Block社(旧Square社)は2025年1月28日、オープンソースのAIエージェント構築フレームワーク「Goose」を発表した。
開発主体:Block社(本社:サンフランシスコ)
代表者:ジャック・ドーシー(CEO、Twitter共同創業者)
主な特徴
- あらゆる大規模言語モデル(LLM)と連携可能
- Apache 2.0ライセンスで提供
- AnthropicのModel Context Protocol(MCP)に対応
- デスクトップアプリとCLIの両方に対応
主な機能
- コードベースの検索・ナビゲーション
- ファイルの読み書き・編集
- 依存関係のインストールとテスト実行
- 最小限の監視で出力の改善と追加タスクの処理
実績
- EmberからReact、RubyからKotlinなどのコード移行
- Google DriveとSlackの連携による業務効率化
- データ保持用APIの構築
- ユニットテストの自動生成
開発体制
- AI/ML専門家、ソフトウェアエンジニア、デザイナーで構成されるチーム
- Anthropic社との協力体制
セキュリティ面
- オンプレミスまたはプライベートクラウドでの展開が可能
- Block社のサーバーを経由しないダイレクトな接続
- データはホスティング環境内で保持
【編集部解説】
Block社が発表したGooseは、AIエージェントの新しい形を提示する画期的な取り組みといえます。特筆すべきは、完全にオープンソース化されたことで、これはAI開発の民主化に大きな一歩を記すものです。
Gooseの特徴的な点は、特定のAIモデルに依存しない設計思想にあります。OpenAI、Google、Anthropicなど、どのLLMとも連携できる柔軟性は、企業のベンダーロックインを防ぎ、より自由な選択を可能にします。
実際の活用シーンを見ると、エンジニアの作業効率を大きく向上させる可能性が見えてきます。例えば、あるプログラミング言語から別の言語へのコード移行作業を30分で70%完了させた実績は、従来の手作業では数時間から1日以上かかる作業を劇的に短縮できることを示しています。
セキュリティ面での配慮も注目に値します。Block社のサーバーを経由せず、データを自社環境内で保持できる設計により、金融系企業特有のセキュリティ要件にも対応できます。
興味深いのは、当初はエンジニアリング用途として開発されたものの、非技術者からの需要も高まっているという点です。Google CalendarやSlackとの連携による業務効率化など、幅広い用途への展開が期待されています。
将来的な影響として、AIエージェントの標準化への貢献が考えられます。Model Context Protocol(MCP)の採用により、異なるシステム間での相互運用性が向上し、AIエージェントのエコシステム形成を促進する可能性があります。
一方で、このような自動化ツールの普及は、エンジニアの役割の変化をもたらす可能性があります。Block社は人員削減ではなく、従業員の生産性を30%以上向上させることを目指しているとしていますが、業界全体としてはスキルセットの再定義が必要になるかもしれません。
テクノロジー業界において、このような高度なツールをオープンソース化する動きは、イノベーションの加速と技術の民主化につながる重要な転換点となる可能性を秘めています。