Suno MCPを実機検証、音符を歌にして照合。音程が合う差し替えも耳で不採用

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測れた9音すべてが目標の音程に収まった歌声を、私は聴いて不採用にしました。前回はサインインできなかったSuno MCPが動き、音符で設計したメロディをClaude Codeとの会話の中でSunoのカバーへ渡せるようになりました。数字で比べられる範囲が広がった先で、今回の決め手になったのは耳でした。


Sunoは2026年10月28日、AIアシスタントからSunoを使える「Suno MCP」をベータ版として公開した。Claude、ChatGPT、Claude Code、Gemini、Cursorなどから接続でき、APIキーは不要で、Sunoアカウントへのサインインと承認で使う。会話での楽曲作成、音声のアップロードからの楽曲化、ライブラリの曲を使ったカバー、延長、マッシュアップに対応する。Freeを含む全プランが対象で、楽曲の作成にはプランのクレジットを消費し、作成した曲はSunoのライブラリに保存される。製品ページには早期アクセスの申し込みが設けられている。

From: 文献リンクSuno MCP (beta)

【編集部解説】

前回の記事に残した宿題

10月31日の記事で、私はACE StudioをClaude Codeから操作してMVを作りました。そのとき、Suno MCPだけは試せませんでした。登録までは進んだものの、サインインの段階で、私のアカウントではまだ連携を使えないと表示されたからです。Sunoで作った曲は、手でmp3に書き出して読み込むしかありませんでした。

11月6日にもう一度試すと、今度は接続できました。いつ使えるようになったのかは、把握していません。Sunoの製品ページには今も早期アクセスの申し込みがあり、そのページに条件や期間は書かれていないので、同じ手順でつながるとは限らないことを先にお伝えしておきます。

今回試したのは、音符で設計したメロディを、Sunoに歌ってもらえるのかという一点です。着想はBito氏のnote記事「Sunoとバンドやろうぜ!」から得ました。AIエージェントに楽譜を書かせ、それを音にしたガイド音源をSunoのカバーに渡す手法です。記事ではPythonで楽譜を書いていますが、私はそこをACE Studioに置き換えて、さらに結果を音符単位で確かめてみました。

環境とつまずいたところ

使ったのはACE Studio 2.1.9、acestudio-cli 0.18.7、Claude Code 2.1.317、モデルはClaude Opus 5.5です。Sunoは私が契約しているProプラン、ACE Studioは自費で契約しているArtist Proです。操作の大半はClaude Codeが実行し、検証用の曲のメロディと歌詞も任せました。私は方針を決めて、音を聴いて判断する役に回っています。

Suno MCPの登録は公式の1行で済みます。

claude mcp add --transport http suno https://api.suno.com/mcp

ただ、Sunoへのサインインだけは本人の操作です。Claude Codeのセッションで/mcpを開いてサインインします。私の環境では、すでにブラウザでSunoにログインしていても、この承認は別に必要でした。ACE Studioの公式プラグインは、私のPCに入っていなかったgitを導入してからでないと追加できませんでした。AI側の見落としもあり、最初の調査ではACE Studioを「インストールされていない」と判定して、標準の場所にあるのを見逃しています。ACE Studioの外部連携は公式にも実験的な機能とされ、Suno MCPもベータ版なので、この手順は今後変わるかもしれません。

接続できたSuno MCPのツールは、この時点で35個ありました。ACE Studio MCPは68個です。前回の記事で「どこまで曲の情報を受け渡せるかは未確認」と書いた点には、ここで答えが出ました。今回の曲では、歌詞の語ごとの時刻、全拍の時刻と小節内の位置、テンポの推定値、キーの推定値、ダウンロード用のURLまで、会話の中で受け取れました。

サインインして承認するSunoの手順と、音声を処理して映像を作成する流れを示すフローチャート。~ACE Studio から Claude Code までの連携を含む。
今回の検証の流れ(筆者作成)

