Last Updated on 2025-05-02 10:19 by admin
2024年6月、Anthropic社は大規模言語モデル「Claude 3.5 Sonnet」を発表した。OpenAI社の「GPT-4o」と比較し、両モデルのAPI出力トークン単価は同一だが、Claude 3.5 Sonnetの入力トークン単価は約40%安いとされてきた。しかし、2025年5月時点では、GPT-4oのAPI価格がさらに安価となっている。
実際の運用では、Anthropicのトークナイザーが同じ入力テキストをOpenAIより多くのトークンに分割するため、Claude 3.5 SonnetはGPT-4oよりも総コストが高くなる場合がある。この「トークナイザーの非効率性」は、英語記事で約16%、Pythonコードで約30%、数学で約21%多くのトークンが生成されるという検証結果がある。
また、Anthropicは200,000トークンの大きなコンテキストウィンドウを提供しているが、トークン数の増加により実質的な利用可能範囲はOpenAIの128,000トークンと大差がない場合もある。
Anthropicは2024年12月にToken Counting APIをリリースし、Token 2025年5月1日時点で正式提供されている。
これらの違いから、表面的なAPI単価だけでなく、実際のトークン生成数やコンテキストウィンドウの実効性を考慮した総コスト比較が企業利用では重要となっている。
【編集部解説】
Claude 3.5 SonnetとGPT-4oのAPI価格や運用コストに関する「隠れコスト」問題は、AI業界でも注目されています。2025年5月時点でのAPI価格は、GPT-4oが入力1,000トークンあたり$0.0025、出力1,000トークンあたり$0.01と、Claude 3.5 Sonnet(入力$0.003、出力$0.015)よりも安価です。
以前はClaude 3.5 Sonnetの入力トークン単価が安いとされていましたが、OpenAIの価格改定により、現在はGPT-4oの方がコストパフォーマンスが高くなっています。
「トークナイザー非効率性」は、実際の運用コストに大きく影響します。Anthropicのトークナイザーは同じテキストでもOpenAIより多くのトークンを生成し、英語記事で約16%、Pythonコードで約30%、数学で約21%多いという検証結果が複数の独立した調査で確認されています。
そのため、表面的なAPI単価だけを見るとClaude 3.5 Sonnetが有利に見えますが、実際の運用ではGPT-4oの方がコスト効率が高くなるケースが増えています。
また、Anthropicは200,000トークンの大きなコンテキストウィンドウをアピールしていますが、トークナイザーの冗長性により、実際に有効活用できるトークン数はOpenAIの128,000トークンと大きく変わらない、もしくは劣る場合もあります。この点は、長文や大量データを扱うエンタープライズ用途では特に重要な比較ポイントです。
性能面では、Claude 3.5 Sonnetは高度な言語理解や創造的なタスク、倫理的配慮に強みがありますが、数学やコーディングなど構造化・技術的タスクではGPT-4oが優れているというベンチマークも多く見られます。また、速度や応答の一貫性、マルチモーダル(画像や表の理解)対応でもGPT-4oが優位という評価が目立ちます。
AIモデル選定では単純なスペックや価格だけでなく、実際のトークン消費や運用コスト、用途ごとの性能、開発・運用のしやすさ、サポート体制など多面的な観点から比較・検討することが重要です。特にエンタープライズ用途では、長期的なTCO(総保有コスト)や拡張性、将来的な規制対応も視野に入れるべきでしょう。
【用語解説】
トークナイザー:
テキストをAIが処理しやすい単位(トークン)に分割する仕組み。
トークン:
AIがテキストを理解・生成する際の最小単位。日本語は1文字、英語は単語やフレーズの場合もある。
コンテキストウィンドウ:
AIが一度に記憶・処理できるトークンの最大数。作業机の広さのイメージ。
API:
アプリケーション・プログラミング・インターフェース。他のソフトやサービスと機能をやりとりする窓口。
Anthropic(アンソロピック):
2021年設立の米AIスタートアップ。安全性・倫理性重視のAI開発で知られ、Claudeシリーズを展開。
OpenAI(オープンエーアイ):
2015年設立の米AI企業。ChatGPTやDALL-Eなどを開発し、AIの民主化を目指す。
Claude 3.5 Sonnet:Anthropicが2024年6月に発表した大規模言語モデル。入力コストの安さや200,000トークンのコンテキストウィンドウが特徴。
GPT-4o:
OpenAIが2024年5月に発表したマルチモーダル対応の大規模言語モデル。テキスト・画像・音声を統合的に処理できる。
【参考リンク】
Anthropic公式サイト(外部)
安全性・倫理性重視のAIスタートアップ。Claudeシリーズなどの大規模言語モデルを開発。
Claude公式サイト(外部)
Anthropicが開発した次世代AIアシスタント。安全・正確・セキュアな業務支援が特徴。
OpenAI公式サイト(外部)
人類のためのAI開発を掲げる米国AI企業。ChatGPTやGPT-4oなどを展開。
【参考動画】
【編集部後記】
AIサービスの選択では、価格や性能だけでなく「見えないコスト」や実際の運用効率も大切なポイントです。今回の比較を通じて、AI導入の際に重視したいことや、気になる点があればぜひSNSで教えてください。innovaTopia編集部も皆さんと一緒に、より良いAI活用の未来を考えていきたいと思っています。