Meta AI、第2四半期に独立アプリ化へ—ChatGPTに対抗、有料サブスクも計画
Meta(旧Facebook)は2025年第2四半期中にスタンドアロン型「Meta AI」アプリをリリースする計画だ。この情報は関係者から明らかになった。現在Meta AIはFacebook、Instagram、WhatsApp、Messengerなど同社の既存アプリ内でのみ利用可能だが、独立したアプリとして提供することでユーザーとの対話を深める狙いがある。
Meta AIは2023年9月に立ち上げられた生成AI搭載のデジタルアシスタントで、同社独自の大規模言語モデル「Llama」を基盤としている。2024年4月には同社の主要アプリの検索機能をMeta AIに置き換え、前面に押し出した。
Meta最高財務責任者のスーザン・リー氏によると、Meta AIの月間アクティブユーザー数は2025年1月時点で約7億人に達し、2024年12月の6億人から増加している。特にインドが最大の利用市場で、WhatsAppでの利用が最も多く、次いでFacebookとなっている。
Metaはまた、OpenAIやMicrosoftが提供するような有料サブスクリプションサービスのテストも計画している。マーク・ザッカーバーグCEOは2025年末までにMeta AIを世界で最も使用されるチャットアプリにすることを目標に掲げ、OpenAIやGoogle親会社のAlphabetなどの競合他社を上回るAIリーダーになることを目指している。
一方、Sensor Towerの「State of Mobile 2025」レポートによると、現在AIアプリ市場ではOpenAIのChatGPTが最も人気で、次いでGoogle Gemini、ByteDanceのDoubao、MicrosoftのCopilotが続いている。GoogleとイーロンマスクのxAIもそれぞれGeminiとGrokの独立アプリをすでにリリースしており、AI市場の競争は激化している。
from:Meta plans to release standalone Meta AI app in effort to compete with OpenAI’s ChatGPT
【編集部解説】
Meta(旧Facebook)が第2四半期に独立型Meta AIアプリをリリースするというニュースは、同社のAI戦略における重要な転換点を示しています。これまでMeta AIはFacebookやInstagramなど既存プラットフォーム内の機能として提供されてきましたが、スタンドアロンアプリとして展開することで、より幅広いユーザー層へのアプローチを目指す狙いがあります。
この動きは、マーク・ザッカーバーグCEOが2025年末までにAI分野でのリーダーシップを確立するという野心的な計画の一環です。Meta AIの月間アクティブユーザー数は既に7億人に達しており、ChatGPTやGoogle Geminiなどの競合サービスに対抗するための重要な一手と言えるでしょう。
特筆すべきは、MetaがOpenAIやMicrosoftと同様に有料サブスクリプションモデルの導入も検討している点です。これはAI技術の収益化という大きな課題に対する同社の回答の一つと見ることができます。
Meta AIの強みは、同社独自の大規模言語モデル「Llama」を基盤としていることです。Llamaはオープンソースとして公開されており、4月29日に開催予定の「LlamaCon」でさらなる進化が発表される可能性もあります。このオープンソースアプローチは、開発者コミュニティとの協働を促進し、AIエコシステムの拡大に貢献する可能性を秘めています。
一方で、Meta AIの独立アプリ化には課題も存在します。Business of Appsのデータ編集者デビッド・カリー氏によれば、Meta AIのスタンドアロンウェブサイトの月間閲覧数は1,000万未満で、主要サービスをはるかに下回っているとのこと。この状況を打破できるかが、独立アプリ成功の鍵となるでしょう。
また、MetaのAI投資規模も注目に値します。ザッカーバーグCEOは今年のAIインフラ拡大に最大650億ドル(約9.8兆円)を投じる計画を発表しており、一部の報道では800億ドル(約12兆円)にまで増額される可能性も示唆されています。この巨額投資は、同社のAI戦略に対する本気度を表しています。
AIアシスタント市場の競争は激化の一途をたどっています。OpenAIのChatGPT、GoogleのGemini、ByteDanceのDoubao、MicrosoftのCopilotなど、各社が独自のAIアシスタントを展開し、市場シェアを争っています。Meta AIの独立アプリ化は、この競争をさらに加速させるでしょう。
私たちユーザーにとって、この競争激化は多様なAIサービスの選択肢が増えることを意味します。各社のAIアシスタントが独自の特徴を持ち、異なるニーズに応えることで、AIの活用範囲はさらに広がっていくことでしょう。
一方で、AIの急速な発展に伴う懸念も存在します。Meta AIを含む各社のAIサービスは、プライバシーやデータセキュリティ、著作権問題などの課題に直面しています。実際に、Metaは著作権素材を使用したAIモデルのトレーニングに関する法的問題に直面しているとの報道もあります。
これらの課題にどう対処していくかが、AIサービスの持続可能な発展のカギとなるでしょう。特に有料サブスクリプションモデルの導入は、収益化とユーザー体験のバランスをどう取るかという難題をMetaに突きつけることになります。