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Meta新アプリ「Edits」:TikTokに対抗する動画編集ツールが登場、4K撮影とAIアニメーション機能も搭載

Meta新アプリ「Edits」:TikTokに対抗する動画編集ツールが登場、4K撮影とAIアニメーション機能も搭載 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-04-23 11:05 by admin

Metaは2025年4月22日、TikTokの親会社ByteDanceが提供するCapCutに対抗する新しいスタンドアロン動画編集アプリ「Edits」をリリースした。このアプリはiOSとAndroid向けに全世界で無料で公開されている。

Editsは、クリエイター向けに設計された動画作成プラットフォームで、プロジェクトのアイデア管理、動画の撮影・編集、コンテンツのパフォーマンス分析などの機能を提供している。主な機能としては、背景置換(グリーンスクリーン)、自動キャプション作成、AI駆動の画像から動画への変換ツール、人物や物体の精密な追跡・切り抜き機能などが含まれている。

ユーザーは最大10分間の動画を撮影でき、HD、2K、4Kの解像度とフレームレート24、30、60fpsから選択可能である。また、Instagramの音楽ライブラリにアクセスして適切な音楽を選択することも可能である。他のプラットフォームに投稿する場合でも、ウォーターマークなしで動画をエクスポートできる点が特徴だ。

Instagramの責任者Adam Mosseriは2025年1月に投稿したReelで、「今、世界では多くのことが起きていて、何が起ころうとも、私たちの仕事はInstagramだけでなく他のプラットフォームのためにも動画を作成する皆さんに、最も魅力的なクリエイティブツールを提供することだ」と述べている。

この発表は、ドナルド・トランプ大統領がByteDanceにTikTokの米国事業売却期限を2回目に延長し、新たな期限を2025年6月中旬に設定した直後のタイミングとなっている。TikTokの将来が不透明な中、MetaはEditsのリリースを通じて、ショート動画作成市場での地位強化を図っていると見られている。

Metaは今後、キーフレーム機能(正確な瞬間を指定して位置、回転、スケールをアニメーション化)、AI活用の「Modify」機能(動画の外観や雰囲気を変更)、コラボレーションツール、さらに多くのフォント、テキストアニメーション、トランジション、音声効果、フィルター、音楽オプションなどを追加する予定だと発表している。

from:Instagram launches Edits app for video, rivaling TikTok

【編集部解説】

Metaが新たに投入した「Edits」アプリは、単なる動画編集ツールの枠を超えた、クリエイターエコシステム全体を視野に入れた戦略的な一手と言えるでしょう。複数の情報源を確認したところ、当初は2025年1月に発表され、4月30日リリース予定とされていましたが、実際には予定を前倒しして4月22日にグローバルローンチされました。

このタイミングは非常に興味深いものがあります。TikTokの米国事業の行方が不透明な中、ByteDanceに対するトランプ大統領の売却期限が6月中旬に延長されたタイミングでの投入は、Metaの戦略的な動きと見ることができます。過去にもTikTokがインドで禁止された際にInstagram Reelsを立ち上げるなど、Metaは市場の隙間を埋める戦略的な動きを繰り返してきました。

Editsの機能面では、単なるCapCutのクローンではなく、クリエイター向けの総合的なプラットフォームを目指していることが伺えます。Adam Mosseri氏はThreadsでの発言で、Editsは「カジュアルな動画愛好家よりもクリエイターに焦点を当てている」と述べており、最終的には「CapCutとはかなり異なるものになる」と予告しています。

特筆すべきは、Editsがウォーターマークなしで動画をエクスポートできる点です。Instagramは通常、他プラットフォームのウォーターマークが付いた動画のランキングを下げる傾向がありますが、この機能によりクリエイターはより自由に複数のプラットフォームで活動できるようになります。

技術面では、HD、2K、4Kの解像度オプションとフレームレート24、30、60fpsの選択肢が提供され、最大10分間の動画撮影が可能です。これはTikTokの最大10分という制限と同等で、YouTubeショーツの60秒制限を大きく上回ります。

AI機能の統合も注目ポイントです。静止画を動画に変換する「Animate」機能や、人物や物体を精密に追跡・切り抜きできる「Cutouts」機能など、最新のAI技術を活用した編集ツールが搭載されています。これらの機能は、専門的な知識がなくても高品質な動画コンテンツを作成できる可能性を広げるものです。

