2024年10月8日、AI関連ハードウェアスタートアップHumaneの元幹部2名が新たなAIソフトウェア企業Infactoryを立ち上げた。Humaneのパートナーシップ責任者だったブルック・ハートリー・モイがCEO、エンジニアリング責任者だったケン・コシエンダがCTOを務める。
Infactoryは、AIを活用したファクトチェック検索エンジンの開発を目指している。同社は400万ドル(約6億円)の資金調達に成功し、企業価値は2500万ドル(約37億円)と評価された。
主要投資家にはBee Partners、Andreessen Horowitz、Alumni Ventures、FJ Labsが名を連ねる。Infactoryは現在アルファ版の段階にあり、2024年後半に製品の本格的なローンチを予定している。
同社は金融、保険、SaaS、ヘルスケア、メディアなどの分野の企業顧客をターゲットとしている。Infactoryの技術は、組織の内部データベースとインターネット上の情報を明確に理解可能な方法で探索することを目的としている。
from:Former Humane execs secure $25 million valuation after departing AI hardware startup
【編集部解説】
Infactoryは、元Humane社の幹部であるブルック・ハートリー・モイとケン・コシエンダが立ち上げた新会社です。彼らは、AIを活用したファクトチェック検索エンジンの開発に取り組んでいます。
この新しいベンチャーは、AIハードウェア業界で苦戦を強いられているHumaneを離れた後、わずか数ヶ月で400万ドル(約6億円)の資金調達に成功し、企業価値を2500万ドル(約37億円)にまで高めました。これは、彼らの新しいアイデアと技術に対する投資家の高い期待を示しています。
Infactoryの特徴は、AIの使い方にあります。多くのAIサービスが陥りがちな「ハルシネーション(幻覚)」、つまり事実と異なる情報を生成してしまう問題に対して、独自のアプローチを取っています。彼らは、大規模言語モデル(LLM)を検索クエリの意図を理解するためだけに使用し、実際の検索結果は信頼できるデータソースから直接取得する方法を採用しています。
この手法により、Infactoryは高い精度と信頼性を実現しようとしています。例えば、医療分野では、医師が患者の内部データを安全に検索し、薬の相互作用を正確に確認できるようになる可能性があります。
しかし、この技術にも課題はあります。信頼できるデータソースの選定や、データの最新性の維持など、継続的な努力が必要となるでしょう。また、プライバシーの問題や、データの偏りによる不公平な結果の可能性にも注意を払う必要があります。
Infactoryの登場は、AI業界に新たな風を吹き込む可能性があります。特に、企業や研究機関向けの高精度な情報検索ツールとして、大きな期待が寄せられています。
一方で、GoogleやMicrosoftなどの大手テック企業も同様のAI検索技術の開発に力を入れています。Infactoryが彼らとどのように差別化を図り、市場で成功を収めるかが注目されます。
長期的には、このような高精度なAI検索技術が普及することで、情報の信頼性が向上し、フェイクニュースの拡散防止にも貢献する可能性があります。また、様々な分野での意思決定プロセスの効率化や、新たな知見の発見にもつながるかもしれません。