音符を書いて、Sunoに渡す

まず、Claude CodeがACE Studioにメロディ、コード、ベースの3トラックを書き込みました。128 BPM、4/4拍子、Cメジャー、16小節、ちょうど30秒のJ-POPです。歌詞はモーラ数を音符の数にそろえた8行で、音符は合計392個。書き込んだ音符は読み戻して、指定とすべて一致しました。

音色はACE Studioの標準のピアノだけです。Bito氏の記事が、伴奏だけの音源ではメロディが反映されないと説明しているので、メロディの音量を伴奏より大きくしました。書き出した波形を測ると、メロディのトラックはコードとベースの各トラックより約6〜7 dB大きく出ています。

このmp3をSuno MCPでアップロードし、歌詞とStyleを渡してカバーを作りました。1回の依頼で2曲でき、消費は合計10クレジットです。アップロードからカバーの作成まで、Sunoの画面を操作する必要はありませんでした。

Sunoの解析は、指定したCメジャーに対してキーをCメジャーと推定し、テンポは指定より1.5 BPM高い129.5 BPMと推定しました。

答え合わせをする

ここからの照合も、会話で進みました。1曲目をWAVでダウンロードすると、Proのダウンロード枠は20から19に減りました。ACE Studioに取り込み、同梱のドキュメントで無料とされるprofessionalモードで6パートに分け、ボーカルをVocal to MIDIで音符に戻しました。指定した音符と、分離した歌声から推定した音符を、同じ形式で並べられるわけです。

比べ方を先に書きます。書き起こした音符とガイドを、曲全体の時間のずれを探しながら重ね(約0.77秒ずらすと最もよく合いました)、ガイドの各音の中央の時刻で音高が合うかを数えました。次の表は、その条件で最も高くなった値です。

歌詞 音高が一致した音
朝焼けの街を 7/8
風が駆け抜ける 7/8
きのうの涙は 8/8
空に溶けてゆく 8/8
走れ 光のほうへ 10/10
止まらず 前を向いて 9/10
君と見た この空へ 7/10
歌おう あしたの歌 2/10
合計 58/72
橙色の枠が指定音符、青色の小さな矩形が書き起こした音符を示す、8小節分の歌詞と音符の一致度を日付別に比較するグラフ。最初の6行が指定音符と重なり、最後の8行目でずれが生じている様子を示す。
指定した音符と、歌を書き起こした音符の比較(検証用の1曲、筆者作成)

最初の6行では、比較した52音中49音の音高が一致しました。音の長さやリズム、発音は、この数字には入っていません。

この58という数字は、Sunoの性能を測ったものではありません。Vocal to MIDIは本来アカペラ向けの機能で、今回は分離したボーカルを入力しています。書き起こしの誤りを含みますし、30秒の1曲を1回比べただけの結果です。同じ歌声の波形から音程を直接測る別の方法でも試すと、Aメロの4行は測れた29音中25音が合い、傾向は一致しました。一方、サビでは2つの方法の結果が割れています。音程の検出はオクターブを取り違えることがあり、声の重なりが影響している可能性もあります。傾向を見るための目安としてお読みください。

最後の行は、書き起こしでは大きく外れました。「う・あ・し・た」の4音が、指定より1オクターブ低く出ています。これが実際の歌なのか、書き起こしの誤りなのかは、数字だけでは決められません。聴くと、指定に近い高さで歌っているように聞こえたので、この行は書き起こしの誤りが大きいのかもしれません。Styleの指示がどこまで届いたかも別の話で、ピアノとストリングスを指定しましたが、分離結果のピアノの成分はほぼ無音でした。原曲にピアノがないとまでは言えませんが、この1曲に限って言えば、メロディはガイドに沿う部分が多く、音色は指定どおりとは限らないようです。

数字が合っても、耳は別の答えを出す

数字の上ではこの行だけが大きく外れていたので、最後の2小節は、ACE Studioの声で歌い直してみました。明るい女性の声の「リリカ」を使い、音符と歌詞を入れて、元のボーカルの該当部分と差し替えます。表情の調整まではしていません。波形から実際の音程を測ると、10音のうち測れた9音は、目標との差が半音の半分(50セント)以内でした。

