Microsoft Zero Day Quest始動|AI・クラウドの脆弱性発見に6億円の報奨金、世界最高峰のハッカーを本社に招聘

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Last Updated on 2024-11-20 17:53 by admin

Microsoftが総額400万ドル(約6億円)の報奨金をかけた新たなハッキングイベント「Zero Day Quest」を発表した。同社のAIおよびクラウドセキュリティの脆弱性を発見するこのプログラムは、2024年11月19日から2025年1月19日まで実施され、優秀な参加者はMicrosoft本社での対面ハッキングイベントに招待される。

発表日時:2024年11月19日22時30分(JST)
発表場所:Microsoft Igniteカンファレンス(シカゴ)

主な内容:

  • Microsoftが「Zero Day Quest」という新しいハッキングイベントを発表
  • 総額400万ドル(約6億円)の報奨金を用意
  • 対象:AIとクラウドセキュリティの脆弱性発見

イベントの詳細:

リサーチチャレンジ

  • 期間:2024年11月19日~2025年1月19日
  • 参加資格:誰でも参加可能
  • 対象製品:Microsoft AI、Azure、Microsoft Identity、M365、Dynamics 365、Power Platform

対面ハッキングイベント(2025年開催)

  • 場所:Microsoft本社(ワシントン州レッドモンド)
  • 参加者:
     2024年度Azure、Dynamics、Officeリーダーボード上位10名ずつ
     リサーチチャレンジから選抜された45名
  • 参加者特典:往復航空券(エコノミー)、5泊のホテル宿泊、空港送迎

新たな取り組み:

  • AI関連のバグ報奨金を2倍に増額
  • MicrosoftのAIエンジニアチームとAI Red Teamへの直接アクセス権を提供
  • 発見された重要な脆弱性はCVE(Common Vulnerabilities and Exposures)プログラムを通じて公開

同時発表:

  • Microsoft Security Exposure Managementの立ち上げ
  • グラフベースの新セキュリティ管理ツールを提供開始

責任者:

  • Tom Gallagher氏(Microsoftセキュリティレスポンスセンターのエンジニアリング担当VP)
  • Vasu Jakkal氏(Microsoftセキュリティ担当コーポレートVP)

from:Microsoft announces its own Black Hat-like hacking event with big rewards for AI security

【編集部解説】

Microsoftが発表したZero Day Questは、単なるバグ報奨金プログラムの拡張ではなく、AI時代における新しいセキュリティパラダイムの幕開けを示す重要な取り組みといえます。

特筆すべきは、AIセキュリティに対する報奨金を2倍に設定した点です。これは、生成AIの普及に伴い、従来型のサイバーセキュリティとは異なる新しい脆弱性が発見される可能性を示唆しています。

また、このプログラムではMicrosoftのAIエンジニアチームやAI Red Teamへの直接アクセスが提供されます。これは、セキュリティ研究者たちがAIシステムの内部構造を深く理解し、より効果的な脆弱性検出が可能になることを意味します。

注目すべきは参加形態です。オープンな研究チャレンジと、招待制の対面ハッキングイベントという二段構えの approach は、幅広い人材の発掘と、精鋭との深い協働を同時に実現する狙いがあると考えられます。

このイベントの背景には、2023年に発生した中国ハッカーグループによる米国務省のメール流出事件があります。6万通以上のメールが流出したこの事件は、クラウドセキュリティの重要性を改めて浮き彫りにしました。

さらに重要なのは、発見された脆弱性をCVEプログラムを通じて公開する姿勢です。これは、セキュリティコミュニティ全体での知見の共有を促進し、業界全体のセキュリティレベル向上につながる可能性があります。

ただし、潜在的なリスクも存在します。AIシステムの脆弱性を公開することで、悪意のある攻撃者に手がかりを与えてしまう可能性もあります。このバランスをどう取るかが、今後の重要な課題となるでしょう。

長期的な視点では、このような取り組みは、AI開発における「セキュリティ・バイ・デザイン」の考え方を強化することにつながります。開発初期段階からセキュリティを考慮することで、より安全なAIシステムの構築が期待できます。

企業にとっては、Microsoft製品を利用している場合、このプログラムによって発見される脆弱性に注目し、適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。特に、Azure、Microsoft 365、Dynamics 365などのクラウドサービスを利用している組織は、セキュリティアップデートの適用を迅速に行うことが重要になってくるでしょう。

【用語解説】

  • Zero-day脆弱性:
    開発者も把握していない未知の脆弱性
  • AI Red Team:
    AIシステムの脆弱性を専門的に探索する専門家チーム
  • PyRIT:
    Microsoftが開発した生成AIのリスク特定ツールキット

【参考リンク】

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