Last Updated on 2024-10-25 10:23 by admin
エンタープライズAI市場の新潮流
VentureBeatが2024年10月に発表した分析によると、エンタープライズAI市場においてオープンソースモデルが優位性を確立しつつある。
主な動向は以下の通り:
1. NVIDIAの新モデル「Llama3.1-Nemotron-70B-Instruct」が、以下のベンチマークスコアでOpenAIのGPT-4とAnthropicのClaude 3.5を上回る性能を示した:
- Arena Hard: 85.0点
- AlpacaEval 2 LC: 57.6点
- GPT-4-Turbo MT-Bench: 8.98点
2. Broadcomが年間50億ドル以上のR&D投資を行い、AIインフラ向けの「OSP(Open, Scaleable, Power efficient)」アプローチを推進。
3. H2O.aiが2024年10月17日に新しい視覚言語モデルを発表:
- H2OVL Mississippi-2B(20億パラメータ)
- H2OVL Mississippi-0.8B(8億パラメータ)
【編集部解説】
エンタープライズAI市場において、オープンソースモデルの存在感が急速に高まっています。2024年の最新データによると、企業のAI戦略に大きな変化が起きていることが明らかになっています。
特筆すべきは、Metaのオープンソースモデル「Llama」の驚異的な成長です。2024年7月だけで2,000万回以上のダウンロードを記録し、年間では3.5億回のダウンロード数に達しています。この数字は、オープンソースAIモデルへの企業の関心が爆発的に高まっていることを示しています。
アンドリーセン・ホロウィッツ社の調査によると、企業のAI予算は2024年に2〜5倍に増加する見込みで、特に注目すべきは、多くの企業が目指すオープンソースとクローズドソースの比率が「50:50」になりつつあることです。これは2023年の「20:80」から大きく変化しています。
この変化の背景には、企業がAIモデルに求める3つの重要な要素があります:
- ベンダーロックインの回避
- データに対する高度なコントロール
- 柔軟なスケーリング能力
一方で、バイデン大統領の行政命令(Section 4.6)では、クローズドソースモデルを優遇する方針が示されており、これは業界の流れと逆行する可能性があります。しかし、Red Hatの2022年の調査では、IT企業の80%が企業向けオープンソースソフトウェアの利用増加を予定しており、89%がオープンソースを同等以上に安全と評価しています。
特に注目すべきは、NVIDIAの新モデル「Llama3.1-Nemotron-70B-Instruct」の登場です。このモデルは、OpenAIのGPT-4やAnthropicのClaude 3.5を上回る性能を示しており、オープンソースモデルの可能性を大きく広げています。
しかし、課題も存在します。大規模なAIモデルの運用には、膨大なインフラストラクチャーが必要です。Broadcomは年間50億ドル以上のR&D投資を行い、AIインフラ向けの「OSP(Open, Scaleable, Power efficient)」アプローチを推進していますが、これはオープンソースの課題を解決する一つの方向性を示しています。
今後、エンタープライズAI市場では、オープンソースとクローズドソースの共存が進むと予想されます。企業は自社のニーズや規模に応じて、両者を適切に組み合わせていく必要があるでしょう。
from:The enterprise verdict on AI models: Why open source will win