2025年2月24日、Appleは今後10年間で米国に5,000億ドル（約75兆円）を投資する計画を発表した。この計画の一環として、テキサス州オースティンに新しいAIサーバー製造施設を2026年に開設する予定だ。この施設では、AppleのAIサービスを支えるサーバーが生産される。
AppleのTim Cook CEOは、この投資により5万人以上の新規雇用が創出されると述べた。新工場では、TSMCの最新チップを搭載したAIサーバーが製造される見込みだ。
Appleはまた、複数の州の既存のデータセンターを拡張し、アリゾナ州のTSMC Fab 21施設でのチップ製造にも投資する。さらに、米国先端製造基金を50億ドルから100億ドルに倍増させる。
一方、Meta（旧Facebook）も2,000億ドル（約30兆円）規模のAIチップ投資を検討していると報じられたが、Metaの広報担当者はこの報道を「純粋な憶測」として否定している。
これらの動きは、MicrosoftやAmazonなど他のテック大手も含めた、AIインフラへの大規模投資競争の一環とみられている。Microsoftも2025年度に約800億ドル（約12兆円）をデータセンターに投資する計画だ。
Apple to open AI server factory in Texas as part of $500 billion U.S. investment
【編集部解説】
Apple（アップル）は、2026年にテキサス州オースティンに23,225平方メートルのAIサーバー製造施設を開設する計画を発表しました。この施設では、同社のAIサービス「Apple Intelligence」を支えるサーバーが生産される予定です。Appleはこの投資を含む、今後10年間で5,000億ドル（約75兆円）の米国投資計画を明らかにしました。
一方、Meta（メタ、旧Facebook）も2,000億ドル（約30兆円）規模のAIデータセンター投資を検討していると報じられていますが、同社の広報担当者はこの報道を「純粋な憶測」として否定しています。こうした動きは、AI技術の急速な進歩と計算能力への需要急増を反映しており、AppleやMetaだけでなく、MicrosoftやAmazonなど他のテック大手もAIインフラへの大規模投資を計画しています。しかし、これほど巨額の投資が特定の企業に集中することで、AI技術の開発と応用が一部の巨大企業に独占される懸念もあり、イノベーションの多様性やAI技術の公平な利用に影響を与える可能性があります。
長期的には、これらの投資がAI技術の成熟と普及を加速させ、私たちの生活や社会のあり方を大きく変える可能性があります。AIが人間の能力を補完し、より効率的で創造的な社会を実現する一方で、人間の役割や価値観の再定義が求められるかもしれません。
ところで、最近のビッグテック関連のニュースでテキサス州をやたらよく目にするようになったと思います。（編集者である筆者も時々そう思っています。アメリカって広いのにどうしてテキサス州ばかりにビッグテックの拠点が集結しているのかなぁと）
気になったので調べてみました
以下、編集部追記です。
【編集部追記】
テキサス州に名だたるビッグテックの拠点が多い理由
AppleやMetaなどのビッグテック企業がテキサス州に大規模な投資を行う背景には、同州が持つ複数の魅力的な要因があります。
まず、テキサス州はビジネスフレンドリーな環境で知られています。低税率や規制の少なさは企業にとって大きな魅力です。また、全米で2番目に大きな製造業労働力を持ち、100万人以上が製造業に従事している点も、大規模な生産拠点を設立する上で重要な要素となっています。
次に、テキサス州は「エネルギーの首都」としての地位を確立しています。石油や天然ガスの生産量で全米1位を誇るだけでなく、風力発電や太陽光発電といった再生可能エネルギー分野でも全米トップクラスの規模を持っています。この多様なエネルギーポートフォリオは、安定した電力供給と低コストを実現し、大量の電力を必要とするデータセンターや製造施設の運営に不可欠です。特に環境への配慮という観点からも、再生可能エネルギーの活用は企業にとって魅力的です。
さらに、同州は送電インフラの強化や蓄電技術の導入など、エネルギー供給の課題解決に向けた取り組みを進めており、将来的な電力需要の増加にも対応できる柔軟性を持っています。
加えて、オースティンをはじめとする都市部がスタートアップや大手企業の拠点となり、技術革新の中心地としての地位を確立しています。チップス法などの政府支援策も、半導体産業をはじめとするハイテク産業の誘致に貢献しています。
これらの要因が相まって、テキサス州は世界的なテクノロジーハブとしての地位を確立しつつあります。AppleやMetaの大規模投資は、この傾向をさらに加速させる可能性があり、今後もテキサス州のテクノロジー産業の発展が注目されます。
【用語解説】
AIインフラストラクチャ：AIアプリケーションの開発、展開、運用に必要なハードウェアとソフトウェアの総称です。スーパーコンピューターのような高性能な計算機や、大容量のデータストレージ、高速ネットワークなどが含まれます。
GPU（Graphics Processing Unit）：グラフィックス処理に特化した演算装置で、AIの計算にも適しています。多数の並列処理を行えるため、大量のデータを高速に処理できます。
TPU（Tensor Processing Unit）：Googleが開発したAI専用チップです。行列演算に特化しており、AIの学習や推論を高速に行えます。
【参考リンク】
Apple公式サイト（外部）Appleの製品やサービスに関する最新情報を提供する公式サイトです。
Meta（旧Facebook）公式サイト（外部）Metaのビジョンや製品に関する情報を提供する公式サイトです。
IBM AI（外部）IBMのAI関連製品やサービス、ソリューションに関する情報を提供するサイトです。
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【編集部追記】
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