Microsoft Azure AI Foundry、xAI「Grok 3」モデルをホスティングへ──イーロン・マスクとAI業界の新たな提携

2025年5月2日11:39

AI（人工知能）ニュース

Last Updated on 2025-05-02 11:39 by admin

マイクロソフト（Microsoft）は、イーロン・マスク（Elon Musk）が率いるxAI社の大規模言語モデル「Grok AI」（2025年2月発表のGrok 3モデル）を、自社クラウドサービス「Azure AI Foundry」でホストする方向で協議を進めている。2025年5月1日付の報道によると、ここ数週間、マイクロソフトとxAIの間でGrok AIモデルのホスティングに関する協議が行われてきた。契約が成立すれば、Grok AIはAzure AI Foundryを通じて開発者やマイクロソフトの社内チームが利用可能となる。

Azure AI Foundryは、開発者向けにAIアプリケーションやエージェントの構築を支援するためのAIサービス、ツール、事前構築済みモデルを提供するプラットフォームである。今回の協議は「推論用モデルのホスティング」に限定されており、今後のGrokモデルのトレーニング用サーバー提供は含まれていない。また、マイクロソフトがGrokのホスティングで独占契約を結ぶか、Amazonなど他のクラウド事業者も利用できるのかは現時点で不明である。

Grok AIは「検閲の少ないAI」としても注目されており、音声モードに「Unhinged（暴走）」「Sexy（セクシー）」「Conspiracy（陰謀論）」などユニークな個性を持つ機能を搭載している。なお、xAIは現在「Grok」の商標をめぐりBizly社と紛争中であり、またxAI Holdingsは約200億ドルの新規投資を求めていると報じられている。

この動きは、マイクロソフトと主要パートナーであるOpenAIとの間の緊張を高める可能性がある。OpenAIのCEOサム・アルトマン（Sam Altman）とイーロン・マスクの間では、OpenAIの方向性を巡る訴訟や対立が続いている。

from Microsoft is getting ready to host Elon Musk’s Grok AI model

【編集部解説】

今回のニュースは、マイクロソフトがイーロン・マスク率いるxAI社の最新大規模言語モデル「Grok 3」を、自社クラウド基盤「Azure AI Foundry」でホストする方向で協議を進めているというものです。複数の海外メディア（The Verge、WinBuzzer、Reuters等）でも同様の報道がなされており、事実関係に大きな齟齬は見当たりません。

Azure AI Foundryは、マイクロソフトがAI開発者向けに提供するプラットフォームで、AIサービスやツール、事前構築済みモデルをワンストップで利用できるのが特徴です。ここにGrok AIが加わることで、開発者は自社アプリやサービスにGrokを組み込めるようになります。マイクロソフト自身もGrokを自社製品群で活用できるため、AIエージェントやCopilotなどの機能強化が期待されます。

注目すべきは、Grok 3が「検閲の少ないAI」として設計されている点です。音声モードには「Unhinged（暴走）」「Sexy（セクシー）」「Conspiracy（陰謀論）」など、従来のAIにはない個性的なキャラクターが搭載されています。これはAIの自由度や表現の幅を広げる一方、フェイクニュースや不適切な発言のリスクも孕んでいます。今後Azure経由で広く利用可能になることで、こうしたリスク管理や規制対応が一層重要になるでしょう。

また、xAIは「Grok」の商標をめぐってBizly社と争っており、今後のブランド展開にも影響が出る可能性があります。さらに、xAI Holdingsは約200億ドルの新規資金調達を目指しており、AI業界の資本力競争も激化しています。

マイクロソフトはOpenAIとの関係を維持しつつ、xAIやDeepSeek、Metaなど複数のAIベンダーと連携を深めることで、AIインフラの“標準”ポジションを狙っています。AIモデルの多様化が進むことで、開発者や企業は用途や倫理基準に応じて最適なAIを選べる時代が到来しつつあります。その一方で、AIの社会実装が進むほど、規制やリスク管理の重要性も増していくでしょう。