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OpenAI、元Apple最高デザイン責任者ジョニー・アイブのioを65億ドルで買収 – 2026年に革新的AIデバイス発表へ

 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-22 19:03 by admin

2025年5月21日(現地時間、日本時間5月22日)、元Appleのデザイン責任者ジョニー・アイブ(Jony Ive)が設立したAIハードウェアスタートアップ「io」を約65億ドル(約9,300億円)で買収すると発表した。この買収はOpenAIにとって過去最大規模となる。買収はすべて株式で行われ、OpenAIがすでに保有していたioの23%の株式も含まれている。

ioはジョニー・アイブが1年前に設立した企業で、元Apple社員のスコット・キャノン(Scott Cannon)、エヴァンス・ハンキー(Evans Hankey)、タン・タン(Tang Tan)らと共同で立ち上げた。ioには約55人のエンジニアや研究者、デザイナーが在籍しており、その多くは元Appleの社員である。

買収に伴い、ジョニー・アイブとその別会社であるデザイン集団「LoveFrom」はOpenAIとioの両方で「深いクリエイティブおよびデザインの責任」を担うことになる。ただし、アイブはOpenAIの正式な社員にはならず、LoveFromは独立した組織として存続する。

OpenAIのサム・アルトマンCEOとジョニー・アイブは共同声明で、2年前から密かに協力関係を築いてきたことを明かした。両者は2026年に新しいAIデバイス製品ファミリーを発表する予定である。アルトマンCEOはアイブから受け取ったプロトタイプについて「世界がこれまでに見たことのない最もクールな製品」と評している。

アイブはAppleで30年近く働き、iPod、iPhone、iPad、MacBook Airなど同社の代表的な製品のデザインを手がけた人物として知られている25。2019年にAppleを退社した後、LoveFromを設立し、Airbnb、Christie’s、Ferrariなどの企業にデザインサービスを提供してきた5

この買収はOpenAIが先日発表した、AIコーディング支援プラットフォーム「Windsurf」の30億ドル(約4,300億円)での買収に続くものである。OpenAIは最近、ソフトバンクが主導する資金調達ラウンドで3,000億ドル(約43兆円)の評価額を獲得したとされている。

References:
 - innovaTopia - (イノベトピア)OpenAI acquires Jony lve’s AI startup io for $6.5 bilion
※この記事はPerplexityのDiscoverを参照し、さらに情報探索と解釈、解説を加えたものです。 上記URLにてこの記事に関する質問ができます。(登録不要で無料)

【編集部解説】

OpenAIによるジョニー・アイブ率いるioの買収は、AIとハードウェアの融合という新時代の幕開けを象徴する出来事といえるでしょう。この買収の背景には、AIの進化に伴う新たなインターフェースの必要性があります。アルトマンCEOとアイブは共に「私たちが信じられないようなテクノロジーを届け、接続するために使っている製品は数十年前のものだ」と指摘し、「これらのレガシー製品を超える何かがあるはずだ」と語っています。

特筆すべきは、この協業が2年前から密かに進められていた点です。アイブとアルトマンの「友情、好奇心、共通の価値観」に基づく関係が、徐々に具体的なデザインへと発展していったことが公式発表から読み取れます。両者は「楽観的で希望に満ちた」製品を目指していると語っています。

ジョニー・アイブはAppleで30年近く働き、iPhoneをはじめとする革新的な製品デザインを手がけてきました。彼のデザイン哲学は「シンプルさ」と「使いやすさ」を重視するもので、テクノロジーを人間の生活に自然に溶け込ませる能力に長けています。このような経験と視点がAIデバイスの開発にどのように活かされるのか、非常に興味深いところです。アイブ自身も「過去30年間で学んだすべてのことが、この瞬間に私をもたらしたと感じています」と述べています。

アルトマンCEOは、アイブから受け取ったプロトタイプについて「世界がこれまでに見たことのない最もクールな製品」と評しています。具体的な製品の詳細は明かされていませんが、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ユーザーを「画面を超えた」体験へと導く新しいデバイスであり、ヘッドフォンやカメラ付きデバイスなどの可能性が検討されているとのことです。また、アルトマンは「スマートフォンがラップトップを消滅させなかったように、私たちの最初の製品がスマートフォンを消滅させることはないでしょう」とも述べており6、既存デバイスとの共存を想定していることがうかがえます。

