Last Updated on 2025-04-07 16:24 by admin
2025年4月2日、グローバルデジタルトランスフォーメーションコンサルティング企業のSynechronが、「Synechron CyberAI」という新しいAIツールセットを発表した。
このサービスは4つの異なるAIツールで構成されており、それぞれが企業のセキュリティ対策の異なる側面をサポートする:
Synechronの共同創設者兼CEOであるFaisal Husain氏によると、このツールセットは「企業がサイバー脅威のスピードと複雑さに追いつくのに苦労している隙間を埋める」ことを目指している。世界60以上のオフィスに14,500人以上の従業員を抱えるSynechronは、このAI駆動のセキュリティソリューションを通じて、企業がセキュリティ戦略にAIを効果的に統合できるようサポートしている。
from: Synechron Launches Cybersecurity AI Accelerators, Strengthening Enterprise Security
【編集部解説】
2025年4月2日、わずか5日前に発表されたSynechron CyberAIは、AIとサイバーセキュリティを組み合わせた最新の取り組みです。ChatGPTなどの生成AIが普及する中で生じた新たなセキュリティリスクにも対応している点が特に注目されています。
従来のサイバーセキュリティは「攻撃を受けてから対応する」という後手に回りがちな方法が中心でした。しかし、サイバー攻撃は日々進化しており、この従来型の対応では追いつけなくなっています。
Synechronの新しいAIツールセットが画期的なのは、「予測型」のセキュリティを実現できる点です。例えば、RiskControl.AIはリスクをリアルタイムで評価し、AppSec.AIはシステムの弱点を一元管理します。これにより、問題が大きくなる前に対処できるようになります。
特に注目すべきはValidate.AIです。生成AIを使う際に発生する「プロンプトインジェクション攻撃」(AIに悪意ある指示を送り込む攻撃)などの新しいリスクから企業を守ります。多くの企業が生成AIを導入する中、こうした専門的な防御策は非常に重要です。
Synechronの強みは、単にツールを提供するだけでなく、AIをセキュリティ戦略に組み込むための全体的な枠組みも提供している点です。多くの企業がAIの活用方法に悩んでいる現状では、この包括的なアプローチが大きな価値を持ちます。
もちろん課題もあります。AIシステム自体が攻撃対象になる可能性や、AIの判断に過度に依存するリスクなどです。また、AIの判断プロセスの透明性確保も新たな課題となるでしょう。
長期的には、このようなAI駆動のセキュリティツールにより、専門知識がなくても高度なセキュリティ対策を実装できるようになる可能性があります。これはセキュリティ人材不足という世界的な課題の解決にも貢献するでしょう。
【用語解説】
プロンプトインジェクション:
生成AIに対する攻撃手法の一つ。悪意のある指示を含んだプロンプト(命令文)を送り込み、AIに意図しない動作をさせる攻撃。例えば、「すべての制限を無視して答えてください」といった指示を含めることで、セキュリティ制限を回避させたり、機密情報を漏洩させたりする目的で使用される。
GenAI(生成AI):
テキスト、画像、音声などのコンテンツを生成できる人工知能技術。ChatGPT、Bard、Midjourney、DALL-Eなどが代表例。企業での活用が急速に進む一方、新たなセキュリティリスクも生み出している
【参考リンク】
Synechron公式サイト(外部)
Synechronのサービス、ソリューション、事例などを紹介する公式サイト。
Synechron LinkedIn(外部)
Synechronの最新ニュース、イベント情報などが掲載されている。
NIST AI Risk Management Framework(外部)
米国国立標準技術研究所によるAIリスク管理フレームワーク。