OpenAIとソフトバンクが発表した5,000億ドル規模のデータセンタープロジェクト「Stargate」は、その名の通り、人類のAI能力を新次元へと引き上げる扉となるかもしれない。テキサス州アビリーンの灼熱の大地で、すでに建設が始まったこの巨大施設群は、単なるサーバーファームを超えて、デジタルとフィジカルの境界を再定義するだろう。
【概要】
米OpenAI、ソフトバンクグループ、Oracleは2025年1月22日、AI特化型データセンターの大規模建設プロジェクト「Stargate」を発表した。総額5,000億ドル(約77兆円)を投じ、テキサス州アビリーンを起点に全米でAIインフラを構築する。
初期投資として1,000億ドルを投入し、第一期では各4.6万平方メートル規模のデータセンター10棟を建設。最終的に20棟まで拡大する計画だ。技術パートナーとしてArm、Microsoft、NVIDIA、Oracleが参画する。
本プロジェクトに伴い、MicrosoftとOpenAIの関係も変更される。2030年まで続く現行の主要契約は維持されるものの、新規の計算資源に関する独占契約は「優先交渉権」へと変更された。これによりOpenAIは、より柔軟なインフラ戦略を取ることが可能となる。
建設はすでに開始されており、環境負荷への対応や地域への経済効果など、様々な観点から注目を集めている。米国のAI覇権維持を目指す重要プロジェクトとして位置づけられている。
from OpenAI and Softbank are starting a $500 billion AI data center company
Announcing The Stargate Project
【編集部解説】
Stargateプロジェクトは、単なるデータセンター建設計画を超えた、米国のAI覇権戦略の核心部分といえます。投資規模の5,000億ドル(約77兆円)は、これまでのテクノロジーインフラ投資としては異例の規模です。
注目すべきは、このプロジェクトによってOpenAIがMicrosoftへの依存から段階的に脱却する道筋が示されたことです。Microsoftとの関係は2030年まで維持されますが、新規の計算資源に関して「優先交渉権」という形に変更されることで、OpenAIの自律性が高まることが予想されます。
環境面での課題も明確です。AIモデルの開発には莫大な電力と水資源が必要となります。データセンターは世界の電力消費の1~1.5%を占めており、そのうちAIが約10%を消費しています。2028年までにはAIがデータセンターの電力需要の19%を占めると予測されています。
テキサス州アビリーンでの建設がすでに始まっており、第一期として10棟のデータセンターが建設中です。各施設は約4.6万平方メートルの規模で、これはサッカー場約6.5個分に相当します。完成時には20棟まで拡大する計画です。
このプロジェクトの特徴は、単なるデータセンター建設にとどまらず、電力インフラの整備も含まれている点です。トランプ大統領は緊急事態宣言を通じて、必要な電力生産設備の建設を迅速化すると表明しています。
長期的な影響として、このプロジェクトは米国のAI覇権維持に重要な役割を果たすと考えられます。特に中国との技術競争において、強力な優位性を確保することが期待されています。