった機能は2026年まで持ち越しとなり、「Appleが発表する機能が実現する可能性に疑問がある」という批判が相次ぎました。
業界内での立ち位置の変化
競合他社がChatGPT、Gemini、Alexaなどで積極的にAI機能を展開する中、Appleの慎重すぎるアプローチが裏目に出ている状況が明らかになりました。特に企業向け市場では、「visionOS 3は素晴らしいが、すでに別の選択肢に移行した」という声も出ており、Apple Vision Proの未来に対する懸念も浮上しています。
長期的な影響と課題
今回の発表は「リセット」としての側面が強く、統一的なデザイン言語とネーミング規則(年次ベースの番号付け)によって、今後10年間のAppleプラットフォームの基盤を築いたと評価できます。
しかし、AI競争の激化する現在において、「美しいデザイン」だけで市場をリードし続けられるかは疑問視されています。実用的で差別化された AI体験を提供できるかが、Appleの将来を左右する重要な要素となりそうです。
特に法人向け市場や開発者コミュニティからは、「見た目の変更よりも、約束した機能の確実な提供」を求める声が強く、今後のAppleの信頼性回復が重要な課題となるでしょう。
【用語解説】
Liquid Glass
Apple Intelligence機能とは別の、新しいデザイン言語。透明感のあるガラス素材を模した視覚効果で、すべてのAppleプラットフォームに統一的に適用される。
Foundation Models framework
開発者がApple Intelligenceの機能をオフラインで利用できるようにするフレームワーク。プライバシーを保護しながらAI機能を統合可能。
Apple Intelligence
Appleが開発したオンデバイス型AI機能群。プライバシーを重視し、ユーザーの個人情報を端末内で処理する設計が特徴。
【参考リンク】
【参考動画】
【参考記事】
【編集部後記】
WWDC 2025の発表内容について、皆さんはどのように感じられたでしょうか。美しいLiquid Glassデザインに心躍る一方で、約束されたSiri機能の遅延に失望を感じた方も多いかもしれません。しかし、iPadOS 26の進化は、これまでのiPad体験を根本的に変える可能性を秘めています。皆さんの仕事や創作活動において、これらの新機能がどのような影響をもたらすか、ぜひ一緒に考えてみませんか。
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