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Windows 11新機能一挙公開:Copilot+ PCで実現するAI読書支援と自然言語写真検索

Windows 11新機能一挙公開:Copilot+ PCで実現するAI読書支援と自然言語写真検索 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-04-23 10:44 by admin

Microsoftは2025年4月22日、Windows 11向けの新機能をWindows Insiderブログで発表しました。

これらの機能はベータチャンネルのプレビュービルド26120.3872の一部として提供されます。一部の機能はSnapdragon(ARM)チップ、Intel Core Ultra 200V、AMD Ryzen AI 300シリーズなどを搭載した「Copilot+ PC」でのみ利用可能となります。

主な新機能

Reading Coach with Click to Do
Windows 11の「Click to Do」機能にReading Coachが統合されます。ユーザーは画面上のテキストをハイライトし、「Practice in Reading Coach」オプションを選択することで、読解力と発音を向上させることができます。読み終わると、AIがフィードバックを提供し、改善点を指導します。

Read with Immersive Reader
読書中の気が散る要素を減らすことを目的とした機能です。フォント、サイズ、間隔、背景テーマをカスタマイズできるほか、テキストの音読、単語の音節区切り、品詞のハイライト、ピクチャー辞書などの機能を提供します。当初はディスレクシア(読字障害)やディスグラフィア(書字障害)を持つユーザー向けに設計されましたが、すべてのユーザーに役立つツールとなっています。

クラウド写真の自然言語検索
現在は欧州経済領域のWindows Insiderを対象に、Windows検索ボックスを通じて自然な言葉でクラウドに保存された写真を検索できる機能をテスト中です。例えば「浜辺の犬」などの言葉で関連写真を検索可能です。一般提供時には全地域で利用可能になる見込みです。現在はSnapdragon搭載のCopilot+ PCのみ対応していますが、MicrosoftはAMDおよびIntel搭載PCへのサポートも近日中に提供予定です。

Voice Accessの辞書機能強化
発音が難しい単語や一般的でない用語を辞書に追加できるようになり、音声認識の精度が向上します。フランス語、英語、スペイン語、中国語、ドイツ語など、現在サポートされているすべての言語で利用可能になる予定です。日本語への対応状況については現時点で明確な情報がありません。

Recall機能の動向
Microsoftは、プライバシーへの配慮から議論を呼んでいる「Recall」機能についても言及しています。この機能はWindows 11のビルド26100.3902(KB5055627)に搭載され、現在はリリースプレビューチャンネルで利用可能です。Recallは、PCでの活動を定期的に記録し、後から検索可能にする機能で、ユーザーが過去に見たり行ったりした内容を簡単に見つけられるようにするものです。

Windows 11のロードマップ
Microsoftは2025年3月28日、Windows 11のロードマップを公開しました。このロードマップでは、Windows Insider Programで検証可能な機能や、段階的に展開されている機能、一般提供済みの機能を確認できます。2025年4月に適用予定の月次アップデートには、ロック画面でのウィジェットの選択とカスタマイズ機能や、設定の「システム」>「バージョン情報」ページに表示される「トップカード」などが含まれます。

Copilot+ PCについて
Copilot+ PCは2024年5月20日にMicrosoftが発表した新しいカテゴリのWindows PCです。通常のCopilotがMicrosoftのクラウドサーバー側で実行されるのに対し、Copilot+ PCはローカルのハードウェアを使用してAI処理を実行します。そのため、AIを処理するための高性能な専用処理チップ(NPU)が必要となります。NPUには最低40 TOPS(1秒あたり40兆回の演算処理)の性能が求められます。現在、Acer、ASUS、Dell、HP、Lenovo、Samsung、およびMicrosoft自身がCopilot+ PC準拠PCを発売しており、価格は699ドルからとなっています。

from:Windows 11 is getting a lot of new features, here’s how to check if your PC qualifies

【編集部解説】

Windows 11の新機能群は、MicrosoftがAIをオペレーティングシステムの中核に据える戦略を明確に示しています。検索結果から確認できるように、これらの機能はWindows 11 バージョン24H2(Windows 11 2024 Update)の一部として、2025年4月から順次展開されています。

特に注目すべきは、これらの機能が単なる便利さだけでなく、アクセシビリティとインクルージョンの観点から開発されている点です。「Reading Coach」や「Immersive Reader」は、単に学習障害を持つユーザーのためだけではなく、すべてのユーザーの学習体験や読書体験を向上させるツールとして再定義されています。

「Click to Do」機能に統合されたReading Coachは、テキストを音読する際にリアルタイムでフィードバックを提供し、発音や流暢さを向上させることができます。これは語学学習者や、プレゼンテーションの練習をしたい方にとって非常に有用なツールとなるでしょう。

また、Immersive Readerは、テキストの視覚的な表示をカスタマイズするだけでなく、音読機能や単語の音節区切り、品詞のハイライトなど、多様な学習スタイルに対応する機能を提供しています。これらの機能は、デジタルコンテンツへのアクセシビリティを大幅に向上させ、デジタルデバイドの解消に貢献する可能性を秘めています。

クラウド写真の自然言語検索機能は、従来のファイル管理の概念を根本から変える可能性があります。検索結果によると、この機能は当初OneDriveに保存された写真のみを対象としていましたが、現在ではWindows検索ボックスからも利用できるようになっています。「ヨーロッパの城」や「夏のピクニック」といった自然な言葉で写真を検索できるようになることで、ファイル名やフォルダ構造に依存しない、より直感的なデジタルコンテンツへのアクセスが可能になります。

Voice Accessの辞書機能強化も見逃せない進化です。発音が難しい単語や専門用語を辞書に追加することで、音声認識の精度を向上させることができます。これにより、音声によるPCの操作がより正確になり、身体的な制約を持つユーザーだけでなく、ハンズフリーで作業したいすべてのユーザーにとって大きなメリットとなるでしょう。

