カールスルーエ工科大学(KIT)の統計学研究所が、太陽光発電の発電量予測の精度を向上させる新しい機械学習手法を開発した。この研究は2024年12月28日に学術誌「Advances in Atmospheric Sciences」に掲載された。
- 研究チームは以下の3つの予測手法を検証した:
- 気象予報データを太陽光発電モデルに入力する前に補正
- 発電量予測後の統計的後処理による補正
- 気象データから直接発電量を予測する機械学習モデル
検証の結果、発電量予測後に補正を行う手法が最も効果的であることが判明した。また、時間帯ごとに個別のモデルを訓練する、あるいは時間を直接アルゴリズムに入力することで、予測精度が大幅に向上することも実証された。
from:https://www.eurekalert.org/news-releases/1073557
【編集部解説】
この研究は、再生可能エネルギーの普及における重要な技術的進展です。
従来の予測手法では、気象予報データの誤差が発電量予測に影響を与えるという課題がありました。この研究では、予測の各段階で補正を行うことで、より正確な予測を実現しています。
特筆すべきは、この手法が太陽光発電所の詳細な設計情報を必要としない点です。過去の気象データと発電実績データのみで予測が可能となり、新規の太陽光発電所でも容易に導入できます。
この技術は、気象学者と太陽光発電エンジニアの学際的な協力の成果であり、両分野の知見を組み合わせることで、より効果的な予測が可能となりました。
【編集部追記】
研究結果の重要性から、2025年2月12日にてAAAS(米国科学振興協会)が提供が提供しているニュースサイトである、エウレカアラートにて掲載されました。今回の論文では複数の機械学習の手法とあらゆる多様なデータセットを用いて太陽光発電の効率を予測しました。このように機械学習は再生可能エネルギーやナノテクノロジーのようなあらゆる分野、つまり実験データと蓄積がある分野について人間が扱えない大量のデータを扱い、機械学習やAI自体がイノベーションであるのはもちろんのこと、社会全体のあらゆる分野のイノベーションを加速させることを予感させる研究結果だと思いました。