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Google I/O 2025: Gemini 2.5とAIモードで検索体験を刷新、3D会議システム「Google Beam」も発表

Google I/O 2025: Gemini 2.5とAIモードで検索体験を刷新、3D会議システム「Google Beam」も発表 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-21 09:12 by admin

2025年5月20日、Googleは年次開発者会議「Google I/O 2025」を開催した。Alphabet及びその子会社GoogleのCEOであるSundar Pichaiが基調講演を行い、AIの変革力と新製品・サービスについて発表した。

Gemini 2.5の性能向上

Googleは最新のAIモデル「Gemini 2.5 Pro」を発表した。このモデルはEloベンチマークスコアで1448を記録し、前モデルのGemini 2.0 Pro(1379)、Gemini 1.5 Pro(1249)、Gemini 1.0 Pro(1111)を大きく上回っている。Gemini 2.5 ProはLLMArenaリーダーボードのすべてのカテゴリで首位を獲得している。

Google検索のAIモード

Googleは検索サービスに新しい「AIモード」を導入した。この機能は米国で本日から利用可能となり、より長く複雑なクエリに対応する。AIモードは検索ウィンドウの新しいタブとして表示される。今週から米国ではGoogle検索がGemini 2.5に接続される。

第7世代TPU「Ironwood」

Googleは第7世代Tensor Processing Unit(TPU)「Ironwood」を発表した。Ironwoodは前世代の10倍のパフォーマンスを提供し、ポッドあたり42.5エクサFLOPSの計算能力を持つ。Ironwoodは今年後半にGoogle Cloudの顧客に提供される予定である。

Google Beam(旧Project Starline)

Googleは3Dビデオ会議システム「Project Starline」を「Google Beam」として正式に発表した。Google Beamは6台のカメラアレイを使用して、ビデオ会議の参加者を異なる角度から撮影し、リアルタイムで60fpsの3Dライトフィールドディスプレイにレンダリングする。GoogleはHPと提携し、今年後半に顧客向けにGoogle Beamを提供する予定である。

Gemini Liveの機能拡張

本日から、GeminiアプリのGemini Live機能にカメラと画面共有機能が追加され、iOSとAndroidのすべてのユーザーに展開される。この機能はProject Astraの技術を活用しており、ユーザーはスマートフォンのカメラやスクリーンからビデオをAIモデルにストリーミングしながら、ほぼリアルタイムで会話ができる。

Personal Context

Googleは「Personal Context」と呼ばれる新機能を発表した。これにより、ユーザーの許可を得て、GeminiモデルがGoogle Apps全体の関連するコンテキストを使用できるようになる。Gmailでは「Personalized Smart Replies」として実装され、AIが過去のメールから口調やスタイル、単語の選択を学習し、自動的に返信を生成する。Personal Contextは今夏、Gmailの加入者向けに提供される予定である。

References:
文献リンク Google, high on AI, flogs Gemini for all things

【編集部解説】

Google I/O 2025で発表された一連のAI技術革新は、単なる製品アップデート以上の意味を持っています。今回の発表は、Googleが描く「AI主導の未来」の青写真を明確に示したものと言えるでしょう。

特に注目すべきは、GoogleがAIを自社の全製品ラインナップに統合する戦略を加速させている点です。検索エンジンという同社の基幹事業にAIモードを導入したことは、情報アクセスの根本的な変革を意味します。これまでの「キーワードに基づく情報検索」から「対話を通じた知識探索」へのパラダイムシフトが始まっています。

Gemini 2.5 Proのベンチマーク結果については、公開された数値が示す通り、競合他社のモデルを大きく引き離す性能を達成しています。ただし、ベンチマークスコアだけでなく、実際のユースケースでどれだけ価値を生み出せるかが重要です。

Google Beamについては、HPとの提携によって企業向けに展開されますが、価格設定が普及の鍵となるでしょう。過去のテレプレゼンスシステムは高価格が普及の障壁となりました。Google Beamが一般企業にも手が届く価格帯で提供されれば、リモートワークの質を根本から変える可能性を秘めています。

