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Naver Webtoon・Kakao Helix Shortsが牽引する韓国ウェブトゥーン – AI導入で世界シェア拡大と業務効率化

 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-04-23 11:30 by admin

2025年3月6日、韓国文化体育観光部(MCST)は、AI時代に対応するための著作権制度の大幅な見直しを発表した。韓国のウェブトゥーン(縦読みデジタル漫画)産業では、近年、AI技術の導入が急速に進んでおり、Naver WebtoonやKakaoPageといった大手プラットフォームは、AIを活用した作品推薦や画像生成、キャラクターチャットなどの機能を提供している。

Naver Webtoonは月間アクティブユーザーが8500万人を超え、AIによる“toon filter”やキャラクターとのチャット機能が人気を集めている。Kakao WebtoonもAIによるキュレーションサービスを展開し、ユーザーごとの読書傾向に合わせた作品推薦を行っている。

こうしたAIの活用拡大に伴い、著作権や創作者の権利保護に関する懸念が高まっている。韓国政府は、AI生成コンテンツの登録基準や利用ガイドラインの整備、AI学習データの透明性確保、原著作者への公正な報酬確保などを盛り込んだ新たな著作権保護策を年内に導入する方針を示した。

2021年時点で韓国のウェブトゥーン市場規模は1兆5700億ウォン(約1600億円)に達し、2026年にはアジア太平洋地域のコミック市場全体が約119億ドル(約1兆7220億円)に拡大する見通しの中、韓国の市場シェアは23.7%と推計されている。

AIによる効率化やグローバル展開の加速が期待される一方で、創作活動とAI技術の関係性や倫理的課題、違法流通対策など、業界全体での議論と制度整備が進められている。

from:Generative AI is reshaping South Korea’s webcomics industry

【編集部解説】

韓国のウェブトゥーン産業は、AI技術の導入によって今まさに大きな変革期を迎えています。Naver WebtoonやKakao Entertainmentといった大手プラットフォームは、AIを活用した自動着色ツールやキャラクターチャット、著作権侵害検出といった多彩な機能を次々と実装し、制作現場の効率化とクリエイターの創造性拡張を両立させています。

例えば「AI Painter」は、従来は数時間かかっていた背景の着色や細部の作画作業をわずか数分で自動化し、クリエイターが物語構成やキャラクター設定といった本質的な部分により多くの時間を割けるようになりました。

また、Kakaoの「Helix Shorts」は、AIによる画像解析や自動ナレーション、BGM選定などを組み合わせることで、ショート動画の制作コストと時間を劇的に削減し、従来の3%以下のコストで数時間以内に作品を仕上げることが可能となっています。

こうしたAI技術の普及は、韓国ウェブトゥーンのグローバル展開にも大きな影響を与えています。AI翻訳やローカライズ技術の進化により、韓国発の作品が多言語で迅速に配信され、アジアや欧米など世界中の読者に届きやすくなりました。

2024年時点で韓国ウェブトゥーンの世界市場シェアは38%に達しており、AI活用による効率化と多言語対応の強化によって、今後さらにシェアを拡大する可能性が高まっています。AIによるユーザーごとのレコメンド強化や、キャラクターと対話できる新しい読者体験も、ファン層の拡大やエンゲージメント向上に寄与しています。

一方で、AIが生み出すコンテンツの著作権や既存作品との類似性、クリエイターの報酬や雇用の在り方といった新たな課題も浮上しています。AIが既存作品を学習し類似した表現を生み出すリスクや、AI生成物の権利帰属の曖昧さは、クリエイターや業界全体にとって大きな懸念事項です。

韓国政府は2025年1月に「AI基本法」を制定し、AI生成物の明示義務や学習データの透明性確保、著作権や責任の枠組みを明確化することで、クリエイターの権利と産業の健全な発展の両立を目指しています。こうした法整備は、今後の国際的なルール形成や他国の政策にも影響を与える可能性があります。

AIの導入が進むほど、クリエイターとAIの役割分担や創作物の独自性、倫理的な線引きがより重要になっていくでしょう。今後は、AIを単なる効率化ツールとしてだけでなく、創造性を拡張するパートナーとして活用しつつ、作家の個性や独自性をいかに守り育てていくかが問われる時代に入っています。韓国ウェブトゥーン産業の事例は、世界のクリエイティブ産業全体にとっても、AIと人間の協働による新たな創作モデルの可能性を示唆しています。

【用語解説】

Toon Radar
Naver Webtoonが開発した著作権侵害検出AIシステム。AIがウェブ上の類似画像や無断転載を自動検出する。

Character Chat
Naver WebtoonのAIキャラクターチャット機能。読者が作品内キャラクターと対話できる。

【参考リンク】

Naver Webtoon公式サイト(外部)
世界最大級のウェブトゥーンプラットフォーム。AI活用やグローバル展開の最新情報を掲載。

Kakao Entertainment公式サイト(外部)
Kakaoグループのエンターテインメント事業会社。ウェブトゥーンや動画、音楽など多様な事業内容を紹介。

Kakao Webtoon公式ページ(外部)
Kakaoが提供するウェブトゥーン専門サービス。AIや多言語展開の情報も掲載。

Helix Shortsサービス紹介(外部)
Kakao EntertainmentのAIショート動画制作ツール。制作フローや導入事例を紹介。

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りょうとく
主に生成AIやその権利問題について勉強中。
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