Claude AIがウェブ検索機能を搭載：Anthropicが最新アップデートで競争力強化

2025年3月21日8:15

AI（人工知能）ニュース

Claude AIがウェブ検索機能を搭載：Anthropicが最新アップデートで競争力強化 - innovaTopia - （イノベトピア）

Last Updated on 2025-03-21 10:50 by admin

Anthropicは2025年3月20日、AIアシスタント「Claude」にリアルタイムウェブ検索機能を追加したと発表した。この新機能により、Claudeはインターネット上の最新情報を検索・処理できるようになり、ユーザーからの要望が高かった機能が実現した。

この機能は現在、米国の有料ユーザー（Claude Pro、Team、Enterpriseの契約者）向けに提供されており、無料ユーザーや他国への展開は「まもなく」予定されている。ユーザーはプロフィール設定からウェブ検索機能を有効にすることで利用できる。

Anthropicによると、この機能はClaudeの最新モデル「Claude 3.7 Sonnet」で利用可能である。Claudeはウェブ検索結果を会話形式で提供し、情報源への直接引用を含めることで、ユーザーが事実確認できるようにしている。

この発表は、Anthropicが3週間前に35億ドル（約5,250億円）のシリーズE資金調達を完了し、企業価値が615億ドル（約9兆2,250億円）に達した直後のタイミングとなる。主要な出資者にはLightspeed Venture Partners、Google（14%の株式保有）、Amazon（Claudeをアレクサ+サービスに統合）が含まれる。

Anthropicの製品マネージャーであるScott Whiteは、今後数週間のうちに無料ユーザーや他国にもこの機能を拡大する予定だとThe Vergeに語った。

この機能追加により、OpenAIのChatGPT（2024年7月に検索機能を導入）との競争格差が縮まり、企業ユーザー向けにも営業チームの業界分析や財務アナリストの市場データ評価など、様々なビジネスユースケースが期待されている。

from:Anthropic just gave Claude a superpower: real-time web search. Here’s why it changes everything

【編集部解説】

Anthropicがついに「Claude」にウェブ検索機能を追加したことは、AI業界における重要な進展です。これまでClaudeは学習データの期限内の情報しか扱えませんでしたが、今回の機能追加により、リアルタイムの情報にアクセスできるようになりました。

この機能は現在、米国の有料ユーザー向けに提供されていますが、Anthropicの製品マネージャーであるScott Whiteによると、今後数週間のうちに無料ユーザーや他国にも展開される予定です。

ウェブ検索機能は「Claude 3.7 Sonnet」モデルで利用可能で、ユーザーはプロフィール設定から簡単に有効化できます。従来の検索エンジンとは異なり、Claudeは検索結果を会話形式で提供し、情報源への直接引用を含めることで透明性を確保しています。

この機能追加の背景には、AIアシスタント市場における競争激化があります。OpenAIのChatGPTは2024年7月に検索機能を導入しており、Claudeはこの競争格差を埋める必要がありました。実際、一部のユーザーはこの機能の不足を理由にChatGPTに戻っていたことが報告されています。

Anthropicは最近、35億ドル（約5,250億円）のシリーズE資金調達を完了し、企業価値が615億ドル（約9兆2,250億円）に達しています。この資金力を背景に、同社はAI開発を加速させています。

ウェブ検索機能の追加は、単なる競合他社との機能同等化以上の意味を持ちます。これにより、Claudeは特化したツールから包括的なデジタルアシスタントへと進化し、ユーザーの情報収集や意思決定プロセスを根本的に変える可能性があります。

特に企業ユーザーにとって、この機能は大きな価値をもたらします。営業チームは業界トレンドを分析し、財務アナリストは最新の市場データを評価し、研究者は助成金提案を構築するなど、様々なビジネスシーンでの活用が期待されます。

従来は検索エンジンとAIツールを行き来する必要がありましたが、Claudeの統合アプローチにより、このワークフローが大幅に効率化されます。特に金融サービス企業にとっては、歴史的データと最新ニュースを組み合わせた分析が可能になり、競争優位性をもたらす可能性があります。

一方で、AIの「幻覚」や誤情報の拡散といった懸念に対応するため、Anthropicは情報源の引用と透明性を重視しています。これは責任あるAI開発へのAnthropicのコミットメントを示すものであり、同社のブランドポジショニングの核心部分です。

Anthropicは今後、音声機能の開発も進めていると報じられており、AIアシスタントとのより自然なインタラクションを目指しています。これが実現すれば、テクノロジーに精通していないユーザーにもClaudeの利用が広がる可能性があります。

AIアシスタントの進化は、知識労働の変革をもたらす可能性があります。最新データと深いコンテキスト理解を組み合わせることで、研究、分析、コンテンツ作成の相当部分をAIが担い、人間は判断、創造性、対人関係に集中できるようになるかもしれません。

一方で、このような強力なAIツールの普及には、規制や倫理的な課題も伴います。Anthropicはカリフォルニア州のAIフロンティアモデルに関するワーキンググループの報告書に対して、「客観的な基準と証拠に基づく政策ガイダンス」への支持を表明しており、規制当局との協力的な関係構築を目指しています。

今回のウェブ検索機能の追加は、AIアシスタントが単なるチャットボットから、複雑な情報環境をナビゲートする不可欠なデジタルパートナーへと進化する重要な一歩と言えるでしょう。今後もAI業界の動向に注目していく必要があります。

【用語解説】

Anthropic（アンソロピック）:
2021年に設立されたAI企業。OpenAIの元従業員が創業し、安全で信頼性の高いAIの開発を目指している。AIアシスタント「Claude」を開発している。

Claude（クロード）:
Anthropicが開発するAIアシスタント。ChatGPTの競合として位置づけられており、安全性と倫理的な対話能力に重点を置いている。

大規模言語モデル（LLM）:
膨大なテキストデータから学習し、人間のような文章を生成できるAIモデル。ClaudeやChatGPTの基盤技術である。

AI幻覚（ハルシネーション）:
AIが実際には存在しない情報や事実を生成してしまう現象。正確な情報提供の障害となる問題である。

ウェブ検索機能:
AIアシスタントがリアルタイムでインターネット上の情報にアクセスし、最新データを回答に反映できる機能。従来のAIは学習データの期限内の情報しか扱えなかった。

【参考リンク】

Anthropic（公式サイト）（外部）
AIアシスタント「Claude」を開発するAI企業の公式サイト。安全で有用なAIの開発に取り組んでいる。

Claude AI（公式サイト）（外部）
Anthropicが開発するAIアシスタント「Claude」の公式サイト。無料版と有料版があり、会話や文書作成などができる。

Amazon Bedrock（外部）
AWSが提供するAIサービス。ClaudeなどのAIモデルをクラウド上で利用できるプラットフォーム。

Google Gemini（外部）Googleが開発するAIアシスタント。Claudeと同様にウェブ検索機能を備えている。

【編集部後記】

AIアシスタントの進化が加速する中、皆さんはどのようにこれらのツールを活用していますか？Claudeの新しいウェブ検索機能は、日常の情報収集や仕事の効率化にどう役立つでしょうか。もしまだAIアシスタントを試していないなら、この機会に体験してみてはいかがでしょう。皆さんのAI活用法や期待することをぜひSNSでシェアしてください。テクノロジーの未来を一緒に探求していきましょう。

【編集部追記】
「これを待っていた！」という人は多いのではないでしょうか？
Claudeに足りないのはWeb検索機能だけだと個人的には思っていました。
競合が実装しているのに、なぜ？とずっと疑問でした。