Last Updated on 2025-03-04 19:07 by admin
Opera社は2025年3月、AI搭載の新機能「Browser Operator」を発表した。この機能は、ユーザーの代わりにブラウザ内でタスクを実行するAIエージェントである。
Browser Operatorの特徴は以下の通りである
ユーザーの自然言語指示に基づき、オンラインショッピングや航空券予約などのタスクを自動実行
ローカルで動作し、クラウドサーバーを使用しない
スクリーンショットやビデオキャプチャに依存せず、ブラウザのコアで直接相互作用する
ユーザーは処理を監視し、いつでも介入や中止が可能
Opera Software社のEVPであるKrystian Kolondra氏は、この機能がブラウザの役割を表示エンジンからエージェント型アプリケーションへと移行させる第一歩だと述べている。
現在、Browser Operatorはプレビュー機能として一部のユーザーに提供されており、近い将来、正式にリリースされる予定である。
Opera社は1995年に設立されたノルウェーの技術企業で、2018年にNASDAQに上場している。2024年第4四半期の時点で、Operaブラウザの月間アクティブユーザー数は約3億5000万人に達している。
from:Phantom of the Opera: AI agent now lurks within browser, for the lazy
【編集部解説】
Browser Operatorは、ブラウザ内に組み込まれたAIエージェントで、ユーザーの代わりにウェブ上のタスクを自動的に実行します。例えば、「サイズ10の白いナイキの靴下を12足買って」と指示するだけで、AIが自動的に商品を探し、カートに追加するところまで行ってくれます。
この技術の革新性は、ブラウザの役割を根本的に変えようとしている点にあります。従来のブラウザは単なる「表示エンジン」でしたが、Browser Operatorによって「エージェント型アプリケーション」へと進化しようとしています。
特筆すべきは、このAIエージェントがローカル、つまりユーザーのデバイス上で動作する点です。クラウドやバーチャルマシンを使用せず、スクリーンショットやビデオキャプチャにも頼らないため、プライバシーとセキュリティの面で優れています。
しかし、この技術にはポテンシャルとともに課題もあります。例えば、AIが完全に自律的に行動するわけではなく、支払い情報の入力など重要な段階ではユーザーの介入が必要です。また、AIの判断が常に正確であるとは限らず、誤った商品を選択してしまう可能性もあります。
この技術が普及すれば、オンラインショッピングの形態が大きく変わる可能性があります。消費者の購買行動が変化し、それに伴ってeコマース企業のマーケティング戦略も変更を迫られるかもしれません。
長期的には、この技術が進化することで、より複雑なタスク、例えば旅行の計画立てや情報収集なども自動化される可能性があります。これは私たちの日常生活を大きく変える可能性を秘めています。
一方で、このような技術の普及には法的・倫理的な課題も伴います。AIが自動的に契約を結んだり、個人情報を扱ったりすることに関する規制の整備が必要になるでしょう。
最後に、この技術がブラウザ市場に与える影響も見逃せません。Operaは比較的小さなシェアのブラウザですが、この革新的な機能によって市場での地位を向上させる可能性があります。他の主要ブラウザも同様の機能の開発を急ぐかもしれません。
Browser Operatorは確かに画期的な技術ですが、その真価が発揮されるのはまだ先のことかもしれません。私たちはこの技術の発展を注意深く見守り、そのポテンシャルと課題を冷静に評価していく必要があります。