数字の上では、問題がないように見えました。

ところが聴いてみると、不自然でした。サビの途中で歌い手が替わるのですから、当然と言えば当然です。私はこの差し替えを不採用にして、Sunoの歌に戻しました。作業はすべて元に戻せる形で進めていたので、切り替えはすぐに済んでいます。

AIに任せられる範囲は、この検証でかなり広がりました。音符を書き、受け渡し、数値で比べるところまでは、会話で進みます。それでも、歌い手が途中で替わったときの違和感を「やめよう」と決めたのは、聴いた私でした。少なくとも今回は、音程の数値が基準に収まっていても、作品として通すかどうかを決めたのは人の耳でした。

受け取ったデータで映像を動かす

歌詞の時刻と拍が会話の中で手に入るなら、映像にも使えます。試しに、同じ曲を24種類のモーショングラフィックで動かしてみました。文字が飛び込むもの、歌詞の文字で情景を描くもの、パートごとの音量で輪やメーターを動かすものなどです。Aメロは1小節ごと、サビは半小節ごとに切り替えて、1本の動画にもまとめました。

動画は横と縦の2本で、1920×1080と1080×1920、30.92秒です。全コマの描画は2本で約12分でした。描く内容も曲の長さも違うので単純には比べられませんが、前回は横で20分前後、縦で約45分かかっています。

検証用の曲を24種類のモーショングラフィックで動かした動画(横16:9、30.92秒、音声あり)
24種類のモーショングラフィックの静止画を6列4段に並べた一覧
動画に入っている24種類の一覧(筆者作成)

通して見ると、歌詞と拍のタイミングに大きなずれは感じませんでした。自動の解析だけで、ここまで合うのは手応えがあります。

サビの位置は、Sunoの区間のラベルからは識別できませんでした。5つの区間がすべて同じラベルで返ってきたからです。代わりに、歌詞に入れた[Chorus]のタグに付いた時刻を目安にしています。

使うときに知っておきたいこと

今回の曲は検証用のサンプルです。仕事に使う場合は、Sunoの利用規約(2026年9月3日発効)を読んでおく必要があります。ProとPremierではSunoが持つ権利がユーザーに譲渡されますが、Sunoは著作権の成立を保証していません。商用利用には、適用されるプランの割当の範囲で正規にダウンロードすることに加えて、規約の順守などが必要です。ダウンロードの上限はFreeが生涯7回で個人利用のみ、Proが月20回、Premierが月60回です。

自分のアップロード音源を使ったカバーがどう扱われるかは、規約に明記されているのを見つけられませんでした。規約が商用利用の対象外とする「Remix」は、他のユーザーが作品をリミックスしたものとして書かれているので、当たらないように読めますが、別の提供形態で別段の定めがある場合という留保もあり、この条項だけでは今回のカバーの扱いを確定できません。案件で使うなら、Sunoに確認するのが確実でしょう。

音符で設計して、耳で決める

これまでのSunoとの対話は、言葉で曲の雰囲気を伝えて、返ってきたものを聴いて選ぶ形が中心でした。今回試した流れでは、音符で設計したメロディを、ガイド音声として先に渡せます。そして返ってきた歌を、また音符に推定して見比べられます。Sunoに渡しているのは楽譜そのものではなく、楽譜を鳴らした音声ですが、「文章で頼む」と「音符で設計して頼む」のあいだを、AIが往復してくれるようになったと言えそうです。

前回は、曲の受け渡しが手作業として残っていました。今回はそこが会話に入り、私は方針を決めることと聴いて判断することに、多くの時間を使えました。音楽を作る人の手から仕事が消えていくというより、作る人が判断に使える時間が増えていく。その変化を、自分の耳で確かめながら追っていきたいと思います。

【関連記事】

ACE StudioをClaude Codeから操作、歌の分離から拍の解析まで任せてMVを作った
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Sunoの曲を、歌詞が飛ぶMVにしてみた。Pythonとffmpegで作る手順と、1行ずれた失敗
歌詞の時刻を手で取り、PythonとffmpegでMVを作った記事である。1行ずれた失敗とその直し方も詳しく記録している。