Personal Contextの導入は、AIアシスタントの有用性を飛躍的に高める一方で、プライバシーに関する新たな懸念も生じさせます。Googleは「ユーザーの許可を得て」「完全にユーザーの管理下で」と強調していますが、個人データの利用範囲と保護措置については今後も注視が必要です。

第7世代TPU「Ironwood」の性能向上は、AIモデルの訓練と推論の両面で大きなブレークスルーをもたらします。特に42.5エクサFLOPSという計算能力は、これまで不可能だった規模と複雑さのAIモデル開発を可能にするでしょう。

今回のGoogle I/Oで最も重要なメッセージは、AIがもはや独立した技術ではなく、あらゆるデジタル体験の基盤となりつつあるという点です。検索、コミュニケーション、創作活動など、私たちの日常的なデジタル活動のすべてにAIが統合されていく流れは、今後も加速するでしょう。

一方で、AIの普及に伴う懸念も無視できません。特に「AIモード」による検索体験の変化は、ウェブサイトのトラフィック参照に影響を与える可能性があります。従来の検索結果ページからの直接的なリンクではなく、AIが要約した情報が優先されることで、コンテンツ制作者のビジネスモデルに影響が出る可能性があります。

テクノロジーの進化は常に光と影の両面を持ちます。GoogleのAI戦略が成功するかどうかは、技術的な優位性だけでなく、ユーザーのプライバシーへの配慮や、人間中心の設計思想をどれだけ維持できるかにかかっているでしょう。

私たちinnovaTopiaは、これからもAI技術の進化を注視しながら、テクノロジーが真に人間の進化に貢献する方向へ発展していくよう、批判的かつ建設的な視点から情報を発信していきます。

【用語解説】

Tensor Processing Unit (TPU):
Googleが開発した機械学習専用のハードウェアアクセラレータ。一般的なCPUやGPUと比較して、AI処理に特化した演算を高速かつ効率的に実行できる。家庭用ゲーム機がゲーム専用に最適化されているように、TPUはAI計算に特化して設計されている。

エクサFLOPS (ExaFLOPS):
1秒間に10の18乗(100京)回の浮動小数点演算を実行できる計算能力の単位。スーパーコンピュータの性能を表す際によく使用される。一般的なノートPCと比較すると、約10億倍の計算能力に相当する。

LLM (Large Language Model):
大規模言語モデル。膨大なテキストデータで訓練された人工知能モデルで、人間のような自然な文章生成や理解ができる。GPT-4やGeminiなどが該当する。

ライトフィールドディスプレイ:
光の強度だけでなく方向も再現できる表示技術。従来の2Dディスプレイと異なり、視点を変えると見え方も変わる3D表示を可能にする。メガネなしで立体視できるのが特徴。

Personal Context:
ユーザーのGoogleアプリ内のデータ(メール、ドキュメント、カレンダーなど)を横断的に活用し、AIがよりパーソナライズされた支援を行う機能。

【参考リンク】

Google AI(外部)
Googleの人工知能技術とツールを提供するプラットフォーム。Gemini APIやその他のAIモデルを開発者が利用できる。

Google Beam(外部)
Googleの3Dビデオ会議システム。リアルな立体映像でリモートコミュニケーションを革新する。

Google I/O(外部)
Googleの年次開発者会議。最新の技術や製品が発表される重要なイベント。

Gemini(外部)
GoogleのAIアシスタント。テキスト生成、画像認識、コード作成など多様なタスクに対応する。

【参考動画】

Google Beam(旧Project Starline)のデモ映像。リアルな3D映像通話の様子を紹介している。

Google公式のGemini紹介動画。機能や性能について説明している。

【編集部後記】

皆さん、AIの進化は私たちの日常をどう変えていくのでしょうか?Google I/Oで発表された新技術を見ると、AIがもはや特別なツールではなく、私たちの生活の一部になりつつあることを感じます。特にPersonal Contextのような機能は便利さと引き換えに何かを失うのか、それとも新たな可能性を開くのか。ぜひコメント欄で皆さんの考えをシェアしてください。また、AIアシスタントに任せたいタスクと、人間の手で行いたいことの境界線はどこにあるのでしょうか?

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TaTsu
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