Pinterest、AI生成画像の自動ラベル付けとフィルタリング機能を全世界導入 – 透明性とユーザー体験を強化

2025年5月2日10:53

AI（人工知能）ニュース

Last Updated on 2025-05-02 10:53 by admin

Pinterestは、2025年4月30日（現地時間、日本時間2025年5月1日）、AI生成またはAIで編集された画像を自動的にラベル付けする新機能「Gen AIラベル」を全世界で導入したと発表した。

この機能により、Pinterest上でAIによって生成・加工された画像には「AI modified（AIによる修正）」というマークが画像の左下に表示される。Pinterestは、GoogleのSynthIDやAdobeのContent Credentialsなどのメタデータ解析に加え、独自開発のAI分類器（classifiers）を用いて、メタデータがない場合でもAI生成コンテンツを自動検出する仕組みを採用している。

ユーザーやクリエイターが誤ってラベル付けされた場合には異議申し立てができる制度も設けられている。また、今後数週間以内に、美容やアートなどAI画像が多く出現するカテゴリにおいて、AI画像の表示を減らす「see fewer」オプションの実験的導入も予定されている。このオプションはピンの右下の三点メニューから選択でき、将来的には他のカテゴリにも拡大される見込みである。なお、現時点ではAI画像を完全に非表示にするオプションは実装されていない。

今回の新機能は、AI生成画像がPinterest上で急増し、ユーザーから「AI画像が本物のインスピレーションや実在の商品を探す妨げになっている」といった批判が高まっていたことを受けて導入されたものだ。Pinterestは今後もAI関連の新機能や透明性向上策を順次追加していく方針を示している。

from：Pinterest is finally doing something about its AI infestation

【編集部解説】

Pinterestが導入したAI生成コンテンツの自動ラベル付けとフィルタリング機能は、プラットフォームの信頼性維持とユーザー体験向上の両立を目指した重要な一歩です。AIによる画像生成技術が急速に普及する中、Pinterestのようなインスピレーション共有型サービスでは、現実に存在しない商品や非現実的なイメージが氾濫し、本来の「発見と創造の場」としての価値が損なわれる懸念が高まっていました。

今回の取り組みの技術的な特徴は、GoogleのSynthIDやAdobeのContent Credentialsといったメタデータ解析と、Pinterest独自のAI分類器を組み合わせた二重の検出体制にあります。これにより、メタデータが付与されていない画像や巧妙に加工されたコンテンツも一定程度識別できるようになっています。ただし、AI分類器による自動検出は誤判定のリスクもあるため、ユーザーやクリエイターが異議申し立てできる仕組みを設けている点は、クリエイター保護や透明性の観点から評価できます。

また、美容やアートなどAI画像が特に多いカテゴリで「see fewer」オプションを導入することで、ユーザーが自分の好みに応じてAI生成画像の露出をコントロールできるようになりました。これは、AIコンテンツの完全排除ではなく、利用者自身が情報の質や種類を選択できる「ユーザーエンパワーメント」の観点からも先進的な施策です。

一方で、現時点ではAI画像を完全に非表示にする機能は用意されておらず、今後の拡張や精度向上が期待されます。AI生成コンテンツの氾濫はPinterestだけでなく、InstagramやX（旧Twitter）など他の主要プラットフォームでも課題となっており、今後は各社の取り組みの違いや技術的進化が注目されるでしょう。

日本市場においても、こうした透明性の確保やユーザー主導の情報選択は、AI時代の情報リテラシー向上や倫理的なテクノロジー活用の好例となります。Pinterestの今回の施策は、単なるAI対策にとどまらず、デジタル社会全体の信頼性や健全性を高める先駆的な取り組みとして評価できるでしょう。