OpenAI、最新AIモデル『GPT-4.5』を発表—自然な会話と感情理解が向上

OpenAI、最新モデル「GPT-4.5」をリリース - 自然な会話能力と感情知能が向上した思慮深い人のようなAI - innovaTopia - (イノベトピア)

OpenAI、最新モデル「GPT-4.5」をリリース – 自然な会話能力と感情知能が向上した”思慮深い人”のようなAI

OpenAIは2025年2月27日、同社の最新大規模言語モデル「GPT-4.5」をリサーチプレビューとしてリリースした。GPT-4.5は同社が「これまでで最大かつ最も知識豊富なモデル」と位置づける製品だが、同社のフロンティアモデル(最先端モデル)には分類されていない。

GPT-4.5はGPT-4oの計算効率を10倍以上向上させており、より広範な知識ベース、ユーザーの意図に対する理解力の向上、感情知能の改善を特徴としている。OpenAIによると、このモデルは文章作成、プログラミング、実用的な問題解決に適しており、ハルシネーション(幻覚)の発生も少なくなっているという。内部評価では、PersonQAというベンチマークテストで78%の正確性を示し、ハルシネーション率は19%まで低下している。

GPT-4.5は教師なし学習のスケーリングに焦点を当てており、小さなAIモデルによって生成されたデータでトレーニングされている。これによりパターン認識、関連性の把握、創造的な洞察の生成能力が向上している。一方で、o1やo3-miniなどの「推論モデル」とは異なり、応答する前に「考える」機能は備えていない。

利用可能性については、2025年2月27日からChatGPT Pro(月額200ドル)の加入者と有料APIティアの開発者が利用可能となり、翌週にはChatGPT Plus(月額20ドル)およびTeam(月額30ドル)ティアへのアクセスが拡大される予定。

API価格は100万入力トークンあたり75ドル、100万出力トークンあたり180ドルと設定されており、GPT-4oの100万トークンあたり2.50ドル/10ドルと比較して大幅に高価になっている。

GPT-4.5は検索機能、ChatGPT Canvasモード、ファイルや画像のアップロード機能をサポートしているが、ボイスモード、ビデオ、画面共有などのマルチモーダル機能はまだ備えていない。

OpenAIのサム・アルトマンCEOは「GPT-4.5は私にとって思慮深い人と話しているように感じる初めてのモデルだ。AIから実際に良いアドバイスをもらって、椅子に座ったまま驚いた瞬間が何度かありました」とコメントしている。

from:OpenAI releases ‘largest, most knowledgable’ model GPT-4.5 with reduced hallucinations and high API price

【編集部解説】

OpenAIが2025年2月27日にリリースした「GPT-4.5」は、同社の最新の大規模言語モデルとして注目を集めています。この新モデルは「リサーチプレビュー」として公開され、OpenAIが「これまでで最大かつ最も知識豊富なモデル」と位置づけている点が特徴です。

GPT-4.5は、GPT-4oをベースに「教師なし学習」のスケーリングに重点を置いて開発されました。これにより、パターン認識能力、関連性の把握、創造的な洞察の生成能力が向上しています。また、小さなAIモデルによって生成されたデータでトレーニングされており、これが「世界モデル」を改善したとされています。一方で、昨年リリースされたo1シリーズのような「推論モデル」とは異なり、応答する前に「考える」機能は備えていません。

OpenAIのサム・アルトマンCEOは「GPT-4.5は私にとって思慮深い人と話しているように感じる初めてのモデルだ。AIから実際に良いアドバイスをもらって、椅子に座ったまま驚いた瞬間が何度かありました」と評価しており、特に自然な会話能力と感情知能の向上が強調されています。

GPT-4.5の技術的特徴と性能

GPT-4.5の最大の技術的進歩は、GPT-4oと比較して計算効率が10倍以上向上した点にあります。これは、より大規模なデータセットでの訓練を可能にし、モデルの知識ベースを拡大させています。