また、Editsは単なる編集ツールではなく、アイデア管理からパフォーマンス分析まで、クリエイターのワークフロー全体をサポートする設計になっています。「Inspiration」セクションでは人気のReelsを保存してテンプレートとして使用できるなど、コンテンツ制作のインスピレーション獲得から公開後の分析までをカバーしています。

今後の展開としては、キーフレーム編集、AIを活用した「Modify」機能、コラボレーションツール、さらに多くのフォント、テキストアニメーション、トランジション、音声効果、フィルター、音楽オプションなどが追加される予定です。Metaは「これは最初の一歩に過ぎない」と述べており、ユーザーのフィードバックを基に週単位で機能改善を行っていく姿勢を示しています。

このアプリの登場は、ソーシャルメディアプラットフォーム間の競争がコンテンツ消費の場からコンテンツ制作ツールへと拡大していることを示しています。ByteDanceのCapCutが無料から有料機能を含むモデルへと移行する中、現時点でEditsは完全無料で提供されていますが、将来的には有料機能が追加される可能性もあります。

クリエイターエコノミーの観点からは、このようなツールの普及により、より多くの人々がプロフェッショナルな品質の動画コンテンツを制作できるようになる一方で、差別化がより難しくなる可能性もあります。技術的なハードルが下がることで、コンテンツの質やオリジナリティがより重要になってくるでしょう。

日本のクリエイターにとっては、多言語対応の自動キャプション機能や、国際的なオーディエンスへのリーチを容易にする機能は特に魅力的かもしれません。また、AIによる画像から動画への変換機能は、静止画中心だった日本のコンテンツクリエイターが動画市場に参入する敷居を下げる可能性があります。

テクノロジーの民主化という観点では、Editsのような高度な編集ツールが無料で提供されることは、クリエイティブ表現の可能性を広げる一方で、プロフェッショナルな編集ソフトウェア市場にも影響を与える可能性があります。今後は、AIによる自動編集機能がさらに進化し、アイデアから完成品までの過程がより短縮されていくことが予想されます。

【用語解説】

Edits(エディッツ)
Metaが2025年4月にリリースした動画編集アプリ。スマートフォンで高品質な動画を作成・編集するための機能を提供している。

CapCut(キャップカット)
ByteDanceが提供する人気の動画編集アプリ。TikTokの姉妹アプリとして知られ、スマートフォンやパソコンで動画編集ができる。

ByteDance(バイトダンス)
中国を拠点とするテクノロジー企業で、TikTokとCapCutの親会社である。

Meta(メタ)
Facebook、Instagram、WhatsAppなどを所有する企業。以前はFacebook, Inc.として知られていた。

グリーンスクリーン
背景を別の映像や画像に置き換える技術。テレビの天気予報などでよく使われる技術と同じもの。

AIアニメーション
人工知能を使って静止画を動画に変換する技術。例えば、写真に動きを加えて「生きている」ように見せることができる。

ウォーターマーク
動画や画像に挿入される透かしのようなもの。多くの無料編集アプリでは出力した動画にロゴなどが表示されるが、Editsではこれがない。

キーフレーム編集
アニメーションの特定の重要な瞬間(キーフレーム)を設定し、その間の動きをコンピュータが自動的に生成する技術。

【参考リンク】

Instagram(外部)
世界最大級の写真・動画共有SNS。Meta社が運営し、ショート動画「Reels」などの機能を提供している。

Meta(外部)
Facebook、Instagram、WhatsAppなどを所有する企業。メタバースなど次世代技術の開発にも注力している。

TikTok(外部)
短い動画を共有するプラットフォーム。ダンスやチャレンジなどのトレンドで若年層を中心に人気がある。

CapCut(外部)
ByteDance社が提供する無料の動画編集アプリ。直感的な操作性と豊富な機能で人気を集めている。

【参考動画】

【編集部後記】

動画編集アプリ「Edits」を早速試してみたいと思いませんか?スマホ一台で最大10分、4K解像度の本格的な動画制作が可能になる時代、皆さんならどんなコンテンツを作ってみたいですか?AIで静止画を動かしたり、背景を自由に変えたり…これまで専門知識が必要だった編集技術が、指先ひとつで実現できます。もしEditsを使ってみた感想や、他にも「こんな機能があれば」というアイデアがあれば、ぜひコメント欄でシェアしてください。皆さんの創造性がどう広がるのか、とても楽しみです!

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TaTsu
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