Last Updated on 2024-10-09 07:52 by admin
AR(拡張現実)ラップトップ「Spacetop G1」を開発していたSightful社は、2024年10月に予定していた製品の発売を中止し、事業戦略を変更した。Spacetop G1は、Xreal Air 2 Ultra ARグラスを内蔵した1,900ドルのスクリーンレスラップトップだった。
Sightful社は、ハードウェア製造を完全に中止し、代わりにWindows PCソフトウェアの開発に注力する。新しいソフトウェアは「Spacetop」と名付けられ、NPU(ニューラルプロセッシングユニット)搭載のWindowsラップトップ上でXreal Air 2 Ultraグラスを使用するAR空間コンピューティングを実現する。
この戦略変更の理由として、最新のラップトップにNPUが搭載されるようになり、パフォーマンスやバッテリー寿命を犠牲にすることなく6DoFトラッキングを実行できるようになったことが挙げられている。
Spacetop WindowsソフトウェアはUSB-C接続で動作し、2024年末までにリリース予定である。対象となるのは、QualcommのSnapdragon、IntelのCore Ultra、AMDのRyzen AIチップセットを搭載したNPU内蔵ラップトップ(MicrosoftがCoPilot+ PCとブランド化)のみとなる。
Sightful社は2020年に設立され、元Magic Leap幹部のTamir BerlinerとTomer Kahanが共同創業者である。これまでに6,100万ドルの資金を調達している。
from:Sightful Cancels Spacetop, Will Release Windows Software For Xreal Air 2 Ultra Instead
【編集部解説】
Sightfulの戦略転換は、AR技術の実用化に向けた重要な一歩と言えるでしょう。当初計画していたハードウェア製品の開発を中止し、ソフトウェアに注力するという決断は、市場の現状と将来性を見据えた賢明な選択だと考えられます。
この変更により、ARテクノロジーの普及が加速する可能性があります。専用ハードウェアではなく、既存のWindows PCとXreal Air 2 Ultraグラスを組み合わせることで、より多くのユーザーがAR体験にアクセスできるようになるからです。
特筆すべきは、最新のWindows PCに搭載されているNPU(ニューラルプロセッシングユニット)の活用です。これにより、バッテリー寿命やパフォーマンスを犠牲にすることなく、高度な6DoFトラッキングが可能になります。これは、AR技術の実用化における大きな障壁の一つを克服したと言えるでしょう。
また、MicrosoftのWindows CoPilot+との連携も注目に値します。AIアシスタント機能とAR技術の融合は、生産性向上や新しいユーザー体験の創出につながる可能性があります。
一方で、課題も残されています。例えば、ARグラスの視野角の制限は、ユーザー体験に大きな影響を与える可能性があります。また、プライバシーやセキュリティの問題、長時間使用による健康への影響なども考慮する必要があるでしょう。
長期的な視点では、この技術がオフィスワークやリモートワークの在り方を大きく変える可能性があります。物理的なディスプレイの制約から解放されることで、より柔軟で創造的な作業環境が実現するかもしれません。