Last Updated on 2025-04-14 14:24 by admin
Googleは2025年4月に、プロンプトエンジニアリングの中核概念とベストプラクティスを体系的に概説した69ページの包括的な白書を発表した。この文書は、開発者、研究者、AIの専門家向けに、大規模言語モデル(LLM)との対話を最適化し、生成コンテンツの品質と精度を向上させるための詳細なガイドを提供している。全文は以下、Kaggleにて掲載。
kaggle.com/whitepaper-prompt-engineering
白書では以下の主要なプロンプト技術について詳細に解説している
- ゼロショットプロンプティング
- ワンショットプロンプティング
- フューショットプロンプティング
- 思考連鎖(Chain-of-Thought、CoT)
- ReActプロンプティング
- コードプロンプティング
また、プロンプトエンジニアリングのベストプラクティスとして、明確で簡潔、かつ構造化されたプロンプト設計の原則を強調している。例えば、タスクの目的を明確に定義し、十分なコンテキストを提供し、出力形式を指定することで、モデル生成の曖昧さを減らすことができるとしている。
この白書はプロンプトエンジニアリング分野の権威ある参考資料となるだけでなく、AI技術の普及と標準化を促進するものとなっている。将来的には、プロンプトエンジニアリングがAIを使用した最適化プロンプトの生成やクロスモデルプロンプト標準化など、自動化ツールとさらに統合される可能性があるとしている。
from:Google Releases 69-Page White Paper: Optimizing AI Models Through Prompt Engineering
【編集部解説】
今回は、Googleが発表した69ページにわたるプロンプトエンジニアリングに関する白書について、詳しく解説していきます。
まず、この白書の重要性について触れておきましょう。AIの世界では、大規模言語モデル(LLM)の登場により、人間とAIのコミュニケーション方法が大きく変わりつつあります。その中で、プロンプトエンジニアリングは、AIとの対話を最適化する上で非常に重要な役割を果たしています。
Googleが公開したこの包括的な白書は、プロンプトエンジニアリングの基本概念から最新の技術まで、幅広くカバーしています。特に注目すべきは、ゼロショット、ワンショット、フューショットプロンプティングといった基本的な技術から、思考連鎖(Chain-of-Thought)やReActプロンプティングなど、より高度な技術まで詳細に解説されている点です。
この白書が業界に与える影響は計り知れません。AIの開発者やリサーチャーにとって、この文書は貴重な参考資料となるでしょう。また、AIを活用したいビジネス関係者にとっても、AIとの効果的なコミュニケーション方法を学ぶ良い機会となります。
プロンプトエンジニアリングの進化により、私たちはAIとより自然で効果的なやり取りができるようになります。例えば、複雑な質問に対してより正確な回答を得たり、AIに特定のタスクを効率的に実行させたりすることが可能になるのです。
しかし、この技術の発展には潜在的なリスクも存在します。AIの出力をより精密に制御できるようになる一方で、悪意のある使用や誤った情報の拡散といった問題にも注意を払う必要があります。
将来的には、プロンプトエンジニアリングがさらに自動化され、AIが自身でプロンプトを最適化する時代が来るかもしれません。これにより、AIの利用がより一般的になり、多くの産業で革新が起こる可能性があります。
長期的な視点で見ると、プロンプトエンジニアリングの進化は、人間とAIの協働の在り方を根本的に変える可能性を秘めています。AIがより高度な理解力と表現力を獲得することで、創造的な作業や複雑な問題解決においても、人間のパートナーとしての役割を果たすようになるかもしれません。
最後に、この白書の公開は、AIの民主化と標準化を促進する重要な一歩だと言えるでしょう。多くの人々がプロンプトエンジニアリングの知識にアクセスできるようになることで、AIの可能性がさらに広がることが期待されます。
innovaTopiaでは、今後もAI技術の最新動向を追い続け、皆さまにわかりやすくお伝えしていきます。プロンプトエンジニアリングの世界は日々進化しています。これからの展開にぜひご注目ください。
【用語解説】
プロンプトエンジニアリング:
AIモデル(特に大規模言語モデル)から望ましい出力を得るために、指示や命令を設計・最適化するスキルや技術のこと。適切な指示を与えることでAIの出力品質を大幅に向上させることができる。
大規模言語モデル(LLM):
膨大なテキストデータで学習された、文章生成や理解ができる高度なAIモデル。ChatGPTやGoogle Bardなどが代表例。
ゼロショットプロンプティング:
AIモデルに事前学習していないタスクについて指示を与え、例示なしで回答させる技術。一般的な知識や類推能力を活用して回答を生成する。
ワンショットプロンプティング:
一つの例を示してからAIに指示を出す手法。例えば「これは犬です→[犬の画像]。これは何ですか?→[猫の画像]」のように。
フューショットプロンプティング:
複数の例を示してからAIに指示を出す手法。より複雑なパターンを学習させられる。
思考連鎖(Chain-of-Thought、CoT):
AIに対して一連の思考ステップに沿って指示や質問を行う手法。複雑な問題を小さなステップに分解し、論理的に進めることで、より正確な回答を導き出せる。
ReActプロンプティング:
Reasoning(推論)とActing(行動)を組み合わせたプロンプト技術。AIに推論させ、その結果に基づいて行動させる手順を繰り返す。
【参考リンク】
Google AI(外部)
Googleが提供するAI関連サービスやリソースの公式サイト。AIに関する最新の研究や開発情報を提供している。
Kaggle(外部)
データサイエンスとAIのコンペティションプラットフォーム。Googleが運営し、プロンプトエンジニアリングのコンペも開催。
Google Cloud Vertex AI(外部)
Googleのクラウドプラットフォームで提供されるAIサービス。Prompt Optimizerなどのツールも含まれている。
【参考動画】
【編集部後記】
皆さん、プロンプトエンジニアリングの世界はいかがでしたか?実は日常生活でもAIとの対話は増えていますよね。LINEのAIチャットや、スマートスピーカーへの話しかけ方でも、実はプロンプトの工夫が効果を発揮します。「こう聞いたらもっと良い回答が得られた」という経験はありませんか?もしよろしければ、SNSで皆さんのAIとの対話テクニックをシェアしていただけると嬉しいです。