Microsoftが企業向けAIアシスタント「Microsoft 365 Copilot Chat」を刷新。基本機能を無料化し、AIエージェントを従量課金で提供開始。
発表概要
発表日:2025年1月15日
製品名:Microsoft 365 Copilot Chat(AIエージェント機能付き)
開発元:Microsoft Corporation(本社:米国ワシントン州レドモンド)
製品詳細
基盤AI:OpenAIのGPT-4oモデル
主な機能:
- ウェブベースの情報検索
- 文書アップロード・分析
- 画像生成
- カスタムAIエージェント作成
料金体系
基本チャット機能:無料
エージェント機能:従量課金制
- 1メッセージあたり0.01ドル
- 月額200ドルで25,000メッセージ分のパック料金
- Microsoft Graphベースの回答は最大30メッセージ(30セント)を消費
from:Microsoft launches Copilot Chat with AI agents; take that, Gemini!
【編集部解説】
Microsoftが発表したMicrosoft 365 Copilot Chatは、企業のAIツール導入における大きな転換点となる可能性があります。これまでユーザーあたり月額30ドルという固定料金モデルが、多くの企業にとって導入の障壁となっていました。
新サービスは、基本的なAIチャット機能を無料で提供しながら、高度な機能は従量課金制で利用できる柔軟な料金体系を採用しています。これにより、企業は必要な機能だけを必要なだけ利用できるようになります。
AIエージェントの課金モデル
特筆すべきは、AIエージェントの料金体系です。基本的な応答は1メッセージあたり1セント、生成的な応答は2セント、Microsoft Graph経由での社内データアクセスは30セントと、利用度に応じた段階的な料金設定となっています。
例えば、カスタマーサービス部門では1日500件の基本応答と2,000件のAI生成応答で約45ドル、人事部門では200件の生成応答と200件のGraph連携で約64ドルといった具合に、部門ごとの必要性に応じて柔軟に利用できます。
GoogleのGeminiとの競争激化
この発表は、GoogleがWorkspace向けGeminiを無料提供すると発表したことへの対抗策としても見ることができます。Googleは月額14ドルのWorkspaceサブスクリプションでAI機能を提供していますが、Microsoftは基本機能の無料化とエージェント機能の従量課金制という異なるアプローチを選択しました。
企業のデジタルトランスフォーメーションへの影響
このサービスは、特に中小企業のAI導入を促進する可能性があります。初期投資なしでAIツールを試用でき、効果を確認しながら段階的に導入を拡大できるためです。
また、企業内での業務プロセスの自動化も加速すると予想されます。カスタマーサービス、営業、人事など、様々な部門でAIエージェントを活用した業務効率化が可能になります。
潜在的な課題とリスク
一方で、従量課金制の導入により、予期せぬコスト増大のリスクも存在します。特に、Microsoft Graph経由でのデータアクセスは1回あたり30セントと比較的高額であり、使用量の管理が重要になってきます。
また、企業の機密データの取り扱いについても注意が必要です。Microsoftはエンタープライズデータ保護を提供していますが、AIエージェントの利用拡大に伴うセキュリティリスクの管理は企業側の重要な課題となるでしょう。
今後の展望
2025年2月にはAIエージェントの自律的なアクション機能が追加される予定であり、さらなる機能拡張が期待されます。この動きは、企業におけるAI活用の在り方を大きく変える可能性を秘めています。
企業は、従来の固定費モデルか新しい従量課金制モデルか、自社に適したAI導入戦略を慎重に検討する必要があるでしょう。