Last Updated on 2024-11-20 16:36 by admin
AIスタートアップのPerplexity(パープレキシティ)は2024年11月18日、米国のProユーザー向けに新しいAIショッピング機能を発表した。
主な機能は以下の通り:
- チャットボットを通じて商品の検索から購入までをワンストップで完結
- 「Buy with Pro」ボタンで直接購入が可能
- 全商品送料無料
- 商品の画像をアップロードして検索できる「Snap to Shop」機能を搭載
サービスの特徴:
- 商品カードには画像、価格、特徴、レビューなどを表示
- Shopifyと連携し、米国向けに出荷可能な全商品を対象
- 月額20ドル(約3,000円)のProユーザーのみが利用可能
- スポンサー広告のない「偏りのない推奨」を提供
企業概要:
- 2022年設立、サンフランシスコを拠点とするAIスタートアップ
- 創業者:アラヴィンド・スリニバス(CEO)ら4名
- 現在の評価額は約90億ドル(約1.3兆円)
- 1日あたり約1,500万件のクエリを処理
- 年間収益は約5,000万ドル(約75億円)
この発表により、PerplexityはAmazonやGoogleが主導するAIショッピング市場に本格参入することとなった。
【編集部解説】
Perplexityの新しいショッピング機能は、AIによるeコマースの未来を示す重要な一歩といえます。
まず注目すべきは、この機能が単なる商品検索エンジンではないという点です。従来のeコマースプラットフォームでは、キーワード検索や絞り込み機能を使って商品を探す必要がありましたが、Perplexityは自然な会話を通じて商品を探すことができます。例えば「子供の誕生日パーティーに必要なものを教えて」といった曖昧な質問からでも、適切な商品をリストアップしてくれます。
特筆すべきは、商品の推奨がスポンサー広告に影響されないという点です。現在のAmazonやGoogleショッピングでは、検索結果の上位に広告商品が表示されることが一般的ですが、Perplexityは純粋にAIによる分析結果のみを表示します。これは消費者にとって、より公平な商品選択の機会を提供することになります。
技術面では、ShopifyのAPIと連携することで、数百万の商品データにアクセスできる体制を整えています。また「Snap to Shop」機能は、画像認識技術とLLM(大規模言語モデル)を組み合わせた革新的な機能といえます。
しかし、このサービスにも課題があります。現在はPro会員(月額20ドル)限定のサービスであり、米国でしか利用できません。また、ウェブスクレイピングに関する法的問題も抱えており、ニューヨークタイムズやフォーブスなどの大手メディアから著作権侵害の指摘を受けています。
将来的な展望として、このようなAIショッピングアシスタントは、オンラインショッピングの形を大きく変える可能性があります。特に、商品の比較検討や購入判断のプロセスが、より効率的で透明性の高いものになることが期待されます。
一方で、AIによる推奨が消費者の選択の多様性を狭める可能性や、データプライバシーの問題など、新たな課題も浮上してくるでしょう。
Perplexityの急成長(評価額が1年で520万ドルから90億ドルに上昇)は、AIショッピング市場の潜在的な可能性を示唆しています。今後、Amazon、Google、OpenAIなどの大手企業との競争が激化する中で、どのように差別化を図っていくのかが注目されます。