Last Updated on 2025-05-02 08:55 by admin
Meta(米カリフォルニア州メンローパーク)は2025年4月24日に2025年第1四半期(1月〜3月)の決算を発表した。全社売上高は419億ドル(前年同期比16%増)、純利益は218億ドル(同23%増)と、アナリスト予想を上回った。
一方、メタバースやVR事業を担うReality Labs部門の売上は4億1,200万ドルで、市場予想(4億9,300万ドル)を下回った。営業損失は42億ドルと前年同期の38億ドルから拡大し、2020年以降の累計損失は600億ドルを超える。主力製品はQuestシリーズのVRヘッドセットやRay-Ban Metaスマートグラス。2025年4月下旬には同部門で100人以上のレイオフも実施された。
マーク・ザッカーバーグCEOは今回の決算説明会でAI分野への注力を強調し、メタバースへの直接的な言及はなかった。Metaは2025年にAI分野へ650億ドル規模の投資を計画している。Reality Labs部門やメタバース事業の今後については、社内外で見直しや懸念の声が広がっている。
from:Zuck ghosts metaverse as Meta chases AI goldrush
【編集部解説】
MetaのReality Labs部門が2025年第1四半期も巨額の赤字を計上したことは、テクノロジー業界や投資家に大きなインパクトを与えている。VRやメタバース関連製品の売上が市場予想を下回ったことは、消費者の需要が想定ほど高まっていない現実を浮き彫りにしている。
今回の決算説明会でザッカーバーグCEOがAIへの注力を明言し、メタバースへの直接的な言及を避けたことは、Metaの経営戦略が大きく転換しつつあることを示している。GoogleやMicrosoftなど他の大手テック企業もAI分野への投資を拡大しており、業界全体がAI主導の成長フェーズに移行している状況だ。
Reality Labsの累計損失は600億ドルを超え、今後も赤字が続く見通しだ。部門内でのレイオフや組織再編も進行しており、今後はAIグラスなど成長分野へのリソース集中が加速する可能性がある。一方で、メタバースやVRが一般消費者層に普及するには、依然として高いハードルが残っている。
今回の事案は、Metaだけでなくメタバース全体の成長性に対する懐疑的な見方を強めるものだ。AI分野への大規模投資が短期的な収益向上や長期的な企業価値向上につながるのか、今後の動向に注目が集まる。
【用語解説】
Meta(メタ)
米カリフォルニア州のテック大手。旧Facebook。SNSやAI、XR(VR/AR/MR)事業を展開している。
Reality Labs(リアリティ・ラボ)
MetaのVR/AR部門。QuestシリーズやRay-Ban Metaスマートグラスなどを開発。
QuestシリーズMetaのスタンドアロン型VRヘッドセット。PC不要で多彩なVR体験が可能。
Ray-Ban Meta
MetaとRay-Banが共同開発したスマートグラス。写真撮影や音声アシスタント機能を搭載。
メタバース
インターネット上の3D仮想空間。アバターで交流やイベント参加ができる。
AI(人工知能)
人間の知的活動を模倣・実現する技術。Metaは広告・SNS・デバイスなどで活用。
【参考リンク】
Meta公式サイト(外部)
Metaの企業情報、製品、最新ニュースを掲載。SNSやAI、XR事業の全体像がわかる。
Meta Quest公式(外部)
QuestシリーズのVR/MRヘッドセットや関連アクセサリーの情報・購入ページ。
Ray-Ban Meta公式(外部)
Ray-Ban Metaスマートグラスの製品情報、購入案内、機能紹介を掲載。
【参考動画】
【編集部後記】
一時は時代の寵児だったメタバースは、これからどこへ向かうのでしょうか?
AIの進化が加速する中で、メタバースとAIは本当に競合するのでしょうか。それとも、どこかで融合し、新たな体験を生み出すのでしょうか?
みなさんは、AIとメタバースの未来にどんな可能性やワクワクを感じますか?