Kling 4.0、APIより先にMCP・CLIで提供開始|使えるのは個人の有料クレジット
動画生成AIのKling 4.0がMCPとCLIで提供された事例の記事である。使えるクレジットの条件や仕様も整理している。

【編集部後記】

Suno MCPには、曲についてSunoのAIに質問できるツールがあります。AIが曲を聴いて、文章で答えてくれるものです。今回の1曲目について尋ねると、冒頭のメロディは指定に沿っているようだという答えが返ってきました。

このツールには、不採用にした差し替え版を聞かせていません。もし「自然につながっています」と返ってきたら、私はそれでも聴き直して「やめよう」と言えたでしょうか。

耳で決めたはずの判断が、そのうちAIの答えに引っ張られていくのかもしれません。みなさんなら、最後の判断をどちらに預けますか。


【用語解説】

MCP(Model Context Protocol)
AIアシスタントが外部のツールやサービスに接続し、会話の中でその機能を使うための仕組みである。

MIDI
音の高さや長さを記録するデータの形式である。音そのものではなく、楽譜に近い情報を持つ。

Vocal to MIDI
ACE Studioの機能で、歌声を歌詞付きの音符に変換する。公式の説明では、アカペラの入力を想定している。

ガイド音源
作りたいメロディや構成を伝えるために、簡単な音色で鳴らした音源である。今回はSunoのカバーの入力に使った。

カバー(Suno)
Sunoの機能で、既存の音源や曲をもとに、指定した歌詞やスタイルで新しい曲を生成する。

モーラ
日本語の音の長さを数える単位である。促音「っ」や撥音「ん」も1つと数える。

セント
音程の差を表す単位である。半音が100セントにあたる。

モーショングラフィック
文字や図形に動きを付けて表現する映像の手法である。

【参考リンク】

Suno MCP(外部)
Suno公式の製品ページである。対応するAIアプリ、接続の方法、APIキーの要否、早期アクセスの申し込みを案内している。

Suno利用規約(外部)
Sunoの公式の利用規約である。権利の帰属と商用利用の条件を定めており、2026年8月10日に改定され、9月3日に発効した。

ACE Studio(外部)
歌声合成とAI楽器、パートの分離などを備え、日本語の歌声も作れる音楽制作ソフト、ACE Studioの公式サイトである。

ACE Studio External Agent Access(外部)
ACE Studioを外部のAIエージェントから操作するための公式文書である。CLIとMCPの入口を示し、実験的な機能としている。

ACE Studio agent plugin(外部)
ACE Studioを操作するAIエージェント向け公式スキル集である。GitHubで公開し、Claude Codeにプラグインで導入できる。

Claude Code(外部)
Anthropicが提供するコーディングエージェント、Claude Codeの公式ページである。今回の検証の操作はこれで実行した。

【参考記事】

Sunoとバンドやろうぜ!(外部)
Bito氏のnote記事である。AIエージェントが書いた楽譜をガイド音源にして、Sunoのカバーに渡す手法を解説している。

Suno MCP (Beta): FAQ(外部)
Suno MCPの公式FAQである。Freeを含む全プランが対象で、楽曲の作成にはプランのクレジットを消費すると説明している。

How do I connect Suno MCP (Beta) to an AI assistant?(外部)
Suno MCPの公式の接続手順である。Claude Codeの登録コマンドと、セッション内でのサインインの流れを示している。

Upcoming Changes FAQ: Downloads, Models, and Terms of Service(外部)
Suno公式のFAQである。ダウンロードの上限をFreeは生涯7回、Proは月20回、Premierは月60回と示している。

Vocal to MIDI(外部)
ACE Studioの公式文書である。歌声を歌詞付きの音符に変換する機能と、アカペラ向けの設計であることを説明している。

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山本 達也 代表社員
合同会社デジタルの窓口 代表。ウェブ解析士。生成AI・サイバーセキュリティ・ 宇宙開発領域を中心に執筆。

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