しかし、これらの新機能の多くは「Copilot+ PC」という新カテゴリのデバイスに限定されている点には注意が必要です。現時点ではSnapdragonプロセッサを搭載したデバイスが中心ですが、Intel Core Ultra 200VやAMD Ryzen AI 300シリーズを搭載したデバイスも対応しており、今後さらに対応デバイスが増えていく見込みです。

また、「Recall」機能については、プライバシーに関する懸念が指摘されています。この機能はPCでの活動を定期的に記録し、後から検索可能にするものです。データはローカルで処理・保存され、セキュリティ対策も施されていますが、多くの情報を記録する性質上、プライバシーとのバランスが議論されています。Microsoftはこれらの懸念に対応し、Recall機能は初期設定ではオフになっており、ユーザーが明示的に有効化する必要があるように変更しています。

これらの機能は、AIとオペレーティングシステムの統合が進む中で、私たちのコンピュータとの関わり方を根本から変える可能性を秘めています。特に、自然言語による検索や、コンテキストを理解したアシスタント機能は、コンピュータの操作をより直感的で自然なものにしていくでしょう。

一方で、AIの進化に伴うプライバシーとセキュリティのバランスをどう取るかという課題も浮き彫りになっています。Microsoftは「Copilot+ PC」というカテゴリを通じて、ハードウェアとソフトウェアの統合を強化し、最適化された体験を提供しようとしていますが、これがWindows生態系の分断を招く懸念もあります。

日本市場においては、これらの機能の日本語対応状況や、「Copilot+ PC」の国内展開状況が重要なポイントとなるでしょう。特に自然言語検索や音声認識機能は言語依存性が高いため、日本語サポートの品質が実用性を大きく左右します。現時点では、日本語対応の詳細なロードマップは明らかにされていませんが、Microsoftの過去の展開パターンを考えると、主要機能の日本語対応は英語版リリースから数ヶ月以内に行われる可能性が高いと考えられます。

今後、AIとOSの融合がさらに進む中で、ユーザーにとっての利便性とプライバシー・セキュリティのバランスをどう取るかが、テクノロジー業界全体の重要な課題となっていくことでしょう。

【用語解説】

Copilot+ PC
Microsoftが2024年5月に発表した新しいPC分類。通常のPCと異なり、AI処理を専用チップ(NPU)でローカル実行できる高性能PCです。クラウドに依存せずAI機能を利用できるため、プライバシー保護と高速処理を両立しています。最低40 TOPSのNPU性能が要件となっています。

NPU(Neural Processing Unit
AIの計算に特化した専用プロセッサ。CPUやGPUとは異なり、機械学習や深層学習などの処理を効率的に行うために設計されています。スマートフォンでいえば、写真の自動補正や音声認識などの処理を担当する「AI専用の頭脳」のようなものです。

TOPS(Tera Operations Per Second)
1秒あたりに実行できる兆単位の演算処理数を表す単位。AIの処理性能を示す指標として使用されます。Copilot+ PCでは最低40 TOPS(1秒あたり40兆回の演算処理)が要件とされています。

Reading Coach
Microsoftが開発した読解力向上のためのAIツール。ユーザーの読み上げを聞き、発音や流暢さを分析してフィードバックを提供します。特に子どもや学習障害を持つ人の読解力向上に役立ちます。

Immersive Reader
読書体験を向上させるMicrosoftのツール。テキストの音読、単語の音節区切り、品詞のハイライト、ピクチャー辞書など様々な機能を提供し、特にディスレクシア(読字障害)の人に役立ちます。

Voice Access
音声でPCを操作できる機能。マウスやキーボードを使わずに、音声コマンドでアプリの起動、テキスト入力、ウェブ閲覧などができます。身体的な制約がある人だけでなく、ハンズフリーで作業したい人にも便利です。

Snapdragon
米国Qualcomm社が開発するプロセッサーブランド。主にスマートフォン向けに開発されてきましたが、最近ではPC向けにも展開しています。Snapdragon Xシリーズは、Copilot+ PCの要件を満たす最初のプロセッサーとなりました。

Recall
Copilot+ PCの機能の一つで、PCの活動を定期的に記録し、後から検索可能にします。「赤い納屋の写真」などの自然な言葉で過去の作業内容を検索できます。プライバシー懸念から初期設定でOFF選択制に変更されました。

【参考リンク】

Microsoft Windows 11公式サイト(外部)
Windows 11の機能や最新情報、アップグレード方法などを提供する公式サイト。

Microsoft Copilot+ PC公式サイト(外部)Copilot+ PCの特徴や対応デバイス、AI機能の詳細を紹介する公式サイト。

Microsoft Reading Coach(外部)
Reading Coachを無料で利用できる公式サイト。個人アカウントや学校アカウントでログイン可能。

Microsoft Immersive Reader(外部)
Immersive Readerの機能や使い方、開発者向け情報を提供するサイト。

【参考動画】

【編集部後記】

Windows 11の進化が加速する中、皆さんはどのAI機能に最も期待していますか? Reading Coachで語学力を磨くのも良し、Immersive Readerで集中読書するのも良し。もしかしたら、「浜辺の犬」と話しかけるだけで写真が見つかる自然言語検索が、デジタルライフを一変させるかもしれません。これらの機能は徐々に日本語対応も進むと予想されます。Copilot+ PCという新しいカテゴリーは、私たちとテクノロジーの関係をどう変えていくのでしょうか。ぜひで皆さんの期待や活用アイデアをお聞かせください。テクノロジーの未来を一緒に考えていきましょう。

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TaTsu
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