この買収は、OpenAIにとって大きな戦略的意味を持ちます。これまでソフトウェア中心だったOpenAIが、ハードウェア領域に本格的に参入することを意味するからです。実際、OpenAIは昨年11月にメタ社のARグラス「Orion」プロジェクトのリーダーだったケイトリン・カリノウスキーを招聘し、ロボティクスと消費者向けハードウェア部門の責任者に任命しています。また、サンフランシスコを拠点とするロボティクススタートアップ「Figure AI」にも出資しており、物理的な世界へのAI統合を積極的に推進しています。

一方で、この買収には大きなリスクも伴います。65億ドルという巨額の投資に見合う製品を開発できるかは不透明です。過去にもGoogle GlassやMeta(旧Facebook)のOculus、最近ではHumaneのAI Pinなど、革新的なウェアラブルデバイスが市場で苦戦した例があります。実際、Humane AIは元Apple幹部が設立した企業でしたが、AI Pinデバイスはバッテリー性能、過熱、機能の制限、高価格などの問題で否定的なフィードバックを受け、最終的にHPに1億1,600万ドルで買収されることとなりました。

しかし、もしOpenAIとアイブのチームが真に革新的なAIデバイスを生み出すことができれば、それはiPhoneの登場に匹敵するような技術革新となる可能性を秘めています。アイブは「私たちが文字通り新世代のテクノロジーの瀬戸際にいることを確信しています。それは私たちをより良い自分自身にしてくれるでしょう」と述べており、この新しいAIデバイスに対する強い自信を示しています。

2026年に発表予定の新製品が、私たちとAIの関わり方をどのように変えるのか。テクノロジー業界の注目が集まる中、この新たな挑戦の行方を見守りたいと思います。

【用語解説】

LoveFrom:ジョニー・アイブがAppleを退社後の2019年に設立したデザイン集団。Apple、Airbnb、Ferrari、Christie’s、OpenAIなど複数の企業とパートナーシップを結んでいる。クライアントから年間最大2億ドルの報酬を得ているとされる。

io:ジョニー・アイブが2024年に設立したAIハードウェアスタートアップ。Scott Cannon、Evans Hankey、Tang Tanらの元Apple社員と共同で立ち上げた。約55人のエンジニア、研究者、デザイナーが在籍している。

Windsurf:OpenAIが30億ドルで買収したAIコーディング支援プラットフォーム。以前は「Code」という名前だった。

Humane AI:元Apple幹部が設立したAIデバイス企業。AI Pinという製品を開発したが、バッテリー性能や過熱などの問題で苦戦し、最終的にHPに1億1,600万ドルで買収された。

Rabbit:AIデバイスを開発するスタートアップ。r1というデバイスを10万台以上販売したが、スマートフォンと比較するとまだ機能が限定的だという評価がある。

【参考リンク】

OpenAI(外部)OpenAIは、汎用人工知能(AGI)が全人類に利益をもたらすことを保証することに専念するAI研究・開発企業。ChatGPTなどの先進的AIモデルを開発している。

LoveFrom(外部)ジョニー・アイブとマーク・ニューソンが率いるクリエイティブ集団。デザイナー、建築家、音楽家、映画製作者、作家、エンジニア、アーティストなど多様な専門家で構成されている。

io Products(外部)OpenAIとジョニー・アイブが共同で立ち上げたAIハードウェア開発企業。現在はOpenAIに買収され、2026年に新しいAIデバイス製品を発表予定。

TSMC (Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)(外部)世界最大の半導体製造企業。OpenAIの独自AIチップの製造を担当する予定。

NVIDIA(外部)AI計算に特化したGPU(グラフィックス処理ユニット)の主要メーカー。現在のAI開発において重要なハードウェアを提供している。

Figure AI(外部)OpenAIが出資するサンフランシスコを拠点とするロボティクススタートアップ。「物理的な世界にAIをもたらす」ことを目指している。

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乗杉 海
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