また、「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる誤った情報の生成が大幅に減少しているのも重要なポイントです。OpenAIの内部評価によると、GPT-4.5はPersonQAというベンチマークテストで78%の正確性を示し、ハルシネーション率は19%まで低下しています。これはGPT-4oの52%から大幅な改善となっています。

感情知能の向上も特筆すべき点で、ユーザーの意図をより正確に理解し、微妙なニュアンスを捉える能力が強化されています。OpenAIの技術スタッフであるラファエル・ロペスは、GPT-4.5が怒りのテキストメッセージをより丁寧に言い換える能力を持つことをデモンストレーションで示しました。

利用可能性と価格設定

GPT-4.5は2025年2月27日からChatGPT Pro(月額200ドル)の加入者と有料APIティアの開発者が利用可能となり、翌週にはChatGPT Plus(月額20ドル)およびTeam(月額30ドル)ティアへのアクセスが拡大される予定です。その後、教育機関向けのChatGPT EduとEnterprise向けのアクセスも順次開放されます。

API価格は100万入力トークンあたり75ドル、100万出力トークンあたり180ドルと設定されており、GPT-4oの100万トークンあたり2.50ドル/10ドルと比較して大幅に高価になっています。この高価格設定は、モデルの大規模化に伴うコスト増加を反映したものと考えられます。

GPT-4.5の位置づけと将来性

興味深いのは、OpenAIがGPT-4.5を「フロンティアモデル(最先端モデル)」とは位置づけていない点です。これは、o1やo3-miniといった「推論モデル」と比較して、特定の分野(特にSTEM分野や論理的問題解決)では性能が劣るためです。

GPT-4.5は汎用性の高いモデルとして設計されており、文章作成、プログラミングサポート、実用的な問題解決といった幅広いタスクに適しています。特に感情知能と自然な会話能力の向上により、ユーザーとの協働がより効果的になると期待されています。

産業界への影響と今後の展望

GPT-4.5の登場は、生成AI業界におけるOpenAIのリーダーシップを強化するものですが、同時にAnthropicのClaude 3.7やGoogleのGemini 2 Proなど、競合他社の高性能モデルとの競争も激化しています。

特に注目すべきは、API価格の高騰がサードパーティ開発者に与える影響です。GPT-4.5のAPI価格はGPT-4oと比較して30倍以上高くなっており、これがアプリケーション開発のコスト構造を大きく変える可能性があります。

一方で、企業ユーザーにとっては、GPT-4.5の向上した信頼性と自然な会話能力が、カスタマーエンゲージメントの向上、コンテンツ生成の効率化、業務の合理化などのビジネス機能をサポートする可能性があります。

今後、AIモデルの大規模化と性能向上が続く中で、コスト効率、エネルギー消費、アクセシビリティのバランスがますます重要になってくるでしょう。OpenAIのGPT-4.5は、その高い性能と高価格設定により、AIの民主化と高度化の間の緊張関係を浮き彫りにしているとも言えます。

【用語解説】

  • 教師なし学習(Unsupervised Learning)
    人間が正解ラベルを与えずに、AIが自らデータのパターンを見つけ出す学習方法です。例えるなら、誰にも教えてもらわずに自分で本を読んで知識を得るようなものです。
  • ハルシネーション(Hallucination)
    AIが実際には存在しない情報や事実と異なる内容を自信を持って出力してしまう現象です。人間が幻覚を見るように、AIも「見えない何か」を見てしまうことから名付けられました。
  • 感情知能(Emotional Intelligence)
    感情を理解し、適切に対応する能力のことです。AIの場合、ユーザーの感情や意図を読み取り、適切な応答をする能力を指します。
  • 汎用人工知能(AGI:Artificial General Intelligence):特定のタスクだけでなく、人間のように様々な問題に対応できる汎用的な知能を持つAIのことです。現在のAIは特定の分野に特化した「特化型AI」ですが、AGIはあらゆる知的作業を人間並みかそれ以上にこなせるAIを指します。
  • フロンティアモデル(Frontier Model):AI研究の最前線にある最も高性能なモデルを指す用語です。OpenAIの場合、特にSTEM分野や論理的問題解決に特化した「推論モデル」をこのカテゴリに分